第106話 赫蝶の力
「な、何故椿から通信が!?」
「そうだよ!椿さんは春斗が居ないと行けないはずなのに…!」
流れている屋上を写す映像には見たこともない機体に身を包み、椿が一人でエネルギーをチャージしている。その周囲には春斗の姿はない。
「お姉ちゃん!!」
映像を見た妹である青葉が声を上げる。
『青葉…』
「どうして…?赫蝶は」
『春斗のお陰。この世の全ての赫蝶を集め切り、私を復活させてくれたの』
「!!」
「春斗が?」
『それとIGD学園の皆様、お久しぶりです』
と小さく微笑む椿。
「ちょ、ちょっと待って…単騎であの砲撃は」
数値や相手の出力を見たからこそ、椿がしようとしている事を水津は止めようとしたが。
『水津さん』
「は、はい…」
『お任せください。私の相棒はそんな無理難題を正面からぶっ壊してきました。相棒に出来て私にできないことはありませんよ』
椿は静止しなかった。
相棒に出来て私にできないことはないということを掲げて。
『それに春斗の影響か赫蝶がエネルギーに満ち溢れています。尚更私に任せてください』
「…行けるのか?椿」
『はい』
御影先生の問いにもほぼ即答で答える椿。
「九条の相棒を名乗るのなら相応の無茶を叶えることになるぞ」
『重々承知ですし、どれだけ春斗の無茶を見てきていると思っていますか?それに、そうそういませんよ。面識のない怪物を受け入れ、体内に宿し、私の為にタービュランスに入り、自分の身体を犠牲にして友人を守り、更には命落としてまで私の妹を救おうとするなんて』
「それもそうか」
今までしてきた春斗の無謀やらなんやらを一番支えてきたのはこの椿。
誰よりも春斗の近くにいて、春斗を助ける相棒にとってはこんな問題は朝飯前。
それに。
『行ってこい!椿ッ!!』
相棒は椿の背を押した。
かつて守れなかった妹の為に。
(春斗、この戦いが終わったら恩を返させてくださいね?)
頭の中で一度春斗に感謝しつつ、空を見上げる椿。
恩を返す為にも、守るためにもまずはあの障壁を粉砕する必要があった。
世界を滅ぼさんとする脅威の兵器を。
『つ、椿さん!上空にエネルギーが集中し放たれようとしています!』
柊木先生から水津へ通信が入る。
「大丈夫です、お任せください」
椿はそう言い残し、通信を無理やり切った。
もうすぐ攻撃が来ると目視で分かるくらい、エネルギーが集約していっている。
だがそれは椿もだった。
赫蝶を体内から一定の量を放ち、地面に突き刺さる魔剣に集中させていく。
「害を排除する」
そしてキャッスルの砲身からエネルギーが放たれた。
一点に集中させられた極太のレーザーがIGD学園目掛けて。
――…ヵァァァァァアアアンッ!!!
レーザーがIGD学園のバリアに着弾する。
そこでレーザーは止まるが、バリアにヒビが入っていく。
それを見た椿は両手に握られたチャージされているエネルギーライフル『ディザスター』と10連ビットをレーザーに向ける。
(狙いは…バリアが割れた瞬間!)
レーザーが徐々にバリアにヒビを入れて行く。
やがてそのヒビは周囲へと広がっていき。
――バリィン!!
バリアを突き破った。
と同時に。
「専用アビリティ解放…存在ッ!!」
ディザスターの先端に一気にエネルギーが集約し…放たれる。
――カァァァァァァァンッ!!!
キャッスルから放たれる同等のエネルギーがディザスターから放たれ、緑色のレーザーがバリアの外へ追いやられ、途中で止まりお互いにぶつかり合う。
「ッ…これを春斗は耐えてきたんですね…!!」
お互いに一歩も譲らないぶつかり合い。
いつも春斗はこれに耐えてきたのだと椿は思う。
(…もう少し)
すると、椿の方のレーザーの出力が落ち始め、赤いレーザーが後退し始める。
出力やチャージ不足なのかと映像を見ていた専用機持ちたちや教員は思ったが一人だけ違う。
(お姉ちゃん…何か考えがあるんだ)
椿の様子を見てひとりだけ気が付いていた。
何か策があると。
緑色のレーザーがバリアを再度貫通して来たところで
「…今!」
椿はディザスターのレーザーを切り、横に投げ捨てたと同時に赫蝶を纏わせた魔剣を地面から引き抜き、握りしめる。
「ふぅっ…!!」
魔剣の刃に集約していく赫蝶、そして…!!
「灰燼に帰せッ!!」
魔剣をエネルギー目掛けて振り上げる。
集約したエネルギーを纏った魔剣から放たれた赤黒い斬撃波は緑色のレーザーを真っ二つに切り裂きながら飛んでいく。
斬撃波は留まるところ知らず、レーザーを切り裂きながら上へ上へと飛んでいき、やがて。
――キィィィィン…!
キャッスルを貫き。
――ドォォォォォン!!
砲身とキャッスルを縦に切り裂いた。
「え、えぇぇぇぇぇ…!!?」
「嘘!?」
とんでもない映像が全員に送られる。
レーザーを消し去り、IGD学園を守り切ったこともそうだがそれ以上に一撃の斬撃波でキャッスルも縦に切り裂いた。
それはもう綺麗に真っ二つ。
「む、無茶苦茶すぎる…!?」
「アレを春斗君は振るっていたのね…」
水津のミストバスターが完成した時に襲撃してきたハリケーン相手に放った魔剣を思い出す各々。あんな斬撃を放つ魔剣を生身で振り回したりしたらそりゃ右腕から血も噴き出すと理解したと同時にそれを耐えきり振るっていた春斗のヤバさも知った。
(あ、あんな無理難題を叶えていたのか春斗は…!?)
(は、春斗さんはあのような人間離れした力を使いながら、耐えていましたの…!?)
(前も思ったけど色々な意味で春斗は凄いなぁ…)
(ふむ…この戦いが終わったら本格的に春斗を私の軍に入れられないかと交渉してみよう。ついでに…婿としても)
(強すぎ…)
(これにはお姉さんも驚愕ね。私以上に覚悟が決まりすぎてる…いい所なんだけどね)
(私が春斗に剣の扱い方を受けたほうがいい気がしてきた…)
反応は各々。
「ふぅ…」
魔剣をAG内にしまう椿。
「春斗は赫蝶で作られた魔剣を使用していたんですよね…」
今のティターニアは魔剣自体がAGの専用武装となっている為、赫蝶で出来ているわけではない。どちらかというと春斗の魔剣に比べたらティターニアの魔剣の方が威力は高いがそれ以上の問題が、それをほぼ生身で耐えていた春斗。
(彼、ヤバすぎませんか…!?)
ここにも驚愕している人が一人。
全身に赫蝶を纏わせる前はこの威力に耐えていたという春斗。
(…。)
空を見上げる椿はふと、こう思った。
(戦いが終わったら春斗は二ヶ月くらいベッドに拘束しましょう、本当にまた無茶しかねません。)
誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします
感想も待っていますので気軽にどうぞ!
超絶不定期更新ですがご了承ください…




