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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
59/122

第57話 暁光来光

本当にお待たせしました…。

ここ最近、作者の方で様々な事があり小説を書き暇がなく投稿に時間がかかってしまいました。

本当に申し訳ありません。

ガシャンと広場の中心に空から鉄の塊こと動かなくなったカタストロフィが落ちてきて、焔を纏う春斗が降りてきた。


「九条…春斗ォォ…!!」


動かなくなったカタストロフィに見向きもせずに元々装着していたAGで春斗の前に立つ。


「何なんだお前は…お前は何なんだ!!僕のような貴族でもない!僕のような選ばれし者でもない!ただの愚民風情のお前に…何故僕が膝を付けないといけない!!」

「…」

「答えろ!お前は何なんだ!!」


春斗は言い放った。


「俺は彼女すら守れなかった化け物だ」

「は?」


彼の両目の瞳から光が消え、真っ黒の双眸をルゥサに向ける。

笑顔を知る葵たちも今の春斗の表情には驚きが隠せない、そして春斗に彼女がいたことも。


「中学生の時にな、彼女がいたんだよ。本当に綺麗で俺に似合わないくらい元気な子が。ソイツが隣の学校の連中に攫われてさ、主犯に『助けてほしければ別れろ』ってな。んで学校に乗り込んで全員ぶっ潰して、助けたのは良いが…俺のせいで危険に侵されたという事実は覆らない。だから別れた、彼女に危機が迫る前に行動できなかった俺を恨みながらな」

「…」

「だから俺は守るんだよ、皆を。前の俺と決別するために」


双眸に瞳が宿り、見据える。


「でもお前に何者かと問われたらこう答える。俺は俺だ、それ以外の何者でもない」

「貴様…!」

「来いよ、ここで終わりたくなければな」

「…後悔させてやる!!」


ブレードを構えて春斗に突撃するルゥサ。

だが春斗はブレードを左手の平で受け止めた。


「なにっ!?」

「甘い、お前はAGを活性化できないのなら元々のスペックを上げればいいとほざいてたな。1つ教えてやる、AGはスペックが全てじゃない。それに俺がいなくてもIGD学園の皆がいた。フレヤとアイヴィーはお前よりも圧倒的に強い」


そういいながら春斗はブレードを握りしめる。

ミシミシとブレードから音が鳴り、ヒビが入り始めた。


「この焔は、俺の全てを出し切れる機体だ。そもそもの俺が強くなければ意味がない。乗りこなすAGのスペックを知り、操縦者も努力し強くなる。それで初めて機体と操縦者の関係が出来上がるんだ。お前とその機体の関係は力を持つ者とそれに媚びを売っている小心者だ」

「貴様ァァァァァ!!!」


怒りのままヒビが入ったブレードを無理やり振り下ろそうとするが、バキンッ!と音がなりブレードが折られる。


「だから甘いって言ったんだ!」

「がっ!?」


折れたブレードの先をその場で捨てた春斗は、右の拳を握りしめてルゥサをぶん殴る。


「俺の家族が作り上げたモノは世界を守るために作ったものだ、お前のような人間にふさわしくない!」


春斗は殴られ倒れたルゥサに言い捨てた。


「九条春斗ォォ!!!」


刃が折られたブレードを握りしめながら突撃。


「終わりにしてやる」


「『暁光来光ぎょうこうらいこう』」


春斗が呟き篝火を納刀した瞬間、キィィィィィンと全身から音が鳴り響き焔の全ての装甲がバカッと開き放熱機構が露出する。

そして4つあったうちの二つのジェット機構が備わったウィングが春斗の両足につき形を変えていき、レッグにダガーが展開され、両腕の装甲が変形しレーザークローが現れた。

この変形はまぎれもない、羅刹を元とした変形。


『やはり、羅刹を元とした形ですね。白鉄がデータとして残していたのでしょうか?』

「かもな、俺と赫蝶の羅刹が想像以上に強かったのかもしれない」

『もちろん、相棒ですからね』

「…何か感情が表に出るようになったな?」

『べ、別にそういうわけではありません!とにかく早くこの戦いを終わらせましょう!』

「あぁ」


武装は羅刹の時と同じだが、装甲と言ったその他もろもろが焔の仕様に変わっている。


「行くぞ!」


春斗は正面からルゥサに殴りかかる。

振りかざしてきたブレードをいなし、右足のダガーと共にハイキック。

ルゥサの乗るAGの胴の部分の装甲にヒビが入り砕ける。


「ぐっ!?」


そのことに一瞬で気が付き空へ後退するが春斗の攻撃の嵐は止まない。

逃げても、下がっても、避けても。レッグダガーの蹴りとレーザークローの殴りの雨は止まない。

むしろドンドン攻撃は激しさを増していく。


「はあぁぁぁっ!!」


攻撃が激しくなっていく度に春斗の周りの風景が歪み始める。

放熱機構が大量の熱を放出している影響だろう。


「クソ…!おい、タービュランス!聞いているだろう!助けろ!!」


防戦一方どころか計画そのものが失敗の道をたどっている。

そこでルゥサは多額の金を積み上げ、依頼したタービュランスに連絡する。

しかし…出ない。


「な、何故出ない!僕は依頼主だぞ!」

『聞こえるかしらストリーム、いえ九条春斗?』

「テンペスタ…!?」

『この通信は貴方にしか聞こえないわ安心して頂戴』


攻撃の嵐を浴びせながらテンペスタからの通信に耳を傾ける春斗。


『まずは君に解雇通知を言い渡すわ、君には帰る場所があるだろうしね。そっちで過ごしなさい、もちろんこっちに戻ってきてもいいけど』

「…」

『それとルゥサは殺さないで、生きたまま捕えてほしいわ』

「分かった、どちらにせよ殺しはしない」

『そう、ならよかったわ。それと個人的に一言いいたいの』

「…?」

『今までありがとう、貴方が居たタービュランスは少し楽しかったわ』

「…こっちこそ。雇い雇われの関係だったが少し楽しかった」


お互いの感謝と最後の依頼を聞き、春斗は攻撃に集中する。

といったもののルゥサの機体と身体はボロボロだった。


「せめて…せめて…!」

「もう遅いッ!!」


何か行動しようとしたルゥサ。右手に持ったスイッチ的なものを春斗の左足のキックで真っ二つにされて右足のかかと落としが頭部を捕える。

そのまま山へ落下していくルゥサ。それを追うように春斗も下に降りていき地面ギリギリで頭部を掴む。


◇◇◇


「あっぶねぇ…コイツがシールド無いこと忘れてた」


流石にこのAGにも操縦者保護機能はあるとは思うが…落下死何て起きたら目も当てられないので一応助けた。

受け止め方?知らん、どうせ敵だ。慈悲はいらぬ。


「お疲れ様、ダーリン」

「…透明化で見てたのか?」

「もちろん」


いったい何処から何処まで見ていたんだ…?

まぁいいか。


「じゃあルゥサの事はタービュランスに任せる、それでいいな?」

「わかったよ、それとダーリン」

「うん?」

「テンペスタから伝え忘れてた事があるって」


テンペスタが伝え忘れたこと?


「えっと…斎条康子って覚えてる?」

「あー…そういえば居たな。AG行動隊に連れてかれてったヤツ。それが?」

「実はね、今日の昼ぐらいに殺されたみたい」

「…は?」


こ、殺された…?


「獄中自殺じゃなくて他殺、誰かに殺されたみたい。先に言っておくけどタービュランスじゃないからね」

「…一応信じる」

「ありがとう!流石ダーリン♡」

「…」


凄く衝撃的な事だが…ハリケーンの変わらない態度にやや呆れる。

コイツのテンションについていける気がしねぇ。


「じゃあね、ダーリン。また戻ってきてもいいんだよ?」

「…考えとく、望み薄だがな」

「ふふっ、それとね」

「?」


ルゥサを雑に地面に放り投げて俺に距離を詰めてくるハリケーン。


「前に私と同じっていったよね?」

「あ、あぁ」

「実は私もダーリンと同じなの、身体の一部が機械で出来てる」

「!?」

「補強された理由は全然違うけどね、私は野垂れ死にかけた所をテンペスタに拾われたから」

「そう…なのか」

「でもいいの!ダーリンと同じだから、これだってあの子たちとは違う唯一の共通点でしょ?」

「…俺はお前のテンションについていけねぇよ」


コイツの頭は何で出来ているんだ…?

まさか、補強された部分が頭だからとかなのか?いや…変に考えこむのは止めよう。


「ふふっ、じゃあ今度こそ」


チュッと音と共に頬に柔らかい感触。


「!?」


考え込んでいたら隙を突かれハリケーンに頬にキスをされてしまった。


「ば、馬鹿?!何してんだテメェ!?」

「あははっ!意外とダーリンって初心で隙が多いんだ~…?」

「ぐっ…!」


何も言い返せねぇ…!!


「それじゃあね!」


地面に転がったルゥサを雑に持ってハリケーンは空に向かって飛んでいき、夜の闇に消えていった。


「終わったな」

『…そうですね』

「赫蝶?何か不機嫌そうだな、どうした?」

『なんでもありません!ほら、早く戻りますよ!!』

「???」


何故、ここまで不機嫌になったのか理解が出来ないまま俺は広場に飛んでいった。


ーーー


道中は何事もなく少し夜空を眺めながら飛び、広場に着地。

焔を解除した瞬間、拍手の嵐が俺を襲った。


「な、何だぁ!?」

「春斗さん!!」

「ぐぉっ!?」


それと同時にフレヤが駆け寄ってきて俺を抱きしめた。


「ふ、フレヤ!?」

「良かった…良かった…!」

「ち、近い…!」

「ず、ズルいぞ!私も行く!」

「僕も僕も!!」

「私もだ!」


それに続くように俺に抱きついてくる葵、レベッカ、アナスタシア。


「ま、また隙間ない…」

「え~、お姉さんも抱きつきたいな~」

「…」


それを恨めしそうに眺めている水津、雪華さん、何故かアイヴィー。

原因はフレヤか、でも何で俺じゃなくて抱きついている4人を見ているんだ…?


「と、とにかく離れて!」

「「「「ヤダ!」」」」

「ヤダじゃねぇ!!」


半ば無理やり4人を引きはがし、亡骸となったカタストロフィの元へ歩く。

コイツには赫蝶が搭載されているギアが三つあった、そのなかに居る赫蝶も回収しないと。

するとガチャッと音が鳴り、カタストロフィが立ち上がった。


(コイツ、まだ動くのかよ!?)


驚きつつも焔を展開しようとしたが…様子がおかしい。

切り裂かれていない右手でカタストロフィ自身の胸部コアを貫き、割れた赫蝶が搭載されえているコアを俺に差し出してきた。

何故そんな行動をしたのか分からないまま、それを受け取るとカタストロフィは力なくその場に倒れた。

とにかく、ギアは回収はした。後は赫蝶を…。

と思った次の瞬間。


「ゴホッ!?ゲホッ!?はぁッ…はぁッ…!?」


全身にどっと疲れが出てきて視界がぐらつき呼吸がままならず膝をつき、倒れる。


「春斗さん!?」

「九条!?」

「息が…!!ゴホッゴホッ!?」

『まぁ…ですよね。春斗、貴方は今日だけで自壊に耐えながら暴走したモノレールを止めて生身でレーザーを二回受け止めて、デリートレインを受けて焔を纏いカタストロフィをルゥサと戦いましたし…逆によくここまで倒れずに戦えましたね』

「理…由を説明してる…場合じゃ…!?」

『大丈夫です、静かに眠ってください。ギアの中に居た赫蝶ももうすでに春斗の身体の中に入りましたから』

「はぁッ…はぁッ…」

『まぁ人間ですし、意識を失わないように考えるのはしょうがないですよね。では春斗、花畑で会いましょう』


赫蝶の声が聞こえたと同時に、目の前が真っ暗になった。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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