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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
33/122

第31話 彼の中に眠っていた、名前も無き怪物

皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんわ。作者の雨乃時雨です。

またまた皆様にご報告が、前の前の話の前書きに『毎週土曜日投稿』と書いていましたが、削除させていただきました。理由といたしましてはこの作品の完結まで週一投稿ですととてつもない時間がかかってしまうためこの作品が投稿されてからまた不定期投稿へ戻します。

出来ることでしたら毎日も考えましたが…作者の身体が持たないため毎日は無理でした、申し訳ありません。

長くなりましたが、どうぞお楽しみください。

雪華さんとの訓練を開始してから三日目に突入した。正直なところ、かなり身体にきている。

予習復習も頭に入らないこともあるし、飯が喉を通らないこともしばしば。

昨日、食堂のおばちゃんに今日は大盛にしなくていいですって言ったときの驚いた顔は今でも忘れられない。


「はぁ…ん”んー!!いてっ」


雪華さんやみんなとの訓練帰り、歩きながらぐいーっと身体を伸ばすが、そのまま脱力して視界がふらっとし壁に顔面から突っ込む。

最近いつもこうだ、身体が全然休まらない。それと…


(変な夢…見るんだよな)


ここ最近変な夢を見る。

悪夢じゃないんだが毎回同じ夢を見るんだよな。寝るたびに夢の中の景色は赤い彼岸花が咲き乱れる花園で目が覚めて…そこから何もなし。

この夢が毎回出てくる、変な疲れ方でもしてんのかな。


「ね…む」


壁にもたれかかりながら自分の部屋へ歩いて行き、ドアを開けて部屋の中に入る。

本当はベッドに飛び込みたいが…意識が持つ気がしないので椅子に座る。


「はぁ…」


俺は強くなっているんだろうか。たかが三日程度で強くなっているとは思っていないし、みんなと戦えるくらいマシにはなったのかなと勝手に思う。

再度マニュアル操作の動画を見ようとして右手をビジョンシステムに伸ばすが…。


「あ…ダメ…だ…」


視界は徐々に瞼で真っ暗になっていき、右手の指先の力が無くなったと同時に俺の意識は夢の中へ連れてかれていった。


◇◇◇


「あら?」

「む?」


1103号室こと九条春斗の部屋の前でエンカウントする二人。フレヤとアナスタシアが巡り合ってしまった。


「アナスタシアさん?ここで何を」

「春斗を夕食に誘いに来たのだ、そっちこそ何用だ」

「私もですわ」

「…ほお?」


その発言と共に二人の間にばちばちと火花が散る。

するとそこへ


「二人とも何やってるの?」

「…何故にらみ合っている?」


和食定食のトレーを持ったレベッカと葵が来た。


「レベッカさん、それは?」

「春斗、今日の訓練頑張ってたでしょ?もしかしたら食事が出来ないかもって思ったからせめてこれだけでもって」

「わ、私はその付き添いだ」

「ぐ、その手があったか…だが春斗は居ないそうだぞ。ノックをしても返事がない」

「い、いつの間にノックをしていたんですの!?」


フレヤが二人に視線を向けている間にアナスタシアがしれっと春斗の部屋のドアにノックをしていたが返事もなかった。


「でも食堂にも居なかったし…」

「しかたない、春斗入るぞ」


中にいる人間の返事を無視して4人は春斗の部屋に突入する。

そこには椅子にぐでっと力が抜けている春斗が居た。


「何だ、居るではないか。返事くらい」


とアナスタシアが春斗に近づこうとしたが、レベッカがその手を押さえる。


「しーっ…」

「どうしたレベッカ」

「みて」


レベッカに言われるがままみんな揃って春斗を見ると…。


「…んん」


規則的な寝息をたてながら寝ていた。


「春斗、寝てる」

「本日の特訓も張り切っていましたものね」

「あぁ、マニュアル操作も頑張っていたしな」

「よし、トレーは机の上に置いて私たちは退散しよう」


レベッカは春斗の目の前の机の上に和食定食を置いて4人で書いた書置きを置いて春斗の私室から静かに退室した。


◇◇◇


「…ん?」


目を開ける。何というかいつも通りの光景だ。


「赤い彼岸花…」


また赤い彼岸花の花畑のど真ん中で目を覚ます。最初見たときは目に悪いな〜とは思ったが人間は慣れるもんだなとも思った。

…本当に彼岸花以外何もない。とりあえず歩くか。

彼岸花を踏みつぶさないように適当な方向へ歩いていく。


「おっと」


適当に歩いていたら目の前を赤い蝶々が横切った。

初めてだ、花畑で彼岸花以外を見たぞ…綺麗な赤色だったな。

まぁ歩く方向もまだ決まってないし、蝶々についていくか。自由に飛び回る赤い蝶々の後ろをついていくように歩いていく。一体どこに向かっているのだろうか…。


「ん…?」


急に方向転換した蝶々が俺の右手の指先に乗った。じーっと見てみる…何というか何処かで見たことあるような。

もしかして…臨海学校のゼフィルスの残骸を回収するときのアイツか?でも今になって夢に出てくるものなのか?なんて考えているうちにあの時と同じように赤い蝶は塵となって俺の右手に付着し、消えた。そして…何か聞こえるが完全に聞き取れない、ただの耳鳴りかもしれないけど。

その耳鳴りが無くなった瞬間。


「…お?」


現実世界に俺は帰還、つまるところ目が覚めた。


「ん”んー!!身体いてぇ」


デジタル時計で現時刻を見ると翌日の06:30。一日を椅子で寝たってなるとそりゃ身体にも毒か。

まず目が覚めて目に入った物はラップに包まれた和食定食と置手紙。どうやら葵、フレヤ、レベッカ、アナスタシアがここに持ってきてくれたようだ。ありがたい。

料理が入った食器たちをレンジの中に入れて加熱する。 

その間に昨日の夢の内容を思い出す。今回の奴はいつもと違って赤色の蝶々が現れた、それだけだけどね。でもあの蝶はゼフィルスの残骸を回収するときの奴だよな。

改めて塵になった時を思い出しながら俺の右手を見る。


(何も変化なし)


見ても触ってもただの俺の手だ。いや夢の中の話だから現実に反映はされないしな、俺の考えすぎか。

考えているうちにレンジから音が鳴り、料理を机に出して箸をもち手を合わせる。


「頂きます」


ご飯に生姜焼きに味噌汁、朝の活力補給にはピッタリだ。


「美味い」


ご飯と生姜焼きのタレや塩分がものすごく丁度いい、ご飯が進む進む。

味噌汁も…うん、優しい味だ。

と味を楽しんでいるとコンコンとドアがノックされる。


「はーい?」

「お邪魔するわね~」

「雪華さん?」


ドアに向かって返事をすると雪華さんが入ってきた。いや、どうぞとか言ってないんだが…。


「あら朝食?」

「昨日、皆がここに運んでくれたんです」

「皆優しいわね。あ、ちょっとベッド借りるわ」


そうして雪華さんは俺のベッドに座り、俺をじっと見ている。


「そういえば今日はどうしました?これから授業ですし、自分が言うのもなんですけどまだ朝早いですよ」

「そうね、本来なら二度寝に洒落こもうかななんて思っちゃうんだけど…」

「?」


雪華さんが二度寝すること自体結構意外な部類に入るのだが…それ以上に歯切れの悪い顔もするもの驚く。


「どうしました?何というか歯切れの悪そうな顔をしていますけど」

「ちょっと…春斗君に個人的にお願いしたいことがあって」

「俺にですか?」


握っていたお椀と箸を一度置いて、雪華さんの向かいのベッドに座る。


「それでお願いとは」

「その…妹をお願いしたいの」

「…は?」

「あぁごめん、色々抜けていたわ。これを見てもらっていい?」


一瞬、結婚類のアレかと驚いたが単純に雪華さんの説明不足だったようだ。

見てもらっていいと言われて見せられたデータを確認する。


「『桐ケ谷水津(きりがや みなつ)』…1年4組の?」

「う、うん」


俺と同級生で4組の生徒のようだ。まぁ雪華さんの妹なので苗字は桐ケ谷なのはそりゃそうかと自分にツッコむ。


「でも何故俺に?」

「…ここからが重要なの」


データを閉じて俺をじっと見つめてくる。いつもの雪華さんとは思えないほどの重い雰囲気だ。


「実は…私の妹は教員にいじめられてるの」

「はぁ!?」


あまりにもとんでもない情報で俺はベッドから立ち上がり声を上げてしまう。


「ちょ、どういうことですか…?」

「その…この辺の話は私たちの家庭関係の話になるから他言無用でね」

「それはもちろん」

「良かった。春斗君の知っての通り私には専用機があるでしょ?私の妹の水津ちゃんにも専用機があるんだけど…戦績もそうだけど初期設定が今だに完了していないの」


初期設定が今だにって…もう入学してから半年は経ったのにか!?


「ここで私たちの家庭のお話になるんだけど、桐ケ谷家はAGの研究や開発を行っている一流企業なの。それで入学に先立って特殊型AGの作成に取り掛かり見事に成功。今の私と水津ちゃんに専用機の所持が認められた」

「それは…いいことじゃないんですか?」

「それもそうなんだけどね。春斗君は感じたことないと思うけど専用機を持っている人に対する『嫉妬』って感じたことある?」

「…察しました」

「この辺の理解も早くて助かるわ。まぁ大雑把に言うと4組の担任は専用機を持ってなくて専用機を持っている水津ちゃんに嫉妬して」

「いじめていると…」


あぁ…何だ、ただのクズか。


「…そこでお願いなんだけど、私の代わりに水津ちゃんを守ってほしいの」

「それは良いんですけど、雪華さんは?」

「水津ちゃんは何というかネガティブで暗い子なんだけど…それ以上に家族に迷惑を掛けたくない優しい子なの。それで私が助けに入ったら」

「より自分を責めるかもしれないってことですか?」

「うん、それもあるけどあの担任は権力を持つ私にバレない様にやるから…ね」

「…ッチ」

「え?」

「あ、すみません…とりあえず俺の方から水津さんへ接触を試みます、そこからでもよろしいですか」

「う、うん!というよりいいの?」

「もちろんですよ、雪華さんにはお世話になってますし…」

「ごめんね、このお礼は私の身体で」

「それは結構ですッ!!」


とそんなわけで雪華さんからのお願いを聞いたのち、俺の中にある考えが浮かんだ。

簡単だ。


ーー()()()()()()


ってね。


ーーー


そんなわけで午前の授業も終わり、俺は水津さんのところへ向かう。

雪華さんの情報によると最近は整備室にこもりっきりらしい。一体何をしているんだ?


「ここが整備室か」


改めて思うけどIGD学園広すぎないか?今は昼休憩なので多少は時間があるけど…整備室に行くまでかなりの時間と労力を使った。小学校時代の登下校くらい歩いたぞ…。


(えっと水津さんは…いた。お?)


整備室に静かに入り、写真を見ながら水津さんを探していると居た。他の女子に囲まれながら何かをしているが…どうしたんだ?


「え、九条君!?」


とそのグループの中の女子の一人が俺の存在に気づいた。一斉に俺の方を向いて来てそのおかげで隙間が出来て水津さんの状態に気が付いた。


「!!」

「え…?」


声が出るより先に水津さんの元へ走る。これは…!

心の中の何かが滾る。

今の水津さんの状態。長い髪はぼさぼさで前髪で目元が片方だけ隠れているが…それ以上に目立つ外傷の数々。いくらなんでもこれは…。

いや今考えたって解決はしない。


「消毒液と包帯、ガーゼに氷嚢を貸して!」

「う、うん!」


周りを囲んでいた女子たちから医療器具を借りて水津さんに応急処置を施す。

一応、軽くだけど応急処置の技術はある。中学校の時に救急救命を受けてちょっと興味がわいたから動画や資料を見て学んだ。


「よしできた」


包帯やガーゼなど色々なものを使って水津さんに応急処置を済ませた。これで多少は良くなると思うが…。


(ここまでやるとはな…!)


俺の感情は心配よりも身を焦がすほどの憤怒の炎を燃え上がらせていた。

って今はそんな状況じゃない。


「水津さん大丈夫か?」

「ど…どうして私の名前を…?」

「…噂だよ、俺は耳がいいからな」


思えば水津さんからしたら見ず知らずの男子生徒が応急処置をして、しかも名も知られている状況だもんな、困惑するのも当然か。あと雪華さんからお願いされたとは言わない、それだけでも水津さんが自身を責める可能性もあるし…。


「それで、その傷はどうしたんだ?」

「え、えっと…」

「…斎条だよ」

「え?」

「斎条のせいで水津さんが…!」


若干興奮気味の皆が俺に説明してくる。

その内容は口に出すのもおぞましい程だった。入学初日から水津さんへのいじめを全て聞いた俺は憤怒よりも憎悪が…よぎる。


「プールの時間で溺れさせ、AGのサンドバックにしただと…!?」


やっぱりダメだ、壊そう。今すぐにでも…!!


「すまん、ちょっと野暮用だ。みんなは水津さんを診てあげてくれ俺は」

「だ、ダメ…!」


俺が立ち上がり職員室に向かおうとしていたところを傷だらけの水津さんが止める。


「…何で止める」

「わ、私が…我慢すればみんなは大丈夫だし…えっと…貴方が危険を顧みる必要も…」


なるほどな、雪華さんが言っていた理由が分かった気がする。

確かに雰囲気や口調、声の大きさなども含めて暗い子っていう理由は分かる。でもそれ以上に水津さんはとっても優しい。自分が我慢していればみんなに被害がいかないって思ってるみたいだ。


「でも…限界があるだろ!?このままじゃ下手したら水津さんが死んでしまう!」

「…い、いいの」

「!」

「私一人で傷つけば…」


いくらなんでもここまで来たら度を越えて優しすぎる。

ダメだ、ここで見逃せば…。


『き…て』

「!?」


急に頭の中にぼそぼそと何言ってるか分かりづらい声が聞こえてくる。

この声って夢の中の耳鳴りに少し似ているような?


『き…て…る』

「…来てる?」


『きてる』その単語だけ聞き取ることが出来た。単純に考えて『来てる』だよな。

でも誰が…?

いや、察した。来てるんだな。

すぐさま水津さんから離れて整備室の扉の前で陣取る。

すると、聞こえた通り1人の『先生』が来た。


「あら九条君」

「どうも、えっと誰先生ですか?」

「『斎条』ですよ、九条君の方こそこんなところで何を?」

「丁度昼休憩だったので白鉄の調整やメンテナンス…まあ整備です」

「…それは放課後やればいいのでは?昼ではやる時間も限られますし」

「いえ、善は急げとも言いますし」

「…」


まぁ…予想通りというか俺をここから追い出したいようだ。狙いは俺の後ろに居る4組の皆や水津さんだろうしね。


「どきなさい」

「何故そこまで強く言うんですか?」

「…」

「まぁ…出ていきますけど」


そういいながら斎条先生…いや斎条の横を通り過ぎて整備室から出るふりをした。

実際は出てから少ししたところで引き返し、ドアから斎条の後姿を携帯で撮影している。


「…さ、居るんでしょ!出てきなさい!」


おぉう、うるさいな。ヒステリックババアか。

凄い申し訳なさそうに水津さんが出てくるが、水津さんを守るようにクラスメイト達が出てくる。


「これ以上水津さんを傷つけるな!」

「そうだそうだ!お前みたいな教員要らない!!」

「ここから出ていけ!!」


抗議するように斎条へ声を上げるが聞く耳を持たないのか、そのまま歩いていき抗議していた女子生徒一人の手を掴んで引き寄せ、頬を叩いた。


(うわっ…きっしょ)


そのせいで抗議の声は一瞬のうちに静まり返る。気持ち悪いなコイツ生徒に手を出して黙らせるとか。何?この学園人員不足なの?だからこんなゴミが放置されているのか、そういうこと?


「水津、今すぐ出てきなさい。さもないと貴方の周りがまた傷つくわよ」

(…また?)


その『また』という言葉を聞いて俺の憎悪に火が付く。

初犯じゃないのか?斎条に呼ばれた水津さんは、守ってくれていたクラスメイト達をかき分けて前に出る。


「何様なの貴方。クラスメイト達に守られて、それでも専用機持ちなの?」

「…」

「はぁ本当、その専用機要らないんじゃない?というより貴方自身に価値がないわ」

「…」


斎条の振り上げた拳を見た瞬間、俺は一目散に走り出し水津の前に割って入り…。

俺は殴られた。


「…」

「…!」

「へぇ、今時の教員ってこんなことするんですねぇ?俺は意外だなって思いますけどねぇ?」


殴られた頬を動画に収めたのち動画撮影を終了して携帯を懐にしまう。

もう俺の感情は憎悪で滾っていた。


「だから専用機が無いんじゃないですか?」

「…今の言葉もう一度言ってみなさい!次は容赦「そんなゴミみてぇな性格だから、弱い者いじめするカスだから専用機がねぇっていってんだよ。なぁ聞いてっか?聞こえてねぇならもう一度言ってやる」


「陰湿陰険ジメジメ教員、斎条先生。お前には価値がねぇんだよ」


精一杯の笑顔でそう言った。


「きさ…がはっ!?」


俺の言いたいこと全て言った、後は…コイツを。


ーーぶっ壊すだけだ


俺の中の何かが満面の笑みで笑う。


◇◇◇


「春斗さん戻ってきませんわね…」

「うん、食堂にもいなかったしどこ行ったんだろう」

「私たちで春斗が行きそうな所に行ったが…居なかったな」

「うむ…」


授業開始10分前、1年1組で春斗の戻りを待つ葵、フレヤ、レベッカ、アナスタシア。


「お前たちは、いい加減九条に想いを伝えないのか?」

「そ、それは…」

「も、物事には順序もありますし…」

「ぼ、僕も心構えが…」

「よし、皆が遠慮するなら私が行こう」


御影先生の一声に感化されたアナスタシアがいざ告白をと動き出した瞬間、引いた三人がアナスタシアを止める。


「ええい離せ!」

「無理だぁ!」

「無理ですわ!」

「ごめんむり!」

「やれやれ…」

「青春ですね」


騒いでいる4人を眺めるクラスメイトや御影先生、柊木先生。

するとそこへ


「み、御影先生と柊木先生!!」

「?」


沢山の女子生徒たちがこの一年一組に走ってきた。


「廊下を走るなと言いたいが緊急のようだな、何があった」

「く、九条君と斎条先生が殴り合いの喧嘩を!」

「えぇっ!?」

「何だと!?」


あまりにも異質な報告だった。一応、春斗は手伝いや行動力、優しさなどかなり人当たりの良い性格なので生徒や教員たちからの評判がいい。

しかし、そんな彼が教員と殴り合いしているという報告。


「何故殴り合いが始まった、何処でしている!」

「…九条君が…私たちを守ってくれたんです…」

「!」


そこにはボロボロになった一人の女子生徒が。

長い髪はぼさぼさで前髪で目元が片方だけ隠れているが…それ以上に目立つ外傷、でもそれを覆う応急処置の数々。


「く、九条君が…」


そのボロボロの女子生徒がぼそっと言う言葉がクラス中や廊下で騒ぎを聞きつけた女子たちに木霊していく。

するとそこへ。

ズタズタになった女性が飛んできて倒れこんだと同時に容赦なく蹴り飛ばす、九条春斗が現れた。

そしてその彼の様子も異常そのもの。いつもの優しい笑顔も雰囲気はなく、ただ無表情のままで殺意を放出し続け…。

右目が真っ赤に染め上げられていた。


「…」


倒れた女性の髪を引っ張り上げて無理やり立たせる春斗。


「柊木先生、御影先生」

「…何だ」

「今、俺はものすごくこの学園に対して不信感を持っています。聞きますか?」

「聞かせろ」

「ではこれを」


そういって春斗は御影先生に携帯電話を投げ渡し、中身を見させる。

その中身はズタボロになっている斎条先生の生徒に対するいじめの現場の動画。


「なるほどな」

「何でこの学園にこんなゴミがいるんです?人員不足ですか?」

「いやそういうわけじゃない、だかこれは立派な証拠だ。借りても?」

「どうぞ、それと御影先生」

「何だ」

「俺は俺自身が尊敬あるいは信頼できる教員の言葉しか聞く気ないので」

「分かった、とりあえず斎条を渡せ。これから緊急で職員会議を開く、あとお前にも事情徴収があるはずだ。心しておけよ」

「はい」


髪を離し、地面に倒れこんだ斎条の首根っこを掴み持ち上げて御影先生に投げ渡す。

受け取った御影先生は斎条を担ぎそのまま職員室へ駆けて行った。

その光景にも驚くが、一番は両手を血で濡らし、右目が真っ赤に染められた九条春斗の姿に全員は視線を奪われていた。


◇◇◇


血で濡れた両手を見る。


「く、九条君」

「…はい」

「本当に…どうしたんですか?」


少し驚いた顔をした柊木先生が俺に話しかけてきた。


「…教員が生徒をいじめてたのでそのままやり返しました。柊木先生には見えたかどうか分かりませんが斎条が受けた傷よりも水津さんが受けた傷も期間も多いし長いです」

「そ、そうなんですね」


どう触れたらいいのか分からないように柊木先生は少し焦っているようだ。


「水津さんは大丈夫か?殴られかけてたけど怪我とかは」

「う…うん…大丈夫」

「なら、良かった」


良かった、割って入って守れなかったら何て思ったけど無事なようで何よりだ。


「何…で」

「うん?」

「何で…私を守ってくれたの…?」


何で守ったのか…理由なんてないけどな。というより、怒りのまま力を振るっただけなんだよな、心の底から一番嫌悪する行動をした…えっと誰だっけ。

そう、斎条が悪いし。


「守ることに理由なんかいるか?それに俺が一番嫌いなことをしていたあの斎条とか言うやつが悪…い?」


ぐらついていく意識の中、そう言い放ったと同時に地面に全身を叩きつけ俺は意識を失った。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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