第42話 不条理を振りかざせ。さすれば肉体は答える
「はぁっ…!はぁっ…!ゲホッゴホッ!!」
吐き気が止まらず、疲労困憊で激痛で苦しむ。
訓練開始から更に一週間。訓練はより一層厳しくなり、もはや地獄の劫火に身体を突っ込んでいるような状態だ。
俺が今やっている訓練は軽い模擬戦。そう、『模擬戦』。
例え相手は無人のAGとはいえ、ダメージは…かなりと言っていいほど入る。
「クソ…!!」
今日は女子生徒の身体計測の為、御影先生は不在だ。なんでももう一度身体の成長に合わせてAGスーツを作るためらしい。
俺は既に身体計測は終えて居る為こうして模擬戦をしているわけだ。
(相手がAGになると…ここまでキツイのか)
一昨日あたりに模倣し、作成されたブレイザーと戦ったが…勝てた。
如何せん元の機体が贋作だしな。シールドエネルギーはないし、攻撃も安直。的確にダメージを与え続ければいいが…AGが相手だと話が変わってくる。
攻撃は痛い、装甲は硬い、シールドエネルギーを減らさないとろくにダメージが入らない、パワー負けする…負けているところを上げるとキリがない。
でも…負けているところがあるから負ける、なんて言い訳はしない。
こんな状態でも勝ち筋を見つけるだけだ。無理やり身体を動かし起き上がり相手を見る。
相手は前に襲撃してきた巨人markⅡ。模擬戦なので基本的な攻撃手段は拳のみ、機関銃をぶっぱしてくるとかは無い。なら…。
(受け流しつつ、的確にダメージを与えるしかない)
シールドエネルギーは今だ半分以上も残っている。
俺自身の体力が持つかすら危うい。
でも、負けるわけにはいかない!ブレードを構えて巨人を見据えた次の瞬間、模擬戦用のAGが急に停止し
「九条君、流石に体操着でAGと戦うのは無謀過ぎないかい?」
「!?」
急に後ろから声を掛けられて振り向くと…そこには吾郷さんがいた。
「あ、吾郷さん!?どうしてここに?」
「簡単さ、御影から作ってほしい物を作ったから」
「でも御影先生は今女子生徒たちの身体計測を…」
「知ってるよ。もしかして気づいていないのかな?」
「?」
「御影が作ってほしい物は君の為になるものだよ」
そう言ってやや大きめの黒いアタッシュケースを二つ投げられ、受け取った。
一つ目は大きめのアタッシュケースで二つ目は縦に長い。
「これは?」
「君専用の対AG用強化スーツ。見たことあるでしょ?」
多分御影先生が身に着けていた黒い忍者のようなボディスーツのことだろう。
「そしてこれね」
「…受験表?」
次に渡されたのは受験票だ。受験や資格を取る際の参加状みたいなやつ。
でも一体何の…?
「これは君が生身でAGに立ち向かえるかどうかの試験、実はそういう資格もあるんだよ。むしろその資格が無いと戦っちゃいけない」
「つまり、その試験って事ですか?」
「そういうこと」
「それでその試験はいつですか?」
「今日」
「…すみません聞き取れませんでした。もう一度聞いても?」
「今日、今すぐ」
どうやら気のせいでは無かったようだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!俺は…まだAGに勝てるかどうかも」
「勝てるよ」
「え…?」
「君は勝てる、というより勝てるはずだって御影が言ってたしね」
「!」
「御影は自分にも相手にも厳しい、そんな人が君なら勝てるっていうんだよ?」
「…」
「…さて、最終的な決定権は九条君自身が決めて。挑戦するのかしないのか」
そんなの決まってるだろ…?
「やらせてください」
俺の先生であり、俺の師匠的な立ち位置の御影先生が俺なら勝てると言ったんだ。
その期待に添えるように頑張らないと、な!
「良いんだね?先に言っておくけど試験監督官兼相手は私こと木手吾郷だ。もちろん本気で君を倒しにかかる。覚悟は良い?」
「はい…!」
「うん、良い覚悟。流石あの二人の息子さんだね」
そうして一度対AG用強化スーツに着替えるために更衣室に向かったのだが…。
「あの…吾郷さん?」
「何かな」
「何でついてくるんですか!?」
俺の真後ろ辺りから吾郷さんが付いてきていた。
「だってもしかしたら装着方法が分からないかもしれないでしょ?」
「ぐっ…!」
実にごもっともな意見だ、反論できねぇ…。
「だとしても俺が恥ずかしいんですけど…」
「私は気にしないよ?」
「俺が気にするんです!!」
はぁ…この人も雪華さんタイプの人か。つかみどころのない性格をしている。
そうして俺は負けて強化スーツに着替えていく。
「あ、下着は着たままでいいからね。その上に強化スーツを装着して」
「は、はい」
下着姿になったのち強化スーツを着て、その上から装甲を装着していく。
意外とパチッと組まれていく音が気持ちいい。プラモデルとかに近いかもな。てか何か装甲が右腕だけ分厚いような…?まぁいいや。
分厚いブーツのベルトを締めて、グローブを付けて…装着完了。
「お、おぉ…これが対AG用強化スーツですか」
軽く手をグーパーと開いたり閉じたりして関節を軽く動かす。
特にこれといった嫌な付け心地もなく、白鉄のように俺の身体と一体化しているような気分だ。
「うんサイズもピッタリなようでよかった」
「そういえばサイズって言いましたっけ?」
「…」
質問すると両手をわきわきと動かし始めた。
「まさか、直接俺の身体を触ったんですか!?」
「…どっちだと思う?」
そう言われた瞬間、御影先生直伝のマーシャルアーツの構えをとる。
「ま、待って冗談!冗談だから!」
「はぁ…前に御影先生から教わった理由が分かりました」
御影先生との訓練の合間に俺に近接格闘術を教えてくれたんだ。理由は『どうしようもないやつを〆る為だ』って言ってた。
多分、このため何だろうな…。
「流石に未成年の身体を触るわけにもいかないし、学園から君の身体のデータを元に作成しただけだよ」
「未成年じゃなくても人の身体を触るのは止めてください」
「お、御影がいいそうなセリフ。ってあと大切なものを装備してないよ」
「え?スーツは着ましたけど」
「武器だよ武器」
二つ目の縦長のアタッシュケースを開くと…赤い刀身の高周波刀が収められていた。
「これが君専用の対AG用高周波刀、名前は『神去』。御影用に作った物とは違い、この一本に君の戦闘データを元に戦いやすいように施された構造が詰まってる」
「具体的には?」
「そうだね。まずは九条君が気になっていたであろう装甲が何故右腕だけ分厚いのか、それは君の抜刀術を生かすため」
「抜刀術を?」
「このブレードの鞘にそれを生かす構造があるの、見て」
言われた通り鞘を見ると、鞘の鯉口の部分に何か機械的な何かが施され、銃とかに使うマガジンが装填されており、銃のトリガーも付けられていた。
「試しに納刀してこのバレルを引いてみて」
「こう…ですか?」
納刀してトリガーを引くとガキンと鞘の機構から重い音が鳴り響き、勢いよく刀が飛んでいった。
「これが君の抜刀術を生かす機構。トリガーが引かれた瞬間、弾丸の衝撃で杭を隆起させて刀を発射し、銃弾のような速度で抜刀できるようになるの」
「いやそれは素晴らしいですけど…そんな抜刀をしたら右腕が」
「だからこその装甲と施し。そんな銃弾のような速度の抜刀を和らげるようになってるからね」
「す、凄いですね」
技術力に驚きつつ飛んでいったブレードこと『神去』を拾う。
キィィィィンと音が聞こえてくる。高周波だから当たり前だけど御影先生から借りたブレードとは違う音が聞こえる。その辺も何か変わっているのだろうか。
鞘に納刀して、俺の左側の腰辺りに付けられていたホルスターに装着して…完全に装着が完了した。
「うん、完璧。それとマガジンの替えと弾丸はこれ」
「ありがとうございます」
替えのマガジンにこの刀を発射する専用の弾丸を装填し、右太もも辺りのホルスターに装着。残りは装備出来ないのでアタッシュケースの中にしまった。
「…じゃあ、試験を開始するけど覚悟はいい?」
「はい…!」
「分かった、じゃあ校庭に行こうか」
「え?アリーナじゃないんですか?」
「もちろんアリーナでもいいんだけど、対AGの戦闘は絶対にアリーナで起きるとは限らない。だからこその校庭」
「でも…その戦闘で校舎とかに傷が付いたりしたら」
「知らないの?どれだけIGD学園の校舎に攻撃しようとも傷1つ付かないよ、それに…君は知らないと思うけど、この学園は最後の防衛線とも言われてるの」
「最後の…?」
「うん、まぁ立ち話もアレだし歩きながら話そう」
そうして吾郷さんと一緒に校庭に向かって歩き始めた。
「それで最後の防衛線とはどういう…」
「せっかちだね、そんなんじゃモテないよ?」
「…モテる必要はないです」
「そっか、ごめん。まぁ最後の防衛線って言っても理由は単純明快。もしこの世界が危機に扮した時の最後の避難所ってわけ」
「避難所…」
「世界が危機に陥ったと学園長が判断した瞬間、この学園の最終防衛プロトコルが発動してIGD学園の周りに巨大な壁と迫撃砲に覆うようなエネルギーシールドが張られるようになる。それが最後の防衛線ともいわれる所以」
「…」
「まぁそんなこと起きないと思うけどね」
「そう、願うばかりです」
そうこうしているうちに校庭にたどり着いた。
「予め言っておくけど、今回は校庭だけじゃなくて他の場所に逃げつつ戦ってもいい。もし破損した場合は試験料ってわけで学園が修理費を払ってくれるから。それに体育館以外に生徒は居ないから遠慮なく暴れてもいいから」
「わ、分かりました!」
「勿論、本気で倒しに行くからね」
「…了解」
正面に吾郷さんと見合い、神去に手をかける。
「じゃあ試験を始めようか」
「はい!」
「『名無』、展開」
吾郷さんがAGを展開する。形は日本の訓練機『黒金』に近い刀を用いた構造で、色は黒い。だが…近いだけだ。元の機体性能は違うはず、その理由なんだが…『刀がない』。
そう、装備されても居なければ展開もされていない。流石に怪しすぎる。
『春斗』
「赫蝶か、おはよう」
『おはようございます。それで今の状況は?』
「対AGの戦闘の試験。資格が必要みたいでな」
『なるほど』
『私の機体の観察かな?』
「…はい、黒金に近いなと思ったので」
『まぁ性能くらいは言ってもいいか…君が予想した通り黒金の改造機体。まだ名前も無いし試作止まり、刀ではなく近接格闘型のAG。武装は…この、ナックルのみ』
展開し始めたのはメリケンサックのような構造をした拳の武装。
「…」
『生身でAGの打撃は私も食らったことがないけど…多分相当痛いよ?』
「構いません、試験ですし」
『…分かった、じゃあ』
『行くよ!!』
いきなり俺に向かって正面から接近してきて、拳を振りかざす。
もちろんパワー負けするので横にジャンプして回避する。
(思った以上に…飛べたな)
流石、強化スーツ。ある程度は御影先生から聞いていたが、ここまで肉体を強化するなんてな。着地する前に鞘と柄を握り、狙いを定める。
まずは相手のシールドエネルギーの残量と有無を知るべきだ!
着地したと同時にアンネイムの方へ飛んでいき、トリガーは使わずそのまま抜刀。
俺の斬撃はAGの左足の膝裏関節部分に当たったが、破壊できなかった。
(シールドエネルギー有り、ってそりゃそうか)
何せ相手はAGだ、そりゃあるだろうよ。
『いきなり関節を狙ってくるなんてね、真面目に学んでたんだ』
「当たり前です…!」
再度接近し抜刀状態のままシールドエネルギーを削るために右腕や頭部といった色々な場所の装甲を切り刻む。
その時も振られてくる拳を受け流したり、躱したりして斬る。
この戦いは一撃でも貰えば即敗北が決定するかもしれない物。
回避と攻撃を瞬時に判断しつつ、相手の隙を逃さないように立ち回る。
『なるほど…思った以上に君は強くなってるんだね!』
「!!」
避けられない拳が飛んで来る。
ダメだ、防ぐしかない!
神去を構えて正面で拳を受け止める…。
(受け…止めれた!?)
刀と拳の間に火花が散る。
衝撃が身体に走るが…吹き飛ばなかった。
『知ってると思うけど…強化スーツは装着者の身体能力を上げることが出来る。もちろん、それは元の人間の肉体の強靭さによってはとてつもない力を出すの。特に九条君は御影との訓練のお陰で肉体はかなり成長してる』
「だから…受け止めることが…出来るんですねッ!」
四肢に力を込める。例え身体能力が上がっても受け止められているだけだ。力を抜けば、この強靭な拳を受けることになる。
「くッ!」
無理やり右に受け流したと同時に顔面に斬りかかるがもう一方の腕に防がれた。
「そう簡単に君の家族の開発物は倒せないよ!」
「でしょうね!!」
防いだ腕をそのまま薙ぎ払ってくるのを受け流した拳の腕を踏み台にして飛び上がり、顔面を蹴とばして距離を離す。
『女性を蹴るなんて…感心しないね。でも良い判断』
「それは…どうも」
『…本当に成長してるよ、蹴りで軽くAGをよろけさせるんだから』
ーーー
それからとにかく戦い続けた。
カギンッ!とお互いに火花を散らしながらもただひたすらに刀と拳を交え続けた。
気づけば25分間経過しており…俺の肉体の体力も、アンネイムのシールドも切れかけていた。
「はぁっ…はぁっ…」
『本当…大したものだよ』
疲労で気絶しそうな肉体を無理やり起こして神去を構える。
『春斗、大丈夫ですか?』
「正直…やべぇ」
『…魔剣を使いますか?』
「いや流石に危険すぎる、それに…」
「何か掴めそうなんだ」
さっきから何か掴めそうなんだ。謎の感覚を。
『じゃあ…ここから機体性能に頼ろうかな』
「?」
すると、吾郷さんのアンネイムの機体が変形し始めて、内部の放熱機構が露出しアンネイムドの周囲の空気が歪み始めた。
『行くよ、九条君!!』
次の瞬間、先程よりも早くより強いパンチが飛んできた。
反応出来て防ぐことが出来たが…俺の身体は吹き飛ばされた。
(くっ!?パワーどころか全ての性能が上がっている…!)
空中で受け身を取ったが…。
『まだまだ!』
「!?」
もう一度飛んできたパンチに反応できず
「ごはっ!?」
もろに受けて吹き飛び、揺らぐ視界の中で背中に強い衝撃を受け倒れる。
(マズイ…!?)
今、自分が何処にいるかすら何をしているのか分からない。頭が、意識が…。
そして目の前から歩いてくるアンネイム。
『九条君、終わりよ』
振り下ろしてくる拳を何とか刀を拾い防ぐが…徐々に後ろへ押されていく。
負ける?また、俺は負けるのか?
ーー…嫌だ
御影先生の期待に応えることが出来ず負けるのか?
ーー嫌だ
また何も守れずに、目の前で傷つく人が増えるのか?
ーー嫌だッ!!
◇◇◇
場所は体育館、身体測定をしていると体育館の正面入り口から春斗が飛んできてステージに叩きつけられた。
もちろん、急な出来事で全員困惑するが…それ以上にやや焦っていたのは御影紗月だった。
本来、春斗ならAGに勝てるとそう思っていたが次に入ってきた吾郷のAGを見たとき察してしまった。
(性能…で押し切られたか。すまない…)
心の中で春斗に謝る。私の訓練が甘かった、まだ…挑戦するべきではなかったと謝る。
ボロボロになりながらも春斗は正面から攻撃を受け止める。しかし徐々に後ろに押されて行き…敗北してしまうと御影は思った。
だが…。
「…負けて」
彼は呟く。
「負けて…!」
彼は言う。
「負けて…たまるかァァァ!!!」
彼は叫ぶ、負けたくないという意思を。
その叫びと同時に、AGの拳を…『力で正面から弾き返した』。
「なっ!?」
「うおぉぉぉぉっ!!」
驚愕な場面を目の前に残し、彼は刀を握りしめてアンネイムに立ち向かう。
春斗は、相手の拳を躱すことなく、全てカウンターのように攻撃し続ける。
まるで先の動きが見えているかのように。
「は、春斗…?」
「一体、春斗さんの身体に何が…?」
驚く葵やフレヤたちを置いていくかのようにただひたすらに春斗はアンネイムを攻撃し続ける。その攻撃はやがて通じていき、シールドエネルギーが底を突き、装甲にヒビを入れ始めた。
『嘘っ!?』
吾郷の驚く声が響き渡ると同時に両足の関節機構が破壊され、アンネイムは行動不能に陥る。
そしてトドメを刺しにかかる春斗に両方の拳を振る。
ーーガキイィン!!
だが…春斗の弾丸のような速度の抜刀により、両腕が破壊どころか切断され吾郷の首元に赤い刀身の刃が向けられた。
『AGアンネイム、エネルギー残量0。行動不能と判断、勝者九条春斗』
勝利のアナウンスが告げられる。
「嘘…!」
「生身でAGに…!?」
周囲の生徒たちもこの状況に頭が追いつけずにいた。
この世の法則を無視するような結果。AGはAGでしか破壊できない、そんな条理が目の前でぶち壊された。
◇◇◇
「はぁっ…!はぁっ…!?」
刀を収めた瞬間、呼吸が出来なくなりになり膝をつく。
意識を失わないように呼吸に全意識を集中させる。
(い、今のは…?)
さっき、俺の目の前に写ったアンネイムとの戦いの情景を思い出す。
あの拳を正面から弾き返したとき、急に視界が広がって…動きが止まっているように見えて所々の動きも…後先が分かるように見えた。
何故だ…?
「…ゴホッゲホッ!?」
「春斗!」
俺の背中を誰かが摩ってくれている。
一体だれが…?
「あお…い?」
「落ち着いて呼吸しろ」
「わ、わかっ…た。すぅっ…ゲホッ!?」
葵に言われた通り思いっきり息を吸って落ち着こうとした。だが咳き込む。
何故か?今の葵の姿を見てしまったからだ。
(た、体育館に飛んで来たってことはみんな身体計測中…つまり全員下着姿かよ!?)
葵の…その胸元が視界の端に見えつつ柔らかい感触が腕に当たる。
「あ、葵…離れてくれ」
「何故だ!?」
「お、お前の…格好が」
「は?」
そうして指摘した。いや指摘してしまった。
「…見たな?」
「い、いや…ゴホッ!ゴホッ!。ふ、不可抗力で…」
「つまり、見たんだな?」
「…はい」
「ッ!!!!!」
「ぐぎょぉっ!?」
次の瞬間、葵の顔が真っ赤に染まり平手で俺の右頬を叩き…俺の意識が刈り取られた。
ーーー
「やっぱりね…九条君は」
「…」
とある学園の地下施設。時間は深夜、その場所に今回の春斗の生身での戦闘データを元にもう一つのデータを取り出し確認している御影紗月、木手吾郷。
「赫蝶の影響もなし、ただ人体の一部分が異常に反応したわ。ほらここ」
「…それが本当なら、夏樹と克樹の書かれていた情報では…九条春斗は」
「…うん」
「人間と人工物が混合されている人間…って事になる」
そして確認している情報には…。
ーー今にも死にそうな血だらけの赤子を治療している写真が添付されていた。




