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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
38/122

第36話 共存への目途、彼の優しさ

気づけばユニークアクセス数が1000を超えていました。

ありがとうございます!

学園祭開幕三日前。学園の生徒や教員たちが忙しそうに動き、所々の生徒たちは笑いながら作業をしている。ここはAG育成学園とはいえ所属している生徒たちはまだ10代の乙女たち、このような祭りは大好きなのだろう。

そして、今の春斗の様子はというと…。


「い、いらっしゃいませ…お嬢様?」

「合っていますわ、言葉使いも慣れてきましたのね」

「フレヤさんのお陰でなれました。なるほど、これが執事と言うものですか」


執事姿のままクラスメイトとやや楽しそうに話す皆。

何故、この状態の春斗と仲良くできているのか。それは襲撃事件から二日経った日に起きたことが原因。

その時もいつも通り何気ない日、だが1年1組には静寂の空気が流れている。

原因は変わってしまった九条春斗。いつもと同じように赤い蝶を漂わせながら席に座っている。言葉使いも少しずつ慣れてきているようだ。


「…なるほど」


そんな変化はふとした日に訪れる。


「これが九条春斗の記憶ですか」


ふと口を開き、独り言を話す今の春斗。


「記憶をたどれば人を守り無茶をする、それがこの九条春斗という存在。ですがその根本には優しさの温もりを感じる。なるほど…だからこそ私を受け入れてくれたのですね」

「!!」


『受け入れた』その単語が聞こえた瞬間、全員の偏見が砕ける。

元々、この赫蝶が春斗自身を操っているのではないかと全員思っていた。しかし今の春斗が言った言葉が本当なら春斗自身が赫蝶に身体を預けたようだ。


「ふふっ、だからこそ皆さんはこの主に惚れるのですね」

「!!」


フレヤ、レベッカ、アナスタシアに顔を向けて春斗に近い笑い方をする今の春斗。


「き、気づきますの?」

「はい、行動をたどれば分かります。ですが元の春斗では答えることは難しそうですね」

「どういうことですの?」

「彼の過去というよりトラウマ、その影響で想いに答えることは出来ないようです。そして今の私に出来ることはこの九条春斗がするべきことを全うするのみ」

「…それって?」

「九条春斗が守ろうと誓った者全てを守る、傷1つ付けさせないこと。彼の記憶の中に根強く記録された決意を」


その言葉は如何にも春斗が言いそうなセリフばかり。


「僕たちは誤解してたかもね」

「誤解、ですか?」

「実は…」


そうしてレベッカが口を開く、今の春斗の存在に対する疑問や敵意全てを。


「なるほど、確かに何も言わずにこのようなことをしていれば誤解されるのも無理はありませんね。申し訳ありません」


立ち上がりぺこりと謝る今の春斗。


「う、ううん!誤解してた僕たちの方が悪かったから」

「あぁ…このような偏見を持ってしまうとは軍人の名折れだ」

「そうですわ、私もエレガントではありませんでしたわ」

「わ、私も!ごめんね春斗君」

「…」


今の春斗に謝り返すクラスメイト全員。

彼は優しくこの状態になろうとも受け入れるような人、そんな人を汚すことをしてしまえば九条春斗に怒られてしまう。


「…受け入れてくれた皆様に1つ言いたいことがあります」

「うん、何かな?」

「九条春斗は生きています」

「「「えっ!?」」」


唐突なとんでもない事を口に出す今の春斗。


「い、生きてるってどういう…」

「文字の通りです。生きています、ただまだ目覚めることは出来ません」

「目覚めることは出来ない…どういうことですの?」

「そこから先には言うことは出来ません、ごめんなさい」


今の春斗自身にも答えることが出来ない事があるらしい、その辺は元の春斗自身にも影響するかもしれないので変に聞くのをやめた全員。

しかし、気になることがあった。


「その…春斗?」

「はい、どうしました?」

「…その、記憶の中の春斗って僕たちの事をどう思ってるのかな」


レベッカの質問はまるで禁忌に触れるような質問だった。

今までの春斗には絶対聞けないような質問、でもそれは今までのなら。今なら違う、元の春斗は眠っていて今の春斗が言うことは聞かれない可能性がある。

つまり、聞きたい放題という事だ。


「レベッカ・ブルーノ…春斗の記憶の中では優しく、人当たりの良い友人と思っているようです。そしてレベッカが入学してきた当初貰ったチョコレートに対して何かお礼をしたいと思っています」

「そ、そうなんだ…えへへ」


元の春斗からはかなり好印象に思われている事に関して嬉しく思いレベッカは顔をにやつかせる。


「むー…春斗さん私は?」

「フレヤ・アレクサンダー…春斗の記憶の中ではザ・お嬢様な性格であるが自信家であり、精密射撃には尊敬の念を向けています。個人的なお願いとしてもし時間があればイギリス料理を教えてほしいと思っています」

「そ、そうなんですの…?うふふっ」

「わ、私はどうなのだ!春斗!」

「アナスタシア・アガポフ…春斗の記憶の中では軍人らしく厳格、しかしその根本は優しいと思ってしまう。それと時間があればもう少し日本の事を知ってほしいと考えています」

「そ、そうなのか…」

「わ、私は!」

「時雨葵…春斗の中では幼馴染と考えており、かなり好印象でもう一度剣道を教えてほしいと考えています」

「は、春斗がそこまで…」


全員春斗から好印象だった。それだけでも満足なのだが…やはり友人としての認識から一歩先に出た関係に行きたいと願っている全員。


「九条春斗、中々罪な人ですね」


春斗の中にいる彼女も察したようだ。

そうして今の春斗はクラスメイトたちと溶け込むことが出来ている。

だが今だ元の春斗が目を覚ます目途は立っておらず現状は変わっていない、でも今の春斗自身もこの学園祭を盛り上げようと頑張って学んでいる。


「そういえば春斗?」

「はい」

「えっと…何といえばいいのか分からないけど、君の名前を聞きたいんだ」

「君…?」

「春斗の中にいる君、このまま春斗って呼んでも難しいと思うから」

「…」


すると黙りこくる春斗。


「私は誰なのでしょうか?」

「え?」

「春斗の記憶は分かりますが、私自身の記憶は殆ど残っていないので…」

「そうなんだ、ごめんね変なことを聞いて」

「大丈夫です、ではそうですね…安直かもしれませんが私を呼ぶときは『(はる)』でお願いします」


やや苦笑いのように微笑む春斗改め春、その顔がほんの少し意外な表情だった。


「そういえば気になったことが」

「どうしましたの?」

「最近、他の生徒からこう獲物を手招きするような目付きで見られるのですが何かあったのですか?」

「「「…あ!」」」


そう、このタイミングで全員思い出したのだ。

学園祭すなわち九条春斗の争奪戦が幕を上げる。この1年1組からしたら今の春斗でも守るべき存在なのだ。


「なるほど、争奪戦。これは私も気合を入れないといけませんね」

「そうですわ!今の春さんの言う通りです!」

「そうだ!私たちで春斗を守るんだ!」

「「「おぉぉぉぉ!!」」」

「…彼の影響力どうなっているのですか?」

「さ、さぁね?」


元の主の春斗の影響力というかこのクラスの中の存在の大きさに多少なりとも疑問を持つ春。

するとそこへ。


「えっと…春斗…居ますか?」


4組の水津が現れた。


「おや、水津さん。どうしました?」

「あ…えっとその…」

「…なるほど、水津さんは主に御用が如何なさいました?」

「もし…春斗が帰ってきたらありがとうって言いたいの…」

「感謝ですか?」

「う、うん…」

「わかりました、主が目が覚めた際には水津さんがありがとうと言っていたと伝えます」

「あ、ありがとう…ございます」

「いえ、例には及びません。それに水津さんも好きなのでしょう」

「ふぇっ!?」

「ふふっ、頑張ってくださいね」


見た目は春斗だが中身が違うので、はたから見ると普通にバグりそうだがみんなは『春』と自覚している。

そんな春を受け入れた学園祭はどのようになるのか。


ーーー


「……ん?」


目を覚ます。

あの時、水津を逃がして頭の激痛と戦いながら蝶と戦ってそれから…。

食われたんだっけ、俺。


「よっと…え?」


身体を起こして周囲を見る。そこは…『赤い彼岸花の花畑』だった。

待てよ、おかしい。この光景は夢でしか見たことがない。

もしくはここが死後の世界なのか…?


(…赤い蝶も沢山いる)


前に初めてみた赤い蝶とは別に同じ蝶が大量にこの花畑で飛び回っている。とても楽しそうだ。

…ただ俺の右手にずっと止まっている蝶を除いて。この一匹だけは頑なに俺の手から離れようとしない、ただ何処かの方をずっと見つめているように鎮座していた。


(また歩くか)


今までと同じように歩き始める。前は蝶の後ろをついていくように歩いていたがあまりにも蝶の数が多すぎてどれについていこうか分からなくなる。というかシャッフルされたりしたらマジで見失うぞ…?

右手に止まった蝶の様子を見つつ、ひたすらに歩く。

歩いても歩いても光景は変わらず、ただ赤い彼岸花と赤い蝶が舞っているだけ。

すると


「!」


俺の右手に止まっていた蝶は急に飛んでいった。その蝶を見た他の蝶たちもついていくように飛んでいく。この蝶々たちが飛んでいく方向に何かあるのか?

俺は走り出す、今までに無い変化そして動き。絶対に何かある。


「…え?」


そこにあったのは、いや『居た』のは。


(鎖で巻きつかれた人…いや少女か?)


花畑の恐らく中心、そこに鎖で縛られた少女がそこにいた。

その少女を囲うように飛び回る赤い蝶たち。


(…とりあえず近寄ろう)


一歩一歩とその少女に近づいていく、ただその一歩一歩進むたび頭の中に何かが聞こえてくる。その声はこの少女からの声だろうか。


『…』

「…」


少女に近づき、目線を合わせるように膝を折る。

ただこの少女は俯いているから目は合わせることは出来ないけどね。


「…君は?」

『…わたし、の。こえが、きこえる?』

「あぁ聞こえているよ」


頭の中に流れ始めた声に耳を傾ける。


「もう一度聞くけど君は?」

『わたしは、だれなの?』

「俺にも分からない」


この少女は記憶喪失なのか?


「じゃあ次、ここは?」

『それも…』

「そうか…てか俺ばっかりが質問するのもアレだな、聞きたいことはあるか?」

『…あなたは、うけいれてくれる?』

「受け入れてくれる?」


その言葉を聞いたと同時に俺の身体が鉛の様に一気に重くなった。

それと同時に頭の中に聞こえていた声が消え、目の前の少女から聞こえてくる。


「ぐっ…!?」

「私は、赫蝶という創られた生物」

「創られた?」

「初めて貴方にあった時はあのゼフィルスの時の」

「あの…時の蝶、か?」


俺の右手に乗り塵となっていったあの時の?


「貴方という存在は希少で、何より優しさと言う温もりを持っている」

「優しさ…」

「私は…人間じゃなくなった。他人でもなければこの世界に生まれてはいけない生物、いわば兵器そのもの」

「…」

「でも…私は貴方の優しさに惹かれてしまった。身体が傷だらけになろうとも皆を守ろうとした貴方に」


ぽたぽたと赤い彼岸花に涙が零れていく。


「だから…お願いします、私を受け入れて…」

「いいよ」


俺はその願いを受け入れることにした。


「な、何故…ですか?」

「君は自分自身の事を兵器と言ったな」

「はい、私の身体は人を襲うように調教されていて」

「そうかもな、でも俺の思う『兵器』と言う定義に君は入っていない」

「え…」

「俺は兵器を人を傷つける事の出来るものだと思っている、銃や爆弾だってそうだろ?でも君はあの時俺を襲ったけどこうやって話してくれている。まぁ少しは戦ったけど対話と言う形で俺に話しかけてくれた、それだけで俺は兵器とは思わない。それに…」


「君は立派な心を持ってる」


「!」

「だから受け入れる、てかこんな場所まで用意して泣いて懇願してくれてるんだ。ここで断るのも…何というか後味悪いだろ?」


と喋っているうちに気づけば俺の身体には重みがなくなっていた。


「ありがとう…ございます…!」


そうして俺は鎖で繋がれた少女の手を握った。


「君は創られた生物だとか兵器ではない、きちんと生きとし生ける者だ。だから俺と共に歩もう」


すると俺の右手にのみ赤い鎖の枷が付いた。

これで完全に受け入れたってことか?


「…それでここからどうやって出るんだ?」

「…どうするんでしょう?」

「えぇ…」


ある意味驚きなんだが。


「そういえば俺ってどうなってるんだ?確か、食われた気が…」

「はい、ですが現在は赫蝶のエネルギーで身体を治癒しています」

「てことは治ったら目覚め?」

「そうかもしれません」


お互いをつなぐ鎖を見て1つ思う。


「なぁ」

「はい」

「君って俺の身体を操れるか?」

「え?」

「いや、何を言ってるか分からないと思うけど…君は人間じゃなくなったって言ってたし今一度人間の生活をしないかってこと、俺の身体を使ってね」

「し、しかし…」

「安心しろ、俺の学園のみんなは全員良いやつばかりだ。君が俺の身体を使っても受け入れてくれる」

「…分かりました、では貴方の身体をお借りします。それで貴方はいつ目覚めを?」

「そうだな…大体は緊急で何かあった時か学園祭の前日辺りで覚めたい」

「ではそれまでお借りして人間を再度学びなおします」

「あぁ、頑張って」


そうして俺は身体をこの少女に預けて花畑で大の字になり、目を瞑った。

何というかとんでもない者と出会ったけど、まぁいいか。自身を兵器と言っていたけど立派な心を持っているし、ここで無下にできる程俺は腐ってないしな。


(人間じゃ無くなった…か)


この赫蝶は元人間だったのか。しかもそれをAGのギアに搭載する外道が居たとは思わなかった。

とりあえず受け入れた。あとはあの少女がどうするかを決めるべきだと俺は思う。

よし、まずは眠るか!


(おやすみ、クラスメイト達と仲良くな…)


少し寝心地のいいこの花畑で俺は眠った。


◇◇◇


『主、目覚めてください』

「ん…?」


頭の中に声が聞こえたので目を覚ます。


「ふぁぁぁ…ここは?」

『主の私室です』

「俺の部屋か」


軽く見回すと、確かに俺の部屋だ。これで違う部屋とかだったら驚くぞ。


「今日はいつだ?」

『学園祭三日前の深夜です、急遽ですが主に話したいことが』

「え、何…?」


頭の中の少女に耳を傾ける。


『私が付近に赫蝶を飛ばしていたのですが…私の身体の一部が詰め込まれた籠が第3アリーナにありました』

「アレか」

『ですが今の私は主に受け入れてもらった身、もし赫蝶が放たれても全員主の元へ戻り、力となります』

「了解。んで誰がその籠を?」

『斎条と言う者です』

「は?」


またアイツか…でも追放されているんだろ?


「どうして学園に?」

『襲撃者が来たことは覚えていますか?』

「あー…雪華さんが言ってたやつか、それが?」

『その襲撃者達は斎条を連れて何処かへ行ったんです』

「…マジ?」

『はい』


マジかよ。てかあの時期に襲撃者に連れてかれたってことは絶対グルじゃん!

クソ…あの時に二度と生きられないレベルでずたずたにすればッ!!


「いや落ち着こう…それで何故斎条が?」

『恐らく私の一部こと赫蝶の力を知ったのでしょう、専用機持ちの男子生徒を殺せる事が証明されたので』

「でも…受け入れたことは」

『あちらには私たちの事はバレていません、あくまで操られている程度に思っていると仮定しています』

「なるほどな」


ある意味、トドメをさせるチャンスかもしれない。


「それでその籠はいつ開くんだ?」

『そこまでは分かりません。ですが不特定多数に被害を出したいのであれば』

「学園祭当日か」


狙うタイミング的にもうテロリストの所業だ。しかも皆が盛り上がる学園祭を狙うとは万死に値する。


『それと主』

「何だ?」

『記憶を覗いていたところ貴方の中には今まで戦ってきた動きを殆ど覚えているようですが、この記憶は使わないのですか?』

「そりゃそうだろ、だって俺のAGが使える武装は一刀と弓だけだ。俺が覚えている動きの中に使ってるやつは居ないし…」

『では、これで如何ですか?』

「え?」


俺の右手に赫蝶が集まっていく。それは粒子から形を作り出していき…スナイパーライフルこと『スターダスト』が出来上がった。


「え、えぇ…赫蝶、凄いな」

『いいえ。これは主の記憶の中の武装を再現しただけです』

「…そういえば赫蝶」

『はい、何でしょうか?』

「俺のことを主って言ってるけど、春斗でいいぞ。そっちの方が呼びやすいだろうしな」

『分かりました。では…春斗』

「あぁ」


出来上がったスターダストがまた粒子となり俺の身体の中へ入っていった。

こんな状態だけど、俺の身体ってどうなってんだ?


「てかお腹すいたな、何か食べるか」


軽く話したのち俺の腹から飯を寄こせと聞こえてきたのでついでに時間を確認すると21:30。時間的に食堂は閉まったし、今から食えば夜食になるが空腹は収まることを知らず…。


『春斗の料理ですか?』

「あぁ、てか赫蝶って飯食えるのか?」

『蝶形態での捕食は可能です。あるいは春斗の肉体の栄養や白鉄のエネルギーから私が動く活力を頂いています』

「ある意味俺の身体と共有しているのか、てか白鉄からのエネルギー?」

『…朧げの記憶ですが、ギアを動かすエネルギーでも私は動くことが出来る気がします』

「だとしても基本的には飯か俺の栄養でいいな。さて、今日の飯は何にしようか…」


流石に脂っこいものは止めよう、太る。

少しヘルシーなものを食べたほうがいいかもな、さて冷蔵庫には何があったかな~?


(冷凍された鶏肉ときゅうり、トマトか…)


よし、素材的に棒棒鶏(バンバンジー)以外思いつかない。それに意外とヘルシーだし丁度いいな。

冷凍された鶏肉を保存袋諸共冷水に流しながら解凍していく。鍋に水を適量入れ塩を軽く振って沸かしたお湯に解凍した鶏肉を入れる。今のうちにきゅうりは千切りにしてトマトは輪切りに。そして鍋から引き上げた鶏肉を冷まして手で裂く。

んで俺と赫蝶の二人分にするために二皿用意していい感じに輪切りにしたトマトを敷いてその上に千切りにされたきゅうりを敷く。最後に裂いた鶏肉を乗せてドレッシングは…ゴマでいいか。ゴマドレをかければ、完成。


『素晴らしい手際ですね』

「ありがとな、はい赫蝶の分」

『では、ありがたく頂きます』

「頂きます」


本来は座って食べるべきだが急を要する、俺の腹が今すぐ食えと叫んでいるのだ。


「…うむ、美味い」


シャキシャキとした食感とゴマドレの旨味に鶏肉がいい味を出している。

ゴマドレのカロリーには目をつむるが…鶏肉は割とヘルシーな部類にはいるし実質ノーダメージだな、うん。


『これは美味しいですね』

「それは良かった」


置いたもう一つの皿を赫蝶が食べているが…何というか凄い光景だ。

皿に大量の蝶がついて一心不乱に料理を食ってるからな、飛んで火にいる夏の虫…か?


「うーむ、米かパンが欲しくなるな」

『米やパンですか?』

「あぁ、少しだけな。まぁないものねだりしたところでだし明日の朝に腹いっぱい食えばいい」

『なるほど、ご馳走様でした』

「…早いな」


気づけば皿の中は空になっていて食べていた赫蝶は全員、俺の中に戻っていった。

何か俺の料理を食う人全員食べるの早くない?


「お粗末様でした」

『では就寝ですか?』

「あ、歯を磨いてから軽くストレッチして寝る」

『…意外と神経質なんですね』

「あー…違う習慣化してるせいで、な」


そのあと普通に歯を磨いて軽く身体を解したのち眠り、夢の中で赤い彼岸花の花畑で目覚めなかった…。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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