プロローグ
『インフィニティ・ギア』
それは地球の心臓であり、この世界の常識全てを覆した神器。
何気ない日々を送っている中それは唐突に現れた。
どうやら他国で『インフィニティ』という鉱石が採掘され、研究者がその鉱石でとんでもない物を発見した。
このインフィニティという鉱石は今の現代社会のエネルギー社会に合致し、しかも無限にエネルギーを鉱石の内部から発生させるというものだ。
そんな神器が生まれてからは世界は一変、どんな問題でもこのインフィニティという万物が解決していった。今じゃ全世界に水、電気など生活で必要なものは殆ど作られ国がインフィニティ無しじゃ生きていけない世界になっている。
そうなると起きることは…奪い合いの戦争、ある意味歴史は繰り返すともいう。
「…はぁ」
まぁそんなことは起きなかった、その代わり別の戦争が勃発。
便利なものは人の使いよう、善く使う者も居れば悪く使う者もいる。
簡単に言えば悪く使われた時がヤバかった。
ニュースで見たことなんだがどうやらとある裏組織がこのインフィニティを使った兵器を作成し街をハイジャック、そして兵器が暴走し大爆発…街は塵となりこの世から消えた。
今ではこの凶暴性を秘めているインフィニティが世界中のありとあらゆる国に存在する世の中だ、全てが暴走なんてしたら、各国の街どころかこの星がただじゃすまない。
だが救世主が現れた。
『九条 夏樹』博士という人だ。
なんとこのインフィニティを抑制することに成功、そして完成したのが『インフィニティ・ギア』
バレーボールくらいの球体、これが各世界の心臓。
そして更に悪用されないように開発された武装『アーマー・ギア』通称『AG』も発表され、これも夏樹博士が開発した対人間兵器武装、まぁこれも悪の組織的な奴らに悪用されるのだが…意外な発見によりそこまでではなかった。
このアーマーギア『女性』が身につけないと本来の力が発揮できない。
いまいち分からないのだが、このギアは女性のホルモン的な何かに反応し活性化する。
つまりだ、男性が身に着けても動かせないわけじゃないが活性化せず宝の持ち腐れとなる、確か本来の力の3分の1くらいしか出ないらしい。
おかげさまでこの世界の男女の溝は深まった、今じゃどの世界でも大体は女性の方が強い、そうじゃないところもあるが
これも新たな戦争の口実になり、今度は男女の戦争。
嫌になるよな、戦争ばっかりで。
俺が住んでいる日本は多少は影響はあったが戦争までとは行かなかったけど、まぁ男女の溝が作られたことは確かだ
それで国同士の同盟により男女の溝を埋めるためやこれ以上悪用されないように、アーマーギア、インフィニティギアの生産を禁止、インフィニティの採掘を禁止した。
それでも戦争は収まらず今度はテロが発生と…。
んでそんな時にアーマーギアを使った警備隊『Armor Gear defense』通称『AG隊』や『ギア警備隊』が設立され、対テロや犯罪組織に立ち向かうための育成女子学校『Infinity Gear Defense School』通称『IGD学園』が日本に出来た。
そこは世界のトップクラスのエリートたちが集まる育成女子高、ちなみに人工的に造られた島の上に存在しておりその島はほぼ教員や職員含め女性しかいない。
今の日本の平和を守る者は、警察、自衛隊そしてアーマーギア。
実際アーマーギアの影響はとても凄く大体の犯罪組織は壊滅した代わりにアーマーギアやギア関連の犯罪が増え、元の犯罪量は減った代わりにギア関連が増えた、完全なる平和はまだまだ先になると誰かが言っていた気がする。
「…」
さて話は今に戻そう。
まず周りを見渡す…女性、女性、女性と周りには男の姿はなく女性のみ。
次にここは何処か?ここはそのIGD学園、うん女子高だ。
最後に俺の性別は?うん男だね。
「どうしてこんなことに…」
机に肘をついて手で顔を覆った。
そう、俺は…特例でこのIGD学園に入学した唯一の男性だ。
ーーー
何故俺がここに居るのか?
それは俺が中3の卒業式前に起きた事件が原因。
受験を終え、だらだらとした学校生活を送っているときに事件は起きた。俺の中学にアーマーギアを装着した不審者が侵入し無差別殺人を行おうとしたのだ。
俺たちはギア警備隊に守ってもらいながら体育館に避難したのだが…そこを付かれ不審者が俺たちに襲いかかったがギア警備隊が何とか防ぎ剣をはじき無力化したが不審者は諦めずギア警備隊を押しのけ学校の生徒にアーマーギアで殴りかかろうとしてきた
その時の俺は友人が傷つくのが嫌で一心不乱に突き刺さった剣を抜いた…俺より大きい剣を
『なっ!?』
『俺の友達に手を出すなぁぁぁ!!』
『ぐっ!?何故…男なのに使える!?』
『知るかァァァ!!』
剣を振り下ろし不審者を無力化、無事捕えられたが…別の問題が発生。
何故、男がアーマーギアの剣を使えたのか?
俺はすぐさま研究機関に半ば無理やり連れていかれアーマーギア適性診断し、驚きの結果が帰ってきた…『俺は唯一のギアを活性化出来る男性』であることが判明した。
そして元々合格通知を頂いていた高校を辞退(強制)、即IGD学園に入学…とそんな感じでこの学校唯一の男性となり周りが女性だらけとかいう滅茶苦茶居心地悪すぎる空間にいる。
思えば全部ほぼ無理やりじゃねぇか!?拒否権とかないんですかねぇ!?
「皆さん初めまして」
周りの女子たちの視線が俺に突き刺さる中、教室の扉が開いて先生が入ってきた。
「改めて初めまして、この1年1組クラス担任の『柊木 志保』と言います、一年間よろしくお願いしますね」
ショートボブの髪型に優しそうな瞳、今まであった先生の中でぶっちぎりで綺麗だ。
柊木先生の自己紹介に拍手が沸いたが…俺には拍手する余裕がない。
だってさ?一応ここは1年1組のクラスで全員で35人クラスで男女比率が1:34…あ、担任の柊木先生も女性だから1:35だな、アッハッハッハ!
まぁ…一応他のクラスにも淡い期待はしたが結局男は俺しかいない、教員含めてな。
知り合いも居ないしマジで0からのスタートだ。
「それではまず一年間共にする友人たちと自己紹介しましょう!とりあえず出席番号順に始めましょうか、では…」
他の人の自己紹介を聞いている余裕がない!
もうね、きついの!視線が俺に刺さる刺さる…俺じゃなくて自己紹介している人を見ていてくれなんて思っていた。
「ありがとうございました…では九条君?」
「…」
「九条君?」
「あっ!はい!」
名前で呼ばれたことを理解し勢いよく立ち上がる、が
「いってぇ!?」
机に思いっきり膝を強打し、蹲る…恥ずかしい。
クソ、科学などが進化したおかげでモニター等が付いたおかげで動かせなくなった机のせいで自己紹介前に負傷した。
「だ、大丈夫ですか?」
「は、はい…」
「ではお願いしますね」
柊木先生がそういうとクラス中の目線が一気に俺の方へ向けられ何を言えばいいのか分からず頭の中が真っ白になったし冷や汗が止まらん。
とりあえず、名乗るか…。
「えっと…『九条 春斗』と言います」
「…」
…クラス中が静寂に包まれる
「えっと…他には?」
先生が俺に質問するが…いうことがない。
もう一度言っておくが俺の周りは日本のエリートや世界各国からきたエリートたち、俺みたいな凡人に言えることがない。
「な、何も浮かびません…ごめんなさい!」
「えぇ!?え、えっと!?」
強制的に自己紹介を終わらせ先生に頭を下げて謝り席に座った、もちろん拍手何て起きるはずもない
あぁ…最初の自己紹介から失敗した。
一応柊木先生は俺の入学経緯を話してくれたが、それが何になるんだ…!
「はぁ…」
俺はまともな学校生活を送れるのだろうか。
そう悩んで自分を攻めているといつの間にか自己紹介の時間は終わり後はガイダンスをして終わり、早速次のガイダンスではなく一度休憩を入れてからだそうだ。
休憩時間が来るとどうなるか?
試しに廊下を見てみよう…うん相変わらず女性だらけ。
俺を見て何か言っているがマジで聞き取れないというか聞きたくない、怖い。
すると携帯から着信が来ていて開くと…
『花園の女子高はどうだ?』
『きっとウハウハしてるだろ?』
と中学の仲良しなアイツらとのグループにメールが来ていた。
そこに『ぶち殺すぞ、辛いわ』と送って携帯をバックに勢いよく詰めた。
「アイツらと喋りてぇ…」
一人で愚痴りながら休憩時間は静かに過ごした。
その後直ぐに次のガイダンスが始まったが内容は教育方針等々の話で既にこの学校のパンフレットや配布物は殆ど読んでたし復習となった
ーーー
「えっと…1103は、ここか」
あのガイダンスのち即解散だったので直ぐに寮に戻った。
ここも俺以外女性だぜクソが!女性寮に男一人とか…居心地悪すぎる。
だが寮はとても綺麗で一級のホテルと言われても違和感はない、そこは良いかもな。
カードリーダに俺のIDカード(学生証)をかざすとピピッと音と一緒に鍵が空いた音が聞こえたのでガチャッとドアを開けて中に入るとダブルベッドが二つ…大丈夫、俺は一人部屋だからね、受付のおばさんに言われたし…。
『くれぐれも変な気は起こしちゃだめよ』
『起きませんよ…』
何てツッコミも入れたしな、起こしたらその場でリンチされる。
「さてと、俺の送った荷物は…あった」
俺がここに来る前に荷物を詰めて送ったキャリーバッグがあった。
中を開くとゲーム機セット、生活必需品、普段着や下着、パソコン、本、キッチン用品、竹刀や弓など…そして
「…」
割れた家族写真と一緒に俺の首にかけてある世界で一つだけのネックレスを机の上にコトっと置いた。
映っているのは俺の家族…いや元って言った方がいいか、この写真に写っている俺は当時8歳で普通に過ごしていたはずなんだが母さんと父さんが他界。
俺の父の名前は『九条 克樹』、母の名前は『九条 夏樹』、この二人が本来のギアを作った救世主だ。
政府共とかマスコミは俺の父の名前を出さなかった事に関しては大変ご立腹だ、お陰様でこんな世の中だぜ?変わらなかったかもしれないけど。
…二人とも実験の影響により今はこの世にはいない。いい親だった、今思うともう少し親孝行してやりたかったと後悔している。
ちなみにこのネックレスは母と父が俺の為だけに作ってくれた特注品だ、形見であり俺の大切なもの。
今は母さんの親の所に住んでいるが、こうなるとお爺さんとお婆さんに会いに行くのもしばらく先になりそうだ。
「よっと…ふぅ」
本日何度目か分からないため息をつきながらベッドに座り込んだ。
俺は…この学校生活を普通に送れるのだろうか。
それから気を紛らわす為にある程度部屋の整理をしているとコンコンと扉が鳴った。
「はーい?」
扉の元まで行きドアを開けると
「あ、九条君さっきぶりですね」
「柊木先生?」
すると扉の先には意外にも柊木先生が居た。
「どうかしましたか?」
「いえ、少々お話があるのですが中に入ってもいいですか?」
「構いませんが、どうぞ」
とりあえず柊木先生を中に入れ席に座らせて俺はお茶を出し、向かい側に座った。
「お茶です、どうぞ」
「わざわざすみません…それとお部屋綺麗ですね」
「入ったばっかりですがありがとうございます、それでお話とは?」
「ちょっと待ってくださいね…はい、こちらを」
そう言われ封筒を渡された
「これは?」
「実は九条君の『専用アーマー・ギア』の製作が決定しました!その許可証です」
「…へ?」
『専用アーマー・ギア』
文字通りその人専用のアーマーギア、専用機や専用AGともいう。
アーマー・ギアはインフィニティ・ギアを使用するため本来は国の許諾などが必要な代物なのだが…何故俺に?
「えっと、何故俺に?」
「理由はやはり特例ですからね、男性の中で唯一ギアの活性化が出来ますし世界各国からの研究所からの要望らしいですよ」
「は、はぁ」
世界各国とかいう規模を感じ喜ぶべきなのか悲しむべきなのか分からなくなる。
「それでそのアーマーギアはいつ頃に?」
「もうすぐですね、あと3日くらいでしょうか」
思ったよりも早かった、じゃあもうすぐなのか…楽しみだな。
「私からは以上ですが九条君からは何かありますか?」
「そのAGのデータとかってありますか?」
「あ、説明不足でしたね…今回制作されているアーマーギアの性能や名前など様々な事が書かれているデータです」
そういわれて俺のパソコンにデータが送られてくる。
今の時代じゃモニターはほぼない、あるっちゃあるけどね。んでこれがデータの全てか…
「ありがとうございます、後で確認します」
「大丈夫です、他にありますか?」
「とくにはありません」
「ではまた明日です。明日は授業と身体計測があるので遅刻しないでくださいね」
「分かりました」
「では失礼します」
そう言って柊木先生は部屋から退出し、その後すぐにデータを開くと投影化を使い見取り図が3Dで浮かび上がった
このシステムいいよね、見やすいし分かりやすい
「九条春斗専用アーマーギア『黒鉄』…」
黒鉄…汎用型訓練アーマーギア黒金を元とした次世代機体。
搭乗者が男性の為研究も兼ねて通常にはない機能を実装?
「このアーマーギアは搭乗者に合わせた形に進化する…?」
『戦闘効率強化AI』というシステムが搭載されているようだ。
一緒にデータとしてあった黒金のデータと見比べると黒鉄の方が色々と欠如している。
足に着いているスラスタージェットや腰などに着く飛行機能がないなど何かしら足りない、だがどうやらこの機体は俺と一緒に成長し完成するようだ。
普通とは違う新しい機体か…
「明日から頑張ろう」
作成者は日本特別研究機関とアーマーギア開発研究機関...だけどこの黒塗りで見えないやつは何だ?
まぁいいや後で個人的に感謝のメールを送っておこう。
とりあえずは完成を待ちつつ普通に学校生活を送るか…
「普通には送れないだろうけどねぇ…」
ビジョンシステムの電源を切りベッドにもう一度飛び込んだ。
俺はこれからの学校生活をまともに過ごせるのかという心配をしているうちに今日の緊張がほぐれたのかゆっくりと瞼を閉じてそのまま眠った…
誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします
感想も待っていますので気軽にどうぞ!
超絶不定期更新ですがご了承ください…