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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
53/122

第51話 私を救ってくれたのは彼でした

「…」

「お疲れダーリン♡」

「…はいはい」


自分の頬に跳ねたAGのエネルギーを拭い、こちらに駆け寄ってきたハリケーンを躱して目標を捕えた。

…人間、慣れるものだな。深夜になったら家を飛び出し、タービュランスと合流して任務を遂行して朝になる前に家に帰り寝る。

こんな日常に慣れた。


『流石よストリーム。さ、二人とも撤収しなさい』

「りょーかい♡」

「了解」


俺がタービュランスに所属してからしばらくの時が経った。もう日付もろくに数えていないし、今が何月何日なのかも分からない。

全てが『どうでもよかった』。

IGD学園に仇を成すものを全て片っ端から潰し、敵勢力のエネルギーを糧にしてまた新しい敵をつぶす。それを繰り返しているうちに全てがどうでもよくなっていた。

…俺はこれでいいのだろうか。


「お疲れ様、ハリケーン、ストリーム」

「まぁ私とダーリンならどんな敵もいちころだし?」

「…」

「それとストリーム、報酬よ」


迎えのヘリに乗り込むとテンペスタから500mlくらいのAGのエネルギーを手渡され、それを赫蝶で吸収していく。


「赫蝶、これでどれくらい持ちそうだ?」

『あと一週間と二日ですね』

「そうか…」


AGのエネルギーにしてから任務を行ったのちに多少なりともおつりが出るようになった。


「それにしてもストリームこと九条春斗君を引き入れてから業務成績がうなぎ上りね。どんな依頼を受けるわけじゃないけど特殊条件下になれば突風が吹き全てが終わる…そんな最強の従業員が手に入ったわけだしね」

「完全に入社したわけじゃないけどな」

「いいのよ?入社しても」

「流石に遠慮する」


エネルギーで濡れたブレードを布で拭いホルスターにしまう。


「…ふぅ」


そういえばしばらく時を重ねたけど、そろそろフレヤの誕生日か。

何か送ってあげたいが…。


「どうしたのダーリン?」

「…なぁテンペスタ」

「何かしら?」

「女性ってどんなものをプレゼントすれば喜んでもらえる?」

「…まさかそんな質問が飛んでくるなんて意外ね、何かあったの?」

「思えばそろそろフレヤの誕生日だ。何か送ってやりたい」

「ふーん?」


俺はこういうプレゼントをあげるという行為自体慣れていない。ましては女性に対する物だ。

こういうものが喜ぶといった情報が欲しい。


「そうね…無難な物ならアクセサリーはどうかしら。その分難易度は跳ね上がるけど」

「アクセサリーか…分かった、ありがとう」


この任務が終わったら買いに行こう。

フレアに似合いそうなモノを。そしたら学園に匿名で渡せばそれでいい。

…俺が直接渡す必要はない。


ーーー


雪が降る町中を歩く。

久々に日付を見ると既にクリスマスシーズンに入っていた。

軽く一ヶ月くらい傭兵として過ごしていたようだ。

黒いコートを身に着けネックウォーマーを深く被り、口元を隠す。

退学したとはいえ研究機関からすれば俺というモルモットは喉から手が出るほど欲しい代物だろう。見つかるわけにはいかない。

それと最近知ったことだが…IGD学園の生徒たちが俺の目撃情報を探しているらしい。

何のためなのかは分からないが、戻るわけにはいかない。

俺が戻れば、皆が危ない。


(どれがいいんだ?)


数多のアクセサリーショップを回り商品を見ているが、こうフレヤに似合いそうなモノが見つからない。

お金は大丈夫だ。俺が学園で貰った給付金がある。

結局、使わず貯めていたしな…。


「はぁっ…」


やはりこういう肌寒い季節は嫌いだ。

行動は制限されるし、寒いのが嫌いだしね。


(…お?)


すると、雪景色の中わずかに差し込んだ日が『何か』に反射して俺の目に入る。

俺はその何かに近づいてみる。

ショーケースの中にあったのはバータイプのネックレス。やや淡い青色の特徴的な装飾品が施されている。

何故かよく分からないが…とてもフレヤに似合う気がした。


「これにしよう」


これ以上探しても悩んでも決まらない気がする。なら、ここで決め切ろう。

店の中に入り、俺が目に入ったあのネックレスを頼む。


「包装は致しますか?」

「お願いします」


そうして金を払い、包装されたプレゼントをしまい込み店から出た。

まぁまぁ高かったが…気にしちゃダメだな。

さて、必要なものも買ったし家に帰るか。

駅まで歩いていく。


『春斗』

「どうした?」

『…誰かがついてきています』

「!」


赫蝶の声と共に足を止める。


「何人だ?」

『1人です』

「IGD学園の人か?」

『桐ケ谷雪華さんで間違いないかと』

「…雪華さんか」


まさか学園最強が俺を付けているなんてな。


『それと他勢力を発見しました』

「他の?」

『赫蝶による電子バイパスのハッキングによると狙いは桐ケ谷雪華の誘拐、フロスト・クイーンの強奪が目的ようです』

「…」


…流石にこのまま駅まで行くのは無理だな。その道中で雪華さんの追手を潰してから送り届けて帰宅しよう。

そう頭の中で計画したと同時に俺は走り出し、路地裏に飛び込んだ。


◇◇◇


「…バレちゃったか」


学園の情報と最近の目撃情報の通り、この商店街に春斗君が出没していたという情報は確かだったみたいね。

…生徒会長である私以上に生徒たちを思いやり守るために自分の人生すらも捨てた彼に、もう一度学園に帰ってきてほしいと言うために付けていたけど。

まさか、バレるなんてね。

もちろん、追うけど。


(入ったのはこの路地裏ね、この程度で私を撒けると思ったのかしら?)


昨日の夜から雪が降ったことが幸いした。

やや積もった雪道に綺麗に足跡がついている。

このまま追えばきっと彼に追いつくはず。そう思っていたのに。


「はぁ…空気くらい読んで欲しいわ」


路地裏に突入したと同時に後ろから小さな音と共に飛んできた弾丸を氷結界で壁を作り出し止める。


「予めアビリティのみ発動してて正解だったわ」

「くっ…!撃て!」


サプレッサーのついたハンドガンを一心不乱に私に撃ち続けているけど分かっているのかしら。

私には通用しないって事。

全ての弾丸は氷壁によって自動的に防がれる。

貫通力がなければこの氷壁を撃ち破ることは不可能よ。


「凍りなさい」


氷壁を解除したと同時に周囲を凍らせて襲撃者のハンドガンと腕、足を凍らせ気絶させる。

…あっけないわね。


(識別コード不明。まぁどうせAGの強奪あるいは桐ケ谷家のライバル組織の刺客でしょう)


すぐさま春斗君を追うようにしないと。

そうして携帯電話を取り出して連絡をかけようとした次の瞬間。


「…えっ?」


弾丸が私の腹を貫いていた。

ぷしっとお腹から血が噴き出し、前のめりに転倒する。


「よくやった…スナイパー」

(さっきまでのハンドガンは全てダミー…!)


気絶させていたはずの刺客たちが氷を砕き、立ち上がる。

予め、気絶耐性のある装備を装着していたのね…!


「どうしますか?」

「AGと共に身柄の拘束。そしてーーーに明け渡せ、いい金になる」

「了解」


リーダー格の言葉を聞いたと同時に男たちは行動する。

猿ぐつわを私に噛ませてから慣れた手つきで私の身体を縛っていく。


「んっ!?ぐぅっ!?」

「抵抗するな」


ずきずきと腹部からの激痛が響き続ける。


(た…すけて…)


ーー春斗君。


無意識のうちに私はこの場にいない者に助けを求めていた。

…。


ーーギャリギャリギャリギャリ!!


すると消えかかっている意識の中、鎖のような音が聞こえ始め


「な、何だ!?」

「ぐあっ!?」


空から無数の鎖が伸びて男たちを縛り、壁に叩きつけた。


ーーザク…ザク…


雪を踏みつけるような音が近づいてくる。


「…雪華さん」

「春斗…君?」


一瞬夢なのかと錯覚してしまったけど…今、私の目の前にいるのは間違いない。

九条春斗君、本人だ。


「大丈夫ですか?」

「少し…へまをしちゃったみたい」

「…無理しなくていいです」

「あはは…」


何処から持ってきたのか分からない医療箱を使って的確に私の怪我を治療していく春斗君。

…思えばどうして私は春斗君に助けを求めたんだろう。


「雪華さん?」

「えっ!?な、何かしら…」

「じっと俺の顔を見つめてますけど、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫よ?えぇ大丈夫…」


いつの間にか春斗君と目が合っていた。

すぐさま逸らす…けど。

どうしてかしら…お腹の痛み以上に心臓が高鳴ってしまう。


(う、嘘!?いやいや…だって春斗君よ!?)


この感覚は本能的に分かってしまうものがあった。そんなはずないと春斗君の顔を見ようとするが…出来ない。


(だ、ダメ…やっぱりダメ!)


春斗を意識してしまう。


ーー恋愛対象として


◇◇◇


「よっと」


傷と俺が使った薬品の影響で眠ってしまった雪華さんを背負う。

しかし…ギリギリ間に合わなかったな。

実は先にスナイパーを潰しにかかっていたんだが、まさかスナイパーライフルがもう一丁あって構えるのにあそこまで時間がかからないとは。

不覚。もう少し早ければ雪華さんは怪我を負わなくて済んだのに…。


『春斗…』

「いやいい、俺の行動が遅く相手の予防策に気が付かなかった俺の落ち度だ」

『しかし…』

「…次に生かそう、な?」

『分かりました』


やや落ち込んだ赫蝶を励まし、駅まで歩いて列車に乗り込む。

行き先はIGD学園。

もちろん、俺は中に入ることはできない。退学になった身だからな。

…入口までは送ろう。

そう考えているとテンペスタから電話がかかってきた。

いや、今電車の中だし流石に話すわけにはいかないな。


「もしもし…こちら九条、電車に乗っているので後でかけなおしてください」

『あら、そうなのね。分かったわ』


一応報告してから電話を切り、外を眺める。

冬にもなったせいで日が沈むスピードが早く、もう真っ暗だ。


「…」


ーー戻りたい。


戻れないけど。


ーーー


ついてしまったIGD学園に。

門をくぐってしまうと俺は捕まってしまうので入口に背負った雪華さんを降ろして…黒龍を纏い


「ギシャァァァァァ!!!」


雄たけびを上げたと同時に飛び去る。

こうすればIGD学園の誰かしらは気づくと思うし、俺もすぐさま帰れる。

…黒龍纏い。

俺がタービュランスで任務をこなしているうちに身に着けた形態。

魔剣を握らなくても人と龍の混合体のような形態になれるようになった。

これのお陰でかなり前だけどIGD学園に襲撃してきた無人AGを破壊できるようになったしね。

後は来るべき日が来るまで待ち続け、任務をこなせばいい。

その間はIGD学園に牙を向くものを片っ端から排除する。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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