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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第二部
30/122

第28話 新学期早々、波乱の予感?

「やぁっ!!」


バンッ!と銃声音が鳴り響いた後にガギィンッ!金属音をアリーナで響かせる。

九月に入り夏休みは終わって新学期が始まった。二学期初の実戦訓練の対戦相手はレベッカ。


「よく弾丸を刀で弾けるよね…僕の感覚がおかしくなりそうだよ」

「俺だってレベッカの武装変更速度に慣れすぎてたまに他が遅く見えるぞ?てかここまで戦闘訓練積んでたら多少は反応できるって」

「流石だね、負けられないけど!」

「俺もだ!」


銃撃戦と剣技の空中戦。白鉄は完全に治り、俺の肉体の方も異常は確認されなかった。

つまり、本気対本気の訓練。俺もレベッカも張り切っている。


「ふっ!」

「甘いよ!」

「判断力と変更の速さ…本当にすげえな」

「それは…この戦いが終わったらいっぱい褒めてね!」


弾丸を避けつつインパクトブーストでレベッカに接近し、縦に一閃。

しかし、アサルトライフルからシールドにすぐさま切り替えて防ぐ。やはりレベッカの状況判断能力と武装変更の速度は度肝を抜く。


「!」


シールドを滑るように弾き、少しバックステップしながら穿千に切り替えて矢を穿つ。

そのままシールドで防がれたが…俺はもう一本矢を構え待つ。


(絶対に撃ってくる、そこを…!)


レベッカがシールドを構えながらアサルトライフルを構えようとした瞬間、その胴の隙間を縫うように穿つが。


「わっ!」

「!?」


狙いが外れてギリギリ当たらず、逆にレベッカからのアサルトライフルの射撃を受けてバランスを崩す。その隙を逃さないようにレベッカは俺に向かって突撃してきてナイフを二本構えて、X字に俺の装甲を切った。

その攻撃で吹き飛ばされた俺はアリーナの地面に叩きつけられ…試合終了を告げるアラームが鳴り響いた。

結果は言うまでもなく、俺の敗北だった。


ーーー


「ぬーん…」

「は、春斗大丈夫?」

「大丈夫~…」


土曜日の前半戦、後半戦ともに俺の負けで幕を閉じた実戦訓練。その後、片付けをした後にいつものメンツで学食で各々食事を取っていた。

俺の今日の飯は運動後で食欲が湧かなかったのでTKGとお味噌汁とたくあん。ザ・和風定食みたいな感じだ。本当は納豆も欲しかったが米を欲し、食いすぎで腹が爆発する可能性があるので止めておく。

敗北の味を噛み締めつつ味噌汁をすする。


「あー、うめぇ…染みわたる」

「春斗、何かおじいさんみたいだよ?」

「日本人は疲れた体に何か入るとこうなるんだよ」

「そんなわけないだろう」

「いてっ」


後ろからサバ味噌煮定食をトレーに乗せてきた葵にコツンとトレーの端で叩かれる。


「えぇ…葵だって剣道で疲れた後水を飲むだろ?それで染みる~とかは」

「…否定はしないが日本人で括るな」

「確かにそうだな、訂正する」


俺の向かいに座った葵に質問するが…まぁ確かに全ての日本人と括るのはいけなかったな、失敬。

味噌汁をおいて生卵をご飯にかけて醤油とネギと鰹節と海苔をかけてグルグル混ぜる。


「な、生の卵ですわよね?」

「ん?そうだな」

「死んでしまうのでは?」

「大袈裟だな、結構日本では卵かけごはん略して『TKG』とも言われるくらい有名だぞ」

「と、時々日本の食事には驚きますわ。えっと、納豆でしたっけ」

「大豆を発酵させるやつね、あれも美味いよな」


そうか、外国人からすると驚かれるのも納得だ。

何せ生の卵と、発酵させた豆を笑顔で食べるんだしな。あとTKGに入れた海苔は日本人しか消化出来ないとか聞いたことがある。真偽?知らね、美味ければいいや。

あと、フレヤはスコッチエッグ…だっけ?それを食べている。


「ふむ」

「アナスタシアのは、えっと何だっけ」

「ビーフストロガノフだ、本国以外でここまで美味しい物を食べれると思ってなかった」


俺の隣でもっもっと食べるアナスタシア、何かかわいいな。


「こう見ると圧巻だな」

「何がだ?」

「この机だけで多国籍の料理が並んでるしね、ちょっと驚きがある」


この机にはTKG、サバ味噌煮、アクアパッツア、スコッチエッグ、ビーフストロガノフが並んでいる。

どれも美味そうでどれも良いな。


「でも他の国の食文化を知れるいいチャンスだよね」

「そうですわね、驚きもしますが」

「それは…否定できない」


少し苦笑いしながらTKGを頬張る。うん、美味い。


「そういえば春斗、日本のお菓子についてだが聞いてもいいか?」

「…あぁ、いいけど何だ?」

「前に歓迎会で食べたあのしゃくしゃくした食感のお菓子の名前をもう一度聞いてもいいか?」

「あー、金平糖ね」

「そう金平糖だ、副隊長に日本のおみやげとして買って帰ったぞ」

「…特殊部隊の副隊長に金平糖って、まぁいいやそれで?」

「大層気に入ったみたいでな、もう少し多い物は無いのかと」

「量なら、これとかどうだ?」


携帯を取り出してネットショッピングから金平糖を探すとやはりあった。大きな瓶に大量に詰められた金平糖を。


「おぉ、これは良いな。かなり入っているし綺麗だ、後でこれを取り寄せて渡すとしよう」

「気に入ったようでよかった」


お菓子か…そういえば最近甘い物を食べてないな。部屋の帰りに寮にある購買で何かお菓子でも買っていこうか。多国籍な学園のお陰で様々な国のお菓子がずらーっとあるのは前に確認したしなぁ、楽しみだ。


「あ、俺職員室に行かないと」

「何かご用が?」

「新学期早々の授業でどうしてもわからないところがあってな…それを聞きに行ってくる」

「そうですの。は、春斗さん?よろしければ私が」

「い、いや…大丈夫だ、フレヤにもコーチをしてもらってるんだし勉学まで世話をかけるわけにはいかない」


と一足先に空になったお椀などを返却口に戻して、やや早歩きで職員室に向かう。

いや、皆に教えてもらうのは正直気が引けるのもそうなんだけど…ちょっと説明が高度すぎて頭が『?』になるから、ね?

授業で聞いてた柊木先生の方が分かりやすいと個人的に思ってるから、みんなは…その、ごめん。

と心の中で謝りながら歩き、曲がり角を曲がった瞬間。俺の視界は真っ暗になった。


「…はえ?」


唐突な事で頭の中が真っ白になる。目元には手で目隠しをされているようだ。しかし誰が…。


「だーれだ」


いや本当に誰?聞いたことのない声だ。同級生…にしては声が大人びている、綺麗な声だが俺にこういうことをしてくる人に心当たりがない。


「ごめんなさい、誰ですか?」

「あら残念」


そういって視界が明るくなっていき、俺の目を隠した張本人を見るために振り向く。


「…どちら様ですか?」


知らない女子だった。あ、ネクタイの色が違う、この色は確か二年生だよな?

その女子の風貌は全体的に余裕を見せ、にこやかに笑いながらこちらを見てくる。しかし、俺の心臓は落ち着かなかった。大人っぽい雰囲気は分かるがそれ以上に何かを企んでいそうな微笑み。一言でまとめるならミステリアスな女性。


「あ、貴方は?」

「私の事かな、九条春斗君?」

「え、はい…」


何故俺の名前を知っているんだという驚きと貴方以外に誰がいるんですかという感情がごちゃごちゃになってはいとしか言えなかった。ほんの少し後退するが、その二倍近くの速度で俺に近寄ってくる。


「あ、あの?」

「んー?何かな」

「どうして距離を詰めてくるんですか?」

「どうしてだろうね~」


俺の質問を全て疑問の残る形で回答し、その質問に答えるたびに俺との距離を詰めていき…俺は壁まで後退させられ逃げ場がない。


「もう…逃げられないね?」


その名の知らない女子の右手が俺の頬をなぞっていき、顔を近づけてくる。

『ほ、本当に何なんだ!?』と内心焦りつつも俺の視界内がその女子の顔で埋め尽くされ、俺は両目を瞑る。


「…?」


人の気配がなくなり目を開けると…さっきの女子はおらず無人の廊下となっていた。


「な、何だったんだ…」


背中をずりずりと壁に引きずりながら座り込み、心臓のドキドキを抑え込んだ。

そしてそのまま心臓を押さえつつ職員室まで歩いていき、ドアをノックする。

…返事が返ってこない?やはり、質問は通話の方がよかったか?いやでも今回の分からない所は図を使うしなぁ。

いや、ここは意を決して職員室に入ろう。別に入るなとかそういう張り紙も貼られてないしね!


「すぅ…ふぅ…うし!」


先程のドキドキも収まり、心に余裕を持つことが出来たのでいざ突撃!

ドアを開けながら入室する。いや、入室してしまった。


「し、失礼します。一年一組の九条…ひっ!?」


その職員室の中は…アンデッドの巣窟だった。

いつも学園で見る教員たちの明るく個性豊かな面影はなく、目の前の仕事を一心不乱に処理する社畜というゾンビのよう。

こ、これは…早急に退室した方がよさそうだ。先生方は忙しそうだしね…目がうつろになるほどに。そして回れ右をして足を出口に動かそうとした。

しかし…


「九条君」

「ぴっ!?」


俺の両肩をガシッと捕まえられて、ややぎこちなく後ろを見ると…生気のない目でこちらを見ていた柊木先生が居た。もう普通に怖すぎてヤバい声が口から出たよ。


「どうしました?」

「え、えっと…その…」

「あぁごめんなさい、生徒の前でこんな見た目じゃ流石に」

「い、いや…それは良いんですけど、どうしました?」

「この時期になるとちょっと書類が増えまして…ちょっと疲れちゃうんですよね。それで今日はどうしました?」


いやちょっとどころじゃないと思いますけど!?そこまで目が虚ろになるまで働いてたんですか!?いや、あのAGの実戦訓練の時の元気な姿は何処へ!?と様々な疑問とツッコミが連鎖する中、俺は心の声を黙らせてここに来た要件を話した。


「その、授業で分からないところがあって聞きに来たんですけど…流石に聞けるような状況じゃないですし戻ります」

「いえ、大丈夫ですよ。どうぞこちらに」

「は、はい…」


とてもじゃないけど帰れるような雰囲気ではなくなったので柊木先生に案内されるがまま、職員室の席に座りその隣に柊木先生が座った。

…いや他の先生からの視線が怖いんですけど。


「ここなんですけど」

「あー、構造ですね。確かにここは難しいですけど…」


と事細かに分かりやすく説明してくれる柊木先生。すっげぇ分かりやすい。

その説明を聞きつつノートにメモを取っていく。さっきまで分からなかった問題も一瞬で解けるレベルまで理解できた、流石エリートの学園の先生。


「…となりますが理解出来ましたか?」

「はい!凄く分かりやすくて理解できました!ありがとうございます!」

「それはよかっ」


次の瞬間。


ぐうぅぅぅぅっ


「…え」

「あ、あっ」


柊木先生のお腹から叫び声が聞こえた。


「あ、は、恥ずかしい…ごめんなさい九条君」

「いえそれはいいんですけど…その生徒が聞くのもあれですがご飯とかは」

「今日は食べてないですね」

「…軽食は?」

「軽食もですね、ちょっと食べる暇がなくて」


食べる暇がなくて?ていうか、もしかしてこの職員室に居る全員何も食べてない?

しかもゴミ箱の中身をチラッと見ると、ゼリーかカップ麺、更にはブロック型の携帯食…飲み物はエナジードリンクに缶コーヒー…。

…やるしかないか。


「柊木先生、好きな食べ物とかありますか?」

「え、急にどうしました?」

「理由は良いですから、好きな食べ物は?」

「え、えっと…今はカレーや豚カツとかガッツリとしたものが食べたいですね」

「わかりました!ちょっと待っててください!!」

「えっ!?九条君!?」


そうして教科書やノートを職員室に置いて、俺は寮の購買部まで走った。

俺が何をしているのかというと教員たちにご飯と飲み物を提供し、ついでに掃除をしてあげたい。もちろん、教えてもらったお礼もかねて。

本当は食堂で何か取って来ればいいが、今の時間はもう閉まってるし俺が作るしかねぇ。


「あら九条君いらっしゃい、今日はどうしたの?何やら疲れているみたいだけど」

「はぁ…はぁ…ぶ、豚肉とたまねぎとじゃがいもとにんじんをください!結構な量を!」

「カレーかしら?何人分の?」

「…ひとクラス分くらいのを、今すぐ作るので!」

「分かったわ、丁度あるから持ってって。代金は」

「これで!おつりは大丈夫です!」

「ちょ、ちょっと九条君!?」


トレーに一万円を叩きつけて台車に乗せてもらった食材を持って一度俺の部屋に戻り、調理器具など色々詰め込んで食堂まで走る。

そして食堂にまだおばちゃんが居ることを確認した俺はすぐさま駆け寄る。


「あら九条君?もう食堂は閉まっちゃったけどどうしたの?」

「はぁ…ごほってごほっ…その、キッチン借りれますか!」

「い、良いけど…」

「すみません!後で洗い物とか色々やりますのでお借りします!」


元々この食堂は閉まったあと偶に料理部の生徒や他の生徒がキッチンを借りていることは知っていたので俺も借りることが出来た。

キッチンの中に買った食材や調理器具とかを入れてエプロンとマスクを付けて調理を開始した。

作るものはカレーライスと豚カツに大量の白米。職員室内には結構な教員が居たしいっぱい作らないと!


「うぉぉぉぉ!!」


そうして久々に俺一人で大量の料理を作る時間、クッキングタイムが始まった。


ーーー


「はぁ…はぁ…お、お待たせしました…」


ものすごい量の米を焚き上げ、カレーライスと豚カツを作り終えた俺はそれを台車に乗せて職員室まで戻った。今、俺の身体は呼吸もできないし汗だくだ。


「こ、これは?」

「食堂は…閉まってたんで…俺が…作りました」

「「「お、おぉ…」」」


俺が説明すると柊木先生以外の先生たちもこの大量の料理に目を奪われていた。


「一度、休憩してからでも大丈夫だと思います…このまま頑張って倒れたりなんかしたら…とんでもないことになるかと」


そういいながら紙の皿に豚カツとカレーライスをよそい、カレーにして先生方に渡していく。


「く、口に合わなかったら捨ててもらっても」

「おかわりだ」

「み、御影先生!?」


俺が残した時用で説明しようとしたら言い切るより先に御影先生が空になった器を俺に見せてくる。とりあえずよそって渡す。


「は、早くないですか?」

「しかたがないだろう、疲れていたし何より生徒が教員を気にかけて作ってくれたんだ」

「でも…味が」

「そんな心配するな、それに普通に美味いぞ」

「そ、それはよかったです!」

「えっと…九条君」

「柊木先生?」

「私も…おかわりお願いします」

「分かりました!」


その柊木先生に続くように教員の皆さんが俺の作った料理を食べていく。それはもう、ものすごい速度で。何というか嬉しい。手料理をここまで美味しく食べてくれると心のそこから嬉しいな。

ちなみに教員たちが食べている間に職員室を軽く掃除しておいた。といっても各机の下に置かれているゴミ箱に捨てられたゴミと共同のゴミ箱に捨てられていたものをまとめてゴミ捨て場に捨てに行ったくらいだが。

でも帰ってきたら


「もうなくなってる…だと」


白米、カレーライス、豚カツは1つ残らず綺麗に食いつくされていた。


「ありがとうございます、九条君!お陰様で元気になりました!」


さっきよりも明るく笑ってこちらに感謝してくれる柊木先生。


「そ、それは良かったんですけど…大丈夫ですか?」

「何がですか?」

「さっきよりハイペースで書類をこなしている先生が居ますけど」


心なしか俺の飯を食べた先生方の瞳に光が灯され、ものすごい勢いで積み上げられた書類をこなしていく。俺が来た時よりも二倍近くの速度でやってるぞ。


「大丈夫ですよ、九条君のお陰で殆どの先生が復活しましたし」

「それはよかったです」


ここまで回復したのであれば作った俺も嬉しいものだ。料理スキルを磨いていた昔の俺よ、お前の行いはここで実を結んだ。


「じゃあ俺はこの辺で帰ります、ありがとうございました」

「はい、こちらもありがとうございました!あ、あとお金は」

「それは…大丈夫です。皆さんが美味しく食べてくれたのでこっちも満足しましたし、それでは~」

「ちょ、ちょっと!?」


柊木先生からお金を貰うより先にノートと教科書を回収して教室から急いで出て食堂まで走り、使った鍋や食器などなど色々洗ってきちんと返却した。その間で時間はとんでもない速度で過ぎ去っていき…俺が疲れ果てて帰ってきたころにはもう日は沈んでいた。


「あ”ー、疲れたぁ…」


調理器具をシンクにぶち込み、エプロンを脱ぎ捨ててベッドに飛び込む。

実戦訓練に大量の調理、そして寮と学園の全力ダッシュの往復に疲れ果てた俺の身体はベッドに沈み込むように力が抜けていき、同時に眠気が襲ってきた。


「こ…れは…寝るや…つ」


そしてそのまま俺は眠気に誘われていき…眠った。


ーーー


翌々日、SHRが終わったのち全校集会が行われるとのことで今は体育館にいる。

先生曰く、内容は今月末の学園祭についてだそうだ。

思うけど学園祭って良いよね、楽しそうだしアニメとか青春を描く小説とかでよく見るけど何かこう…いいよね(?)


(全校生徒が集まっても、男は俺だけか…居心地悪い)


改めて認識するけど教員含めて男は俺だけだ。学園長に言ってみたいよ、せめて従業員さんに男入れませんか?って。却下される未来しか見えないけど。


「それでは、生徒会長からの挨拶及び説明をさせていただきます」


その言葉が体育館に響いたときに少しざわざわしていた体育館がしーんと静かになった。


「やぁ、みんなおはよう」

「…?」


壇上であいさつをしている女子。二年生のリボンをつけているが…何処かで見覚えがある気が?でも俺には二年生の知り合いなんて、そう思っていると一瞬目が合い…


「ふふっ」

「!?」


ウィンクされた。

あー…思い出した、俺が職員室に行こうとしたときに壁まで迫ってきたあの女子か。一昨日のドキドキが再発する。


「さて、今年は色々と立て込んで中々挨拶が出来なかったの。私の名前は桐ケ谷雪華(きりがや せつか)。君たち生徒たちの長である生徒会長よ、以後よろしくね」


にこっと微笑みを浮かべる生徒会長。何というか一昨日のように含みのある笑い方に見えてしょうがない…。


「では長ったらしい挨拶はこれくらいにして、今月末に行われる学園祭について。今回に限り特別ルールを導入するわ、いつも同じルールじゃつまらないでしょ?」


新入生からしたらいつものルールも分からないんですけど?なんて心の中で質問していたらディスプレイに過去のルールについて書かれていた。どうやら念が通じたようだ、絶対に違うけど。

えっと何々?各部活、各学年やクラスでも催し物を出し、それに対して投票を行い各部活の上位3位までは特別の部活の部費を上げてくれたり、クラスであればクラス内の設備のメンテナンスや新調など色々あるな。これでも結構いいと思うけどね、モチベーションあがるし。

でも今回は違うって一体何を…?


「それでその内容は…『各部、各クラス対抗九条春斗争奪戦』!」

「…へ?」


内容の名を聞いたと共にディスプレイに俺の顔が写った。いや…何処で撮ったこの写真!?


「えええぇぇぇぇぇぇーーーーっ!!!」


割れんばかりの叫び声か歓声か分からない馬鹿デカい声に体育館は文字通り揺れた。

今だ状況が掴めていない俺に一斉に視線が集まる。


「静かに。もちろん前回のルールでもモチベーションや盛り上がりもかなりいいと評判だったんだけど、今年は唯一の男子生徒もいるし、折角だから持ち上げないとね?だから今回は各部、一年生のみクラスで一位になった所には…」


「優勝者の部活には九条春斗の強制入部、クラス移動させましょう!」


耳がきーんとなるほどの雄たけびが聞こえてきた。

…今から取って食われるなんてないよな?


「なんて…素晴らしいの会長様!!」

「今回は本気よ…絶ッ対に勝ち取るわよ!!」


何て聞こえてくる…まずこの学園は女子しかいないし必然的に俺はマネージャーだろう。

でもそんな柄じゃないし、てか今のAGの訓練に勉学更に部活動なんて追加されたら俺の身体死ぬんじゃ…?


「それと保健室の御仏先生の情報によると、九条春斗君の今まで入っていた部活は陸上部、バスケ部、合唱部、吹奏楽部、演劇部で家では弓道に剣道もしていたみたい。流石の私もちょっとアグレッシブ過ぎない?って思っちゃった」


なんて話しているが…俺の了承は?聞かれた覚えもないし、許可した覚えもないし…生徒会長に抗議の目を向けているが。


「うふふっ」


再度ウィンクを返された。いや…どうしろと…。


「よし!盛り上がってきたぁ!」

「九条君が元バスケ部ならまだ可能性はある…!」

「最悪負けても九条君の票があれば!」


そして、一度火が燃え上った女子たちの相談や盛り上がりは止まらない。

かくして初耳と俺の了承なしのまま、学園祭兼俺の争奪戦が幕を挙げたのだった。

正直…


(嫌な予感しかしねぇ…)

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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