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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
41/122

第39話 シークレット・フェイス

「…ふぅ、少し冷える」


とある港で上の方でAG展開状態のまま下を見下ろす俺とレベッカ。

今日はレベッカの任務の付き添い、内容は『AGのテスト武装の輸送の警備』だとよ。


「そうだね。流石に夜で海辺だと尚更かも」

「…にしてもテスト武装の輸送か」

「各国の企業の武装輸送だから襲いに来る勢力もいるかもしれないけど、心当たりが?」

「あぁ違う。思えば俺の中に居る赫蝶ってゼフィルスに搭載されてたやつと同じ何だが…もしかしたら各国が赫蝶を使った武装を作らないかって思って」

「…ゼロとは言い切れないね」

「だよな」


ゼフィルスや羅刹で分かったことだが赫蝶は生物兵器でありながら他のギアや機器に搭載すると出力が馬鹿みたいに上がる。

だからこそ企業がこの赫蝶に目を付けたらと思うと悍ましい。最悪死ぬぞ、食われて。


「というより春斗はよかったの?」

「何が?」

「付き添いとはいえ僕の任務に付いてきちゃって」

「いいんだよ、気にすんな」

『春斗』

「?」


レベッカと話していると赫蝶の声が聞こえてきた。


「どうしたの?」

「…ちょっと待ってくれ。赫蝶どうした?」

『来ています』

「何がだ?」

『私の身体の一部が入っている籠と共に何かが高速でこの港に向かってきています』

「!?」


向かって…来ている!?


「春斗どうしたの?」

「どうやら赫蝶の入った籠がと一緒に何かがこっちに向かって来ているらしい」

「えっ!?」

「…だが何処から」


次の瞬間


ーードカァァァン!!


少し遠くのコンテナが爆発した。


「な、何だ!?」


驚くと同時に船の近場で警備していた人たちが一斉に爆発したコンテナの方へ走っていく。

俺も行くべきか?


「待って春斗」

「どうした?俺も行った方がいいのか?」

「…違う。来てる、トラックが一台」


レベッカのスキャンに何か引っ掛かったようだ。

共有したデータを確認する。だがそこは金網が合って中には入れないと思ったがトラックが金網を気にせず突っ込んできた。

堂々とやりすぎだろ…それじゃあ警備の人たちが。


(来ない!そうか、あの爆発は警備を誘導するためのブラフか!)


トラックに乗せられたコンテナが開くとそこから二機AGが飛び出してきた。

あれは…リバイブか。てか凄いデジャブを感じるな。

識別名は無く、二機ともアサルトライフルと『籠』を持っている、何故籠を…?

あくまで予想だが赫蝶はエネルギーや人間を食う。ブラフが効かなくても赫蝶で警備が食われる可能性もあるし、逆に効けばテスト武装は食いつくされる。

思えば赫蝶は襲撃者からしたら利点だらけだ。俺が居なければ、な。


「春斗、行こう」

「了解」


飛び出してレベッカの空中掃射と共に俺が降下し、ブーストしながら斬りかかる。


「ふん!」


流石、襲撃者。反射速度がいいな。アサルトライフルをシールドに変換し俺の攻撃を防ぐ。


「死ね」

「…それはこっちのセリフだな」

「大人しく投降すれば、痛い思いはしなくて済むよ」

「なっ!?」


空中掃射しながら降りてきたレベッカが襲撃者二人の頭にSHGを向ける。


「…!」


俺に向けられた銃のトリガーに指がかかった瞬間、防がれた刀を滑らせて真っ二つに斬る。


「諦めろ、お前たちに勝ち目はない」

「…くっ!」

「!!」


武器を捨てるとともに赫蝶の入った籠を近くのコンテナに投げつける。

その結果、籠の蓋が破損し、赫蝶が放たれた。

そっちに注意が向いている隙に二機が後退する。


「レベッカ、行けるか?赫蝶は俺に任せてくれ」

「OK春斗」


一度、二機の対応をレベッカに任せて一斉に俺に来る赫蝶たちを受け入れる為に両手を広げて待機した。

大量の赫蝶が俺の体内に入っていく…。

だが


「ぐあっ!?」


頭が痛くなるとともに何かが…流れ込んでくる…!


『…ば!…やめ…』

『ご…ね…つば…き』


やや靄がかかっている記憶が俺の頭にある。だが俺は真っ白な床や壁に血だらけの少女…こんな場所もこんな会話も見たことも聞いたこともない。

何なんだこれは!?


『春斗危ない!!』

「ッ!?」


いつの間にか俺に接近してきてナイフを振りかざそうとしてくる襲撃者。


「邪魔…だ!!」


頭痛に耐えながら俺は刀を握ったつもりでそれを振りかざす。

だが…それは刀ではなく鎖で巻かれた剣だった。


「!」


その剣で薙ぎ払った瞬間、聞いたこともない轟音が鳴り響き斬撃波が放たれ港のコンクリートと共に海を裂き、その衝撃が襲撃者二機のAGの装甲をズタズタにしながらコンテナに叩きつけた。


「はぁ…はぁ…これは?」


右手に握られた剣を見る。この剣は…何なんだ?

初めて見る、禍々しい雰囲気と共に歪な鎖で巻きつけられた刃と俺の右腕。見た目で言うなら『魔剣』だ。


「春斗大丈夫!?」

「大丈夫、だけど…」

「この剣は?」

「俺が聞きたい…ぐっ!?」


次の瞬間、俺の右腕に激痛が走る。剣を握る手と巻きつけられた腕が焼けるように痛い!?


「赫…蝶!解除だ!!」


全力で叫ぶと握られた剣と鎖は消えていき塵は俺の身体に戻っていった。


「はぁはぁ…」

「本当に大丈夫?」

「大丈夫…俺の事は気にするな、とにかくこいつらを拘束しよう」

「う、うん…」


そうして襲撃者を拘束し、任務は無事完了した。


ーー俺の身体に起きた謎の現象を残して


◇◇◇


次の日。何事もなく普通に学園に登校した。

でも…僕の前の席はSHRが始まっても埋まらなかった。春斗が来ていない。


「九条君が居ないなんて珍しいですね、連絡もないですし」

「仕方ないこちらから連絡しよう。もしかすればまだ寝ているかもしれない」


教卓に居た柊木先生と御影先生が春斗に連絡するが…反応がない。


「…最終手段だが使うか」

「えぇっ!?御影先生それは」


柊木先生の静止を無視し、電子黒板についていた謎のスイッチを押すと1つの部屋が表示された。


「御影先生それは?」

「今この場に居ない者の部屋の状況だ」

「って事は春斗さんの!?」


今の春斗の状況が分かる最終手段らしいようでとてもプライバシーも感じられない、これが各部屋に設置されていたら僕は怖いなぁ…。

かなり正直に言うと今の春斗のことが気になってしょうがない、昨日のアレもあるし…。


『クソ…!』


ベッドの布団から出てきたのは春斗だが様子がおかしい、苦しそう…?


「…柊木、春斗のバイタルサインや体調は?」

「えっ…!?体温41.2度あります!」

「発熱にしてはあまりにも高すぎるな」

「春斗!!」

「ぶ、ブルーノさん!?」


そのことを聞いた瞬間、僕はSHRが始まることを完全に忘れ春斗の部屋まで走る。


(絶対に昨日のアレで苦しんでるんだ…!)


春斗の部屋までついてドアを開ける。そこには床に倒れながら苦しんでいる春斗が居た。


「春斗!大丈夫!?」

「っ…れ、レベッカ…?」

「と、とにかくベットに寝て!」


重い春斗の身体を支えてベッドに寝かせる。

それでも状況は変わらず苦しそう…何か出来ないかな。


「春斗、何か食べれそう…?」

「食欲…は無いな…これと言って食べられない」

「春斗ちょっと待ってて」


とにかく今は春斗の看病をしないと!桶に氷水を入れてそれに浸した濡れたタオルを思いっ切り絞って春斗のおでこに乗せる。


「…春斗」

「ありがとう、レベッカ…少し楽になった」

「う、うん」


苦しそうにしながら笑顔を僕に見せる春斗。

そこまで無理はしなくていいのに、元気になってくれればそれで…。


『ブルーノ』

「は、はい!?」

『…色々言いたいが今は良い、今回くらいは目をつむろう。春斗を看病してやれ』

「…はい」

『要件はそれだけだ』


御影先生からの連絡に驚いたけど、元はと言えば僕がSHRが始まるのに教室を飛び出しちゃったから…。

でも看病の許可は得れたから、春斗が元気になれるように頑張らないと!


「春斗、水分とかって?」

「…実はさっき取ろうとして…倒れた」

「じゃあ冷蔵庫の中に?」

「色々…ある」

「取ってくるね」


冷蔵庫の中を見ると春斗が言った通り色々入っていた。水、お茶、ジュース、スポーツドリンクといった飲料水や野菜室にしまわれた食材たちも。

春斗って結構家庭力高いよね。とりあえずスポーツドリンクを手に取り春斗に渡す。

受け取ると蓋を開けて勢いよく飲み始めた。


「どう?飲める?」

「んぐっ…こんな味だったか?」

「多分、熱のせいだと思う」

「だよな…」


ペットボトルの蓋を閉めてベッドの横にあるサイドテーブルに置いて布団を被った。

…昨日のことを聞いてみよう。


「ねぇ春斗」

「どう…した?」

「その風邪って、やっぱり昨日の?」

「かもな…昨日から赫蝶の様子もおかしいし、何より…俺の記憶に何か流れ込んできたんだ」

「どういうこと?」

「あの大量の赫蝶が体内に入ってきた時に断片的な記憶が流れ込んできたんだ。真っ白な床や壁に血だらけの少女の」

「…普通じゃありえないことだけど今の春斗ならありえそうだね」

「すまんな…何言ってるか分からないと思うけど」


またやや苦笑い気味に笑う春斗。


「そういえば春斗、汗が凄いけど大丈夫?」

「あー…流石にヤバいな。悪い、タオル取ってくる」

「僕が行くから春斗は休んでて」

「でも」

「でもじゃないの、何のための看病ってなっちゃうよ」

「…すまん」


立とうとした春斗を押さえてタオルの場所を聞いた。

洗面所にあるって言われたけど…あった。ちょっと気になって周囲を見回すと洗濯洗剤や柔軟剤など色々ある。本当に凄い…もし春斗が旦那さんだったら…。


(って何考えてるの僕は!でも…えへへ)


春斗が旦那さんかぁ…。家庭的で優しいし良い旦那さんになるよね、絶対に。

…思えば今の状況って春斗と二人っきり?

ど、どうしよう自覚した瞬間心臓のドキドキが止まらなくなって…!?


「レベッカ…大丈夫か?」

「いっ!?う、うん!丁度見つけた!」


ベッドから弱った春斗の声に現実に戻されつつ、春斗の看病をしているんだと再度意識し、タオルを持って春斗の元へ向かう。


「これだよね?」

「あぁ…すまん、来客用でもう少し分かりやすい場所に置くべきだった」

「いいんだよ、気にしなくて」


春斗にタオルを手渡そうと思ったとき、ふと思った。

確か春斗って意外と身体が大きいし拭き切れるのかなって。


「ねぇ春斗」

「どうした?」

「自分で拭ける?何というか背中とか」

「…背中は無理だな、ギリギリ届かない」

「な、なら僕が拭くよ!」

「いや悪いよ、自分で」

「僕が看病してるから!」

「お、おう…なら頼む」


自分自身何言ってるのか理解できず、とりあえず春斗の身体を拭くことになった。


(わぁ…春斗の身体…ってダメダメ!僕は看病するためにここにいるんだから!)


上着とタンクトップを脱ぎ、汗で照らされる春斗の肉体に目が奪われかけたが何とか自我を取り持つ。あの祭りの時も思ったけど筋肉の形というか身体つきが男の子っぽくて…かっこいいなぁって思う。

汗をタオルで拭きつつ、春斗の様子を伺う。


「痛くない?」

「大丈夫だ」


少し微笑みながらこっちを見てくる春斗がちょっとセクシーに見えた。


◇◇◇


それからレベッカは春斗の看病をし続けた。

慣れないお粥作りで多少難儀したものの、作ったお粥を春斗に褒められ看病してくれたことに感謝されていた。


「ん…」

「寝ちゃった?」


それからしばらく経つと春斗は寝ていた。

その笑顔を見たときにレベッカは一つ思い出すことがあった、それは


(思えば僕が転校してきたとき、春斗を…)


彼女の忘れたい記憶、父に虐げられ命令された春斗の殺害および黒鉄の強奪。

あの時も彼はこんな寝顔で寝ていた、そのタイミングで襲撃したものの狸寝入りと気づかず襲撃は失敗。だがそれは春斗の計算のうちでレベッカは殺されると思ったが彼の優しさにより助けられ家族も救出できた。


(改めて寝顔を見たけど、よく見ればあの時と違う…いつも頑張って皆の為に強くなっているのにこんな朗らかな顔で寝るんだ…ふふっ)


狸寝入りの時とは違い安心しているような顔つきで寝ている春斗の頬を指でなぞり、確認する。


「んん…」

「あ、起きちゃった?」


頬をなぞっていると春斗から唸り声が聞こえ、起こしちゃったかな?と思い少し手を離すが…。


「…かあさん、とうさん…?」

「!」


春斗の寝顔が険しい顔になった。


(そうだった。春斗のお母さんとお父さんは…)


彼の両親が亡くなっていた事を思い出す。レベッカは春斗にお母さんを助けてもらったが彼は助けたところで絶対に帰ってくることも無い。


(…)


そこでレベッカは春斗の頭を優しく撫でた。彼女は幼いころ泣いていた夜に母にこうやって撫でられて安心して眠ったことを思い出してあの時と同じように彼の頭を撫でる。


「…ふ」


すると春斗の顔がほんの少し笑みの顔になった。

安心したのだろう、夢の中とはいえもしかしたら会えたかもしれない家族に。


(寝顔も可愛いなぁ~…髪もサラサラだし)


春斗の頭を撫でながら安心して眠る彼の顔を眺めながら二人きりの状態をレベッカは楽しんだ。


ーーー


「……?」


身体を起こす。

俺の身体の重みは嘘のように無くなっていた。


「ん”ー!!」

『春斗』

「どうした?」


身体をぐーっと伸ばしていると赫蝶の声が聞こえてきた。


『いきなり大量の赫蝶を体内に吸収したようで身体の体調管理機能が少々破損していたようです』

「…結構ヤバくない?」

『大丈夫です。体内の赫蝶総員で修正しました、それと…私の記憶をありがとうございます』

「やっぱり赫蝶の記憶だったのか、断片的だったけど」


予想通り赫蝶の記憶だったようだ。それも気になるのだがそれ以上に気になることが1つ。


「あの魔剣?みたいなものは何なんだ?」


レベッカとの任務の際に俺が振りかざしたあの剣。初めてみた剣だし、IGD学園でもあんな禍々しい剣を使ったやつを見たことがない。


『…それはこちらも分からないです』

「分からない?」

『はい。ただ…あの魔剣、何か引っ掛かるんですよね』

「現状は何とも言えない、か。まぁそれだけわかれば十分だ、ありがとう」

『いえ…』


とりあえずあの魔剣は…慣れるしかないか。


「…んん」

「寝てる?」


俺の布団に身体を預けるように寝ているレベッカ。看病してくれたし、疲れて寝てしまったのだろう。

ありがとうレベッカ。赫蝶とレベッカのお陰で回復したよ。

レベッカに感謝しつつ窓から見える夕日を眺めていた。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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