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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
56/122

第54話 この身、朽ち果てようとも

ーービーッ!ビーッ!


「な、何だ!?」


唐突に駅から警報が鳴り響く。


『ただいま、IGD学園と楼楚高校が乗っているモノレールが暴走中。停車駅に停車されている車両とぶつかる可能性があります』

「!!!」

『他の駅も同様の事故が起きる可能性があるため、お客様は避難してください』


IGD学園に…楼楚高校の乗っているモノレールが暴走…?

楼楚高校は谷氏、たそ、はちお…そして元カノである明奈がいる高校だ。


「はるちゃん!避難しないと…」

「…」

「はるちゃん?」


絶対にアイツだ。

俺との約束を破棄しやがったな…!!

今から止めに行こう、だが…。


「どうした春斗!避難するぞ!」


爺さんと婆さんがいる。

もし黒龍を纏って、二人に拒絶されたら俺は。


(…いや、いい。もう拒絶されていい)


俺の命一つでIGD学園の皆と親友たちを守れるなら。

俺の人生くらい捧げてやる。

訣別の時だ。


「爺さん、婆さん。ごめん」

「きゅ、急に何を言ってるんだ?」

「…知ってるだろう?俺は」


「化け物だ」


コートを脱ぎ捨て、俺の全身に赫蝶と鎖が纏われ変形した全身を爺さんと婆さんに見せる。


「強靭な爪も、足も、角も、翼もある。こんな俺のどこが人間なんだ?」

「…」

「…俺は今日を持って家から出ていく、俺みたいな化け物は家族の傍に居ないほうがいい。だから、俺のことはもう忘れてくれ」

「…春斗」

「…なに?もう化け物に話しかけないほうが良」


「この…バカ者がぁぁぁ!!!」

「!?」


決別をしようとしていたら急に爺さんに頬を殴られる。

俺にダメージは無いが急な事で身体がよろけて尻もちをついてしまった。


「じ、爺さん…?」

「何を勝手に先走っているんだお前は!!いつ!誰が!お前の事を化け物といった!!」

「いや…言ってないけど、でもこんな姿じゃ」

「あぁ!周りから見たらな!だが…お前は立派な息子だ!少し姿が変わったくらいで拒絶するような親が何処にいる!!」

「!!?」


俺の人間とは思えない右腕を掴み、俺を立ち上がらせる爺さん。


「…わしには分かる、こんな身なりになろうともお前の心は生きている。それだけで立派な『人間』ではないか」

「…じいさん」

「はるちゃんは助けに行こうとしてるんでしょう?友達たちを」

「ばあさん…」


今度は俺の左腕を握りしめる婆さん。


「なら息子の背中くらい押してやらないとね。はるちゃんはあの二人に似て優しい子だから」

「あぁ。本当はもう少し早く言って欲しかったがな」

「え?」

「元々あの龍を見たときに少し驚いたがお前はわしたちを守ってくれた。例え化け物のような姿になろうとも春斗の心は失われていなかったからな」

「だから…無事に帰ってきて」

「世間がお前を化け物と罵ろうとも、わしたちはお前の家族だからな」

「…!!」


自覚せずに俺の目から涙が零れる。


『春斗、大丈夫ですか?赫蝶を使えば…』

「分かってる、でも…やろう。皆の為に俺はあのモノレールを止める」


濡れた頬を拭う。


『分かりました、なら私も逃げません。春斗と共に戦います』

「死ぬかもしれないぞ?」

『それでもです、私は貴方の相棒ですから』

「…あぁ、そうだな!」


モノレールの線路を見る。それと今のモノレールの位置も。

正直、ここから飛んで件の場所まで行き何とかして止める。赫蝶と俺のエネルギー全部を使うしかない。そうなれば自壊は確実に悪化する。

…それでもだ。


「すみません、よろしいですか?」

「!」


すると俺の後ろから声をかけられる。恰好的に駅員の人か?


「水を差すようですみません…現状あのモノレールを止められる人は貴方しかいません。のでこちらとしても貴方に精一杯の援護をさせてください!」

「援護?」

「AG射出装置を起動!」


駅員さんがコンソールを操作すると俺の目の前にあるモノレールのレールが変形しだして…射出装置が現れた。


「これは…!」

「もしもの時のモノです。これなら空中に飛び出してもそのままの速度で加速できるようになるかと」

「ありがとうございます!」

「こちらこそ、九条春斗さん」

「何で俺の名前を?」

「…私は一度貴方に助けられているんですよ、あの赤いレーザーに」

「!!」


もしかして…ゼフィルスの時か!?


「そして私の娘が今あの停車駅に居るんです…どうか、娘をお願いします」

「任せてください」


その駅員さんにお礼を言いながら変形したAG射出装置に翼を足を預けて体勢を整える。


「では私たち駅員一同は貴方に全てを賭けます!ご武運を!」

「はるちゃん!頑張って!」

「必ず成し遂げて帰ってこい!!」

「…あぁ!!」


周りの人の応援が俺の身体中にエネルギーを与える。


ーー行こう、相棒。皆を救うために!!


ビーッと音が鳴り響きAG射出装置が起動、もの凄い勢いで俺の全身に負荷と激痛が恥じるがそんなことどうでもいい。

射出されたと同時に翼のジェット機構で一気に加速。


『此処からは私がサポートします、まずは暴走した車両まで行きましょう!』

「了解!」


◇◇◇


「くっ…万事休すか?」


暴走したモノレールの中は混沌に包まれていた。

現在時速450kmで進むモノレールを止める手段がない。AGは使うことはできず、メインフレームは乗っ取られ制御システムにも侵入できない。

すると


「み、御影先生!!高エネルギーを纏った『何か』がこちらに向かって超高速で向かってきています!」

「何か…?」


柊木先生の声と共に列車の横に現れる赤色の水星。


「く、九条!?」


まぎれもない九条春斗だった。


「しゃっらぁぁぁぁぁ!!!」


そしてそのまま赫蝶を纏った春斗は列車の中に侵入。


「は、はるちゃん!?」

「谷氏、たそ、はちお…すまんな、こんな姿で」

「いやいい。今更親友がこうなったところで別に驚きもしない」

「あぁ。親友を貶す恩知らずなんか何処にいるんだよ」

「…お前ららしいな。とりあえずこのモノレールを止めに来た、全員対ショック姿勢を取っていてくれ。それを皆に伝えてくれ、頼む」

「任せろ!でも扉が…」

「開かぬなら」

「え?」

「こじ開けて見せよう!!」


春斗は固く閉ざされた扉に右手をかけてドアをこじ開ける。


「これなら行けるか?」

「この姿になっても結局は脳筋か」

「ほっとけ!」

『このまま先頭車両の運転席に行きましょう!直接緊急ブレーキがかかるか試してみます!』

「あぁ!!どけどけぇぇぇぇ!!!」


閉ざされた扉を難無くこじ開けて前へ前へ進んでいく。

どんな障害でも、この龍の前では全て無に等しい。


「オラオラァ!!」


ガンガン扉をこじ開けていき先頭車両の扉をこじ開ける。


「ふん!」

「は、春斗さん!?」

「…フレヤ」


そこには元クラスメイト達が。


「あの…言いたいことが」

「すまんな、今は喋ってる暇もない。後で聞かせてくれ」

「は、はい!」

「赫蝶、行けるか?」

『任せてください、壁に着けられたダクトから直接運転席に乗り込みます』

「任せた!」


龍を纏った身体から赫蝶が数匹飛び出し、ダクトから運転席に侵入を試みる。


『…緊急停止レバーを見つけました!』

「よし!乗客全員対ショック姿勢を取れ!緊急停車を試みる!」


春斗が叫んだと同時にIGD学園と楼楚学園の教員と生徒が座りショック姿勢を取る。

それを確認した春斗は…。


「やれ!」

『了解です!』


赫蝶に指示を出して緊急停止レバーを引いた。

次の瞬間


「ぐぉっ!?」


モノレールはその速度のままレールに車体を擦り透け、揺れるモノレール。

摩擦で無理やり止まろうとする、しかし…。


『…ダメです。このままではモノレールの衝突は避けられません』

「ダメか…!」


赫蝶の計算だとスピードは落ち切らず、停車駅のモノレールと正面衝突してしまう。


「春斗さん…」

「…赫蝶、俺の身体はあとどれくらい持つ?」

『…わかりません』

「分かった。このままじゃ速度は落ち切らないんだろう?なら俺が直接止める」

「えっ!?」

『そ、それは…』

「あぁ無茶だろうな。だが分かってるだろう?お前の相棒がどんな奴か」

『…そうですね、分かりました。やりましょう』


ダクトから残りの赫蝶が春斗の身体に戻ってきたことを確認した春斗はモノレールの窓を開けて外へ飛び出そうとする。


「春斗さん!」

「…」

「…どうか帰ってきてくださいまし」

「出来たらな!」


春斗らしい返事を残し、外へ飛び出す。

翼から赫蝶の粒子が飛び出し、春斗は加速する。

空中でターンし、モノレールの先頭車両を目掛けて再度加速。

そして


「行くぞ…赫蝶!」

『はい!!』


先頭車両に両手を添えてレールに足を付けて無理やり止めにかかる。


「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

残り4123m

時速389km/h


全身の激痛に耐えながらも両足を踏ん張り、両手を前に出し止めにかかる。

全ては友の為。約束の為。みなを守る為。

この身が朽ち果てようとも、助けるために。


ーー止めるんだ。


「ぐっ!?」

残り3876m

時速356km/h


ーー絶対に。


「まだまだぁぁぁぁぁ!!」

残り3567m

時速348km/h


ーー命に変えても。


「うぉぉぉぉぉ!!!」

残り3341m

時速321km/h


ーーみんなを守る為に!


残り2984m

時速284km/h


より一層力を籠める。


『これは…!?』


そして赫蝶は気が付く、春斗の身体の異変。

血の流れ、心臓の脈動、活性化する全身。

春斗は自分の身体に何一つ気が付いていないが赫蝶は気が付く。


(まさか…春斗は)


春斗の活性化と赫蝶の力によりモノレールはより速度を落としてゆく。


残り2543m

時速254km/h


徐々に近づいてゆく停車駅。


残り2156m

時速224km/h


「ぐぉぉぉぉぉ!!!」


残り1879m

時速203km/h


身体が激痛に蝕まれようともお構いなしに止めにかかる。


残り1543m

時速187km/h


「友を…旧友を…約束を…!」


残り1245m

時速154km/h


「守れないで…!」


残り987m

時速142km/h


「何が…!!」


残り789m

時速124km/h


「男だぁぁぁぁぁ!!」


残り543m

時速92km/h


顔面を先頭車両に叩きつける春斗。


残り479m

時速61km/h


頭部から血を流そうとも気にしない。


残り221m

時速48km/h


全ては『守る』その一心で。


残り132m

時速39km/h


ーーー


残り7m

時速0km/h

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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