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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
58/122

第56話 焔

皆様、お久しぶりです。作者の雨乃時雨です。

まず遅れた理由を。

単純明快なのですが新年早々某ウィルスに感染し、元々小説の文の作成にも使っていたPCが死んで投稿に遅れました。未だにどちらの影響も受けているのでしばらく投稿ペースが落ちます。

ご了承ください。

朦朧とした意識の中。

幻聴、幻覚だと思った白鉄から流れ出した音声。

俺の親が言った事だ。本当の事なのだろう。

俺の身体は人工ナノマシンとギアが搭載された人工血液で出来上がっていた。

赫蝶を纏ったときから思ったが、元々の俺は人間ではない。

今更驚きもしない。


『貴方はどうしますか?』


その声が聞こえた瞬間、風景が切り替わり、いつか見た巨大な桜の木が映った。


「…」

「貴方はどうしますか?」


原っぱから身体を起こし、桜の方を見ると白鉄ではなく炎を纏った白い袴の女性が立っていた。


「立ち上がるよ、皆を守るために。それにアンタとも約束したはずだ、守るために力を振るうと」

「…ではもう1つ聞かせてください」

「?」


俺に近づきながら語る女性。


「貴方は家族を許しますか?」


俺に問うのは家族を許すのか許さないのか。


「貴方は自分の意思ではなく家族の意志によって人と呼べるか分からないモノになってしまった」

「…」

「そんなふうにしてしまった家族を貴方は許しますか?」

「…」


「許すよ」


俺の答えは決まっていた。『許す』。


「確かに周りから見たらこの行為は褒められるのか分からない。もしかしたら否定されるかもしれない。でも俺は感謝してる。家族のお陰で生きていられること、どんな出会いであれ家族のお陰で『大切な人たち』と出会えたんだ。もし俺が死んでいたら皆と会えなかったし笑って過ごせなかった。だからこそ許す、そしてありがとうと感謝を伝える」

「…それが貴方の答えなのですね」

「あぁ」


風が靡き、桜が吹いてくる。


「本当に優しい少年ですね」

「優しくなんか無いさ、俺は何処にでもいる人だよ」

「それなら、その優しさが無ければ貴方の帰りを待つものはそこまで大量にいないのでは?」

「?」


女性が指を指した方向をみる。そこには。

爺さん、婆さん、葵、フレヤ、レベッカ、アナスタシア、水津、雪華さん、アイヴィーなど様々な人が俺を見ていた。

あぁ、そうだったな。

俺の身体が化け物でも帰る場所はあった。

俺の帰りを待ってくれた人がいた。


「春斗」

「赫蝶」


その人たちから一歩進み俺の右手を握る少女。

右腕にはお互いを繋いでいた鎖は無くなっていたが、それでも俺と共にいることを選択してくれた。

それにも感謝を。


「もう一度問います、貴方はどうしますか?」


「俺は立ち上がる。大切な人たちを守るために、もう二度と失わない為に。例え俺が人間でなかろうと化け物であろうと帰りを待ってくれる人がいる。そのために俺は戦う」


ーー家族の意志が宿る我が肉体よ。


ーー力を貸せ。


ーー心火を灯し、もう一度立ち上がろう。


「私は白鉄の中に宿る蛍火、名を『(かがり)』」

「私も、貴方と共に」


女性に手を伸ばしたと同時に意識がはっきりと戻ってきた。

白鉄の手を握り、立ち上がる。

そして纏う。家族の作り出したものを。


「行くぞ」


無垢の刃を、いや無垢の()を握る。

ゼフィルスを破壊した時、朧げだが記憶の中にある。

俺の剣はまだ抜刀されていない。

『無垢』とは何もない、だが何もないからこそ何にでもなれるのだ。

金属が擦れる音が鳴り、無垢は本来の刃を俺に見せた。

刀身は赤く染まり、炎を帯びた刀身、名を『篝火(かがりび)』。

そして頭の中に流れ込んだこの機体の名前を叫ぶ。


(ホムラ)ァ!!」


刀を天に掲げると白鉄の姿が変わっていく。

白黒の装甲は赤色と橙色に姿を変え、全身から焔が飛び出しそれを帯び、天へと舞う。

浮遊していたジェット機構は二個から四個に増え、その間に火の輪が出現し、六方向に刃のようなものが伸びた。

これが、焔。


『お久しぶりです、搭乗者九条春斗』

「白鉄…いや、焔」

『これにて黒鉄は最終形態である焔へとなりました。戦闘効率強化AIとしても役目はここまでとなります』

「お別れか?」

『はい。ですが焔と貴方が共にある限り私も居ります。どうか忘れずに』

「忘れないよ」

『そして最後に一つ。この機体は貴方の母である夏樹博士の『篝』が内部に完全にインストールされていました』

「もしかして、あの時の拡張パーツ?」

『はい』


そうだったのか。元にした機体は篝だったがそれがこの機体の中に。

母と同じものを宿した機体か。


『後は貴方に全てを委ねます。貴方の母と父が作り上げた焔を』

「あぁ…任せろ」


返事をした瞬間、ふっと焔の中の何かが消えた気がした。

ありがとう、俺を最初から支えてくれて。

だから安心してくれ。

赤い刀身をカタストロフィに向ける。


「九条…春斗ォォ!!」


例え傷だらけで有ろうとも、関係ない。

なにより負ける気がしねぇ。


「友を巣くう永遠の闇も、永遠の夜もここで全て終わらせてやる」


「俺の家族が作り上げたこの機体、守った俺の肉体、そして育て上げてもらったIGD学園や守るべき大切な者たちの為に、俺は火を灯す」


「俺は九条春斗!元IGD学園の生徒、そしてこの世界を守ろうと動いた九条夏樹と九条克樹の息子!」


「太陽は昇り闇を照らす!!」


焔を宿し、カタストロフィに立ち向かう。

今までの中で一番力がみなぎっている。どういう原理か知らないが俺の肉体が答えてくれているようだ。


「笑わせるなァァァ!!!」


正面からの拳と刀の鍔迫り合い。


「甘い!」


拳を正面から受けと止めつつ右に流し、胴を斜めに斬る。


「くっ!?」


右足のみインパクトブーストし、空へ蹴り飛ばす。


「はぁっ!」


刀身に力を込めて左右に切り込む。

黒鉄、白鉄と乗ってきた俺だからこそわかる。この焔は元々乗っていた二機の力を宿し、俺を知り俺の100%を出せる機体。

一体感?いや違う、もはや俺の身体の一部のように動く。

篝火の炎と斬撃でカタストロフィの装甲を焦がし、傷を与える。


「あ、あり得ない!この機体にはギアが3つ搭載されているはずだ!こんな…こんな機体なんぞに!」


無理やり振り下ろしてきた拳を俺は赫蝶を纏った左手一本で止めた。


「何ッ!?」

「…お前のような人間に、俺の家族の発明品を使っていい理由なんてない」


そしてその強靭な拳を正面から弾き飛ばして、ルゥサの顔面目掛けて左ストレート。

顔面を捕らえた拳をそのままねじりこみ下に向かって振り抜く。


『春斗!大丈夫ですか!?』

「赫蝶、あぁ今まで以上に身体がみなぎっている。傷だらけなのにな」

『いえ…違います。自身の身体を見てください』

「?」


赫蝶に言われるがままに自分の身体を見ると、ズタボロになった身体は傷は…いつの間にかふさがっていて直っている。


「!?」

『治しておきました』

「え、エネルギーは?」

「焔の専用アビリティのお陰です」

「ま、マジか!?遂に俺にも専用アビリティが…!!」

『そ、そこまで喜ぶんですか?』

「当たり前だろ!」


黒鉄と白鉄の時にはなかったからな!


「んでその専用アビリティって?」

『それは…』


◇◇◇


「春斗さん!?だ、大丈夫ですのあれは!?」

「こ、これが…春斗の機体のスペック…!?ありえない…!」


今の春斗を見て滅茶苦茶焦っているフレヤと春斗の乗っている機体のスペックに驚きを隠せない水津。

焔のスペックは現AGの最高スペックを上回り、出力もかなり高い。だがあのカタストロフィの方がもっと高いが…あの拳を焔は片手で受け止めた。

どう考えてもおかしい。


「何とかして加勢してやりたいが…!」

「今の僕たちにはAGが使えない!」


葵とレベッカは何とかして加勢したいが、現在磁場装置の影響でAGが展開できないようになっている。

すると


「助けに行きたいかしら?」


テンペスタが皆に話しかけてくる。


「…何のつもりだ」


ナイフを構えてテンペスタの前に立つアナスタシア。


「簡単よ、AGを使えるようにしてあげるわ」

「何だと?」

「正直な話、ルゥサにはいい加減退場してほしいのよね。もうお金も無いだろうしこれ以上タービュランスを雇うことは不可能。それに…執行しないといけないから」

「…」

「サイクロン」

「わかった」


テンペスタがサイクロンに命じ何かの機械を破壊した。


「何を…?」

「さ、移動するわよ。サイクロン、ハリケーン」

「あぁ。おら行くぞ」

「え~、もう少しダーリンの勇士…というか迎えは?」

「もうストリームは帰ってこないわ」

「ちぇっ、帰ったらイチャイチャしたかったのに」


そうしてタービュランスの機体が作戦区域外へ飛び去っていく。


「スプライト!」


フレヤが自身の機体の名を叫ぶと…。

粒子がフレヤを包み込み赤い装甲に包まれ、スプライトが装着された。


「使えますわ!でも…」

「でも?」

「エネルギーがありませんわ、恐らくあの磁場の影響で…」


AGを展開できたのは良いが別の問題が発生、AGのエネルギーが空っぽだったのだ。

パワーも、シールドも、ヘルスも。これでは戦えない。

そこへ。


「フレヤ!」


焔を纏った春斗が飛んできた。


「戦うのか?」

「戦いたいですが…エネルギーが空ですの」

「…そうか、なら任せてくれ」

「え?」

「元より俺は守るために、フレヤとアイヴィーの因果を断ち切るために戦っている」


カタストロフィに視線を移して篝火を構える春斗。


「だから…その、こういう時何ていえばいいのか分からないが願ってて欲しい」

「…ふふっ、分かりましたわ」

「な、何で笑う!?」

「いえ、春斗さんらしいなと思いまして」

「どう反応すればいいのか分からないぞ、それは…」

「どのように反応しても構いませんわ。春斗さん、どうかお願いします」

「あぁ、任せろ」


右手に篝火を握りしめ、刀身と炎を左手でつーっとなぞる。

春斗は篝火を構え、ルゥサに敵意を向ける。

そして左の指を動かし挑発。


ーー『来いよ』と。


「はっ!どれくらい持つのか見物だなぁ!!」


挑発に乗ったルゥサは正面から春斗に向かって突撃し、連続パンチを振りかざす。

互いの拳と刀が交わり、火花が散る。


「オラオラァ!!」

「…」


このまま行けば優勢を取れると過信したルゥサは拳のスピードを上げるが気が付く。

徐々に押されていることに。拳が春斗に届かず、むしろ春斗の刃はカタストロフィに傷をドンドン追わせていく。

そして遂に拳は振りかざせなくなり防戦一方へ切り替わっていく。


「く、クソ!!」

「無駄だ、こんな空っぽな拳じゃ俺には届かない」


刀身を両手でガードしたことを見越して上に向かって刀を振り払い拳と一緒に体勢を崩させ、胴への一閃。

更に一閃の後、刀を右肩辺りに構え上に切り上げ上に上げる。


「ぐっ!?」


空に上げられたルゥサは春斗を見て、その刀身を防ごうとするが右手に持っていた篝火は左手に逆手持ちされていて、空になった右手には赫蝶が集まっていく。


「パンチは一撃でいい」


赫蝶で纏った右手の拳はルゥサの溝を捕える。


「げほっ!?」


胸辺りを押さえるルゥサ、そんなことも気にせずに春斗は纏われた赫蝶で顔面を掴み地面に投げる。

下に向かってインパクトブーストしながら赤い刀身を鞘に収める。

刀身の有効距離に入った瞬間、春斗は抜刀。

斬撃はカタストロフィの胸部に深刻なダメージを与えた。

胸部コアを覆っていた装甲は切り裂かれ、コアにダメージが入る。


「がはっ!?」


その攻撃によりカタストロフィの機械の出力や機器に異常が発生し、制御が効かず受け身が取れなくなり…そのまま地面に激突。


劫火(ごうか)よ!」


抜刀した後、刀を構えなおし炎を宿す。

そしてその炎をカタストロフィに放つ。放たれた劫火はカタストロフィの身体という身体をルゥサ諸共燃やしつくし融解していく。


「あ、熱い!?」


何とか制御を取り戻したカタストロフィとルゥサは地面に寝転んだ状態で無理やりインパクトブーストし、劫火から脱出。


「テメェ…!!」


怒れる者と激怒しているモノ。

再度相まみえる。


「お前は何なんだ!何故俺の邪魔をする!俺はガリアルド家の貴族だぞ!!」

「それがどうした」

「…は?」

「俺からしたらお前は友人の人生を害する者だ。大した力もねぇ、それを動かすほどの度量もねぇ、そして友人たちの周りを飛び回る蟲に過ぎない」

「貴様…!」

「だからそんな力に頼るしかできないんだろう?」

「貴様ァァァァァ!!!!」


怒りのままに正面からアプローチを仕掛けるルゥサ。

そのアプローチに春斗は刀を下から上に切り上げる。

刀身は振りかざしてきた左のアームを捕え、火花を散らしながら斬る。


ーーキィィィィィン…


「は」


綺麗に、真っ二つに。


「何だと!?」

「ふん!」


レフトアームが無くなったカタストロフィに容赦なく蹴りを入れ込む春斗。

吹き飛ばされるが体勢を立て直すルゥサ。


「き、さま…!!」

「シールドエネルギーもない、武装も拳か光線のみ。お前は何のためにそれを作れと依頼したんだ?」

「黙れ!」


問いかけに怒りを返し、胸部に粒子を集めていく。


『春斗!カタストロフィの胸部コアに高エネルギー反応が!』

「分かっている、これでいい」

『え?』

「アイツは誰の言う事も効かず、権力によって自身の手を汚さず、人々を操り、欲望のままの行動を繰り返した。そんな人間にどれだけ言葉を与えたところで変わりはしない、だからこそだ」


ふぅ…っと息を吐き、刃先を横に向け構える。


「俺は、真正面からアイツを捻じ伏せる」

「デリート…レイン!!」


春斗の目の前に黒い光が広がる。

それを見た瞬間、その光線に向かって春斗はインパクトブースト。

赫蝶、そして下から見ていた皆はそれは自殺行為だと思った。

だが春斗は違う。

その焔は消えていない。

刀身に宿った炎は先程よりも滾っている。


(焔舞…!)


頭の中で呟きながら目の前の閃光に向かって、刀を振りかざす。

左、右と斬り、上へ切り上げて回転し右斜め上、左斜め上へと切り上げて右に一閃。振り抜いた刀を。


ーー光線を切り裂きながら胸部コアに一突き。


なんと春斗は光線を切り裂きながら前へ前へと進み、カタストロフィに接近し胸部コアを貫いた。

突拍子なことにルゥサを含めた全員が理解できなかったが、そんなこと気にせず春斗は身体を貫いた刀身を突き刺したままグルグルと振り回しカタストロフィを上に投げた。

それについていくように上に向かってインパクトブースト。


「…!!」


篝火を両手で握り直し、視界の中心にカタストロフィを捕える。


『春斗、カタストロフィのギアの位置が分かりました!胸部コアの中に三つ連なって装着されています!』

「ありがとう…赫蝶!」


心の中でも感謝し…浄化の一撃を構える。

友を覆った闇を、巣くった害虫を一掃する劫火。


ーーその赤い刀身は


ーーカタストロフィのコアを


パキッ…!


ーー破壊した

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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