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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
プロローグ~第一部
23/122

第21話 急転直下の臨海学校

「戻りました~」

「あ、九条君こんばんは」


俺の宿泊部屋兼教員室に戻ってくると柊木先生が眼鏡をかけて何やら作業中だったようだ。


「こんばんは、御影先生は?」

「今は温泉に入っていますよ、何か用がありました?」

「いえ、単純に気になっただけですよ」


よいしょと座敷の端の方で寝転がり体を伸ばす。


「う”ー!はぁ…あぁ座敷、落ち着く」


ぐでぐでと座敷の上でゴロゴロしていると御影先生が帰ってきた。


「戻った」

「おかえりなさい」

「御影先生、お帰りなさい」

「あぁ…む、何だ?九条は女を連れ込まないのか?」

「連れ込むわけないでしょう…」

「つまらんやつめ」


何て言われたが仮にここに女子を連れ込んでみろ?俺諸共どんな目にあわされるか分からん。臨海学校で帰らぬ人になるかもしれないし、俺にそんな度胸はない。


「はぁ…なぁ柊木、ビールはあるか?」

「冷蔵庫にありますが…もう飲むんですか?まだ巡回とかありますし…」

「…そうだな、止めておこう」


へぇ、御影先生ってビール飲むんだ…ちょっと失礼かもしれないけど意外かな。

それと個人的な会話になると『先生』が外れるのも意外だ。


「どうした九条?」

「いえ、御影先生ってお酒飲むんだなと」

「私を何だと思っているんだ?酒くらい飲むさ」

「はぁ…柊木先生も飲むんですか?」

「あ、私も軽く嗜む程度には」


ふーん…やっぱりお酒ってうまいのか?俺のお爺さんは結構飲むし、ちょっと気になるな。まぁ飲まないけど。


「そういえば九条、どうだ学園は?」

「どう…とは?」

「馴染んだか?」

「そのつもりですけど」

「ならいい」


教員としての質問なんだろうか、俺が学園やクラスに馴染めたかどうかの。

俺は馴染んでいると感じているけど実際は分からん。


「…さてと」

「どうしました?」

「少し早いが見回りに行ってくる。唯一の男子生徒もいるんだ、もしかしたらが起きては遅い」


そうして浴衣姿のまま御影先生は部屋から出ていった。いつもスーツ姿しかみたことないから新鮮だった。やっぱりこの学園、教員含め美女多すぎない?

とりあえず今は部屋から出る必要もないのでビジョンシステムで俺の今までの戦闘データの確認や白鉄のスペックの再確認を始める。

吸収できるものは何でも吸収して俺の力にしないと。


「データの確認ですか?」

「えっ?あ、はい…吸収できるものは吸収したいなと」

「ふふっ、関心ですね」

「あ、ありがとうございます?」


データの確認をしていると後ろから柊木先生が覗き込んでいた、うん近いねぇ。

やはり無自覚っていうのは怖いな…。

その後、柊木先生からアドバイスや分からない所の質問をしているうちに就寝時間になったので教師より先に俺は寝させていただいた。

あ、あと誰も部屋には来なかったぞ。


ーーー


場所は変わり何処かの海底の研究施設。

夥しい量の機器とデータ、そして


『色褪せたベージュ色の装甲に包まれた蝶のような羽を持つAG』が鎮座していた。


「…アレは?」

「こちらに」


そのAGの前に立つ科学者は隣に居る助手のような者から『インフィニティ・ギア』を受け取る。

このインフィニティ・ギアは通常の形態とは違い『赤い蝶』のような生物が中に格納され、そのギアの周りに2,3匹がまとわりついていた。


「これが赫蝶(ブラッド・バタフライ)…今すぐAGにこのギアを埋め込みAIパイロットで試す、急げ」

「しかし、このまま起動するのは…」

「構わん、政府の犬になるくらいならこの力を使いこなし世界のバランスを崩し…そして『我々の計画』を成し遂げるのだ」

「…分かりました」


言われるがまま近くにあった端末を操作し、赫蝶が搭載されたインフィニティ・ギアを中心に鎮座するAGに装着された。

AGは起動形態となりAIの人型操縦者を騎乗させる。


各装甲ーーー異常なし


ビジョンシステムで表示されていくシーケンス。


武装ーーー異常なし


このまま行けば起動し、動く…はずだった。


起動シーケンスーーー()()


次の瞬間、その施設中に警報音が鳴り響くと同時にAGが勝手に動き始め各装甲やアームに付けられている拘束具を無理やり外そうとしている。


「ど、どうなっている!?」

「ぼ、暴走状態!制御が利きません!」

「何だと強制解除は!?」

「…無理です!AIが受け付けません!」

「マズイぞ…!」


暴走状態になったAGが全ての拘束具を破壊し、膝をつきながら倒れる。

すると…AGの装甲から赤色の閃光が現れて輝き始めた。


「…AGから強力なエネルギー反応!!」

「全員!ここから避な」


それがその職員と施設人達全員の最後の言葉だった。研究所は赤い閃光に包まれて行き…施設中の機器は強制的に止まり破壊され、研究者たちは全員死亡し、施設が自壊を始めた。

暴走したAGは自身の武装を展開し、10個のビットとレーザーライフル共に天井に向けて赤色のレーザーを放つ。

天井は破壊され海水が一気に押し寄せてくるがものともせずにAGは天へ向かって飛んでいく…。


月夜に照らされた蝶のようなAGが海底から空へ飛び出す。


ーーZephyrus(ゼフィルス)起動


そのまま破壊した研究所にも目も当てず何処かへ飛び去って行った。


ーーー


臨海学校二日目。

今日からAGを用いた実戦訓練やデータの収集などが始まる。つまり、ここからが本番ということだ。

一日目は遊んだから二日目は厳しくしてもいいだろうと言わんばかりだ…。

ちなみにいる場所は旅館から少し離れた人工ビーチ、周りは崖で外部からの侵入、そして内部からの脱出は正面から出ない限り不可能。何か穴場みたいなビーチだな。

そこにずらーっと並ぶ一年生全員、今見て思うけど結構な人数で全員AG用のスーツを着用済みだ。


「それでは訓練を開始する各班の専用機持ちを主体にAGの装備調整及び試験、稼働テストを開始しろ!」


はい!と全員返事をして準備に取り掛かる。かという俺も搬入されたコンテナを展開して訓練用の黒金と付属品の武装を含め待機状態にする。ほんの少しこの黒色の装甲が懐かしく感じる。

…そういえば昨日の夜、柊木先生に質問していたことの一つなんだが。


『そういえば…柊木先生?』

『はい、どうしました?』

『その生徒がこんなことをいうのもあれなんですけど、企業の人達を見ないなと』

『あー、なるほど。そういう事ですね』


最近になって滅茶苦茶うっとおしく感じていることの一つ、企業からの装備品の試乗及び拡張パーツの勧誘。

いい意味でも悪い意味でもAGを動かすことが出来る男ってだけで企業は食いつく、何せ貴重なデータの一つだからな。レベッカのブルーノ社でよく知ったよ…はぁ。

まぁいい。んで俺が気になったのはこの臨海学校は俺を含め専用機持ち全員いて一年生全員がいる、企業から商品をアピールできるまたとないチャンスのはずだが…昨日、姿を見ていない。何故だろうと思い聞いた。


『しおりも含めてですがこの旅館と他のビーチは貸し切りですし、外部からの侵入者は一切許されないと決められているんです』

『だから居ないってことなんですか?』

『はい、もしかしたら侵入してくる人もいるかもしれませんが…規則まで破って侵入しプレゼンしてくるような企業の装備を使いたいと思いますか?』

『た、確かに』


と柊木先生からとんでもねぇ正論パンチをくらって知った。

ある意味安心してこの臨海学校に望み、訓練に励めることが出来る。


(気にせず出来るならそれでいい、さて俺たちも開始するか)


待機状態の黒金、武装の点検をし、特に異常が見つからなかったため訓練開始の連絡を御影先生に送り訓練を開始しようとしたが。


「み、御影先生ー!!」


このビーチの唯一の出口から柊木先生が息を切らしながらこちらに向かって走ってきていた。


「どうした?」

「これを…」


柊木先生は小さな携帯端末な物を御影先生に手渡した、それを受け取るとそのデータを確認した御影先生の顔が一瞬こわばり、二人は手話や小さな声でやり取りしている。

一人の生徒からの意見からすると異常事態だ。ここまで焦っている柊木先生も初めて見たしね。


「ーーそれで、今の状況は?」

「AG行動隊が海域を封鎖し、対象は…」

「こちらで対処、か…わかった。全員注目ッ!!」

「!」


御影先生が今まで以上に声を荒げる。


「ただいまよりIGD学園教員全員が特殊任務を開始する、そのためAGの訓練は急遽中止。各員部屋に戻り連絡があるまで待機!」

「ど、どういうこと…?」

「これも訓練?」

「でも特殊作戦って…」


御影先生の言葉に理解が出来なかった生徒たちはざわざわとするが…


「いいから旅館に戻れ!!もし、用もなく外出したものが居ればこちらで身柄を拘束する!!」

「「「は、はい!!」」」


御影先生の一喝で全員が慌てて動く。稼働を強制終了しコンテナにしまい込み武装も一緒にしまい込んだ。


「それとアレクサンダー、時雨、九条、ブルーノ、アガポフは私たちについてこい」

「は、はい!」

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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