第三十六話「現在と過去」
急いで険しい山道を下り小味とカリマはクラクス村へとたどり着いた。
まだ、山の頂上で見た建物火災の消火、住民たちの泣き叫ぶ声は続いていた。。
「私たちも手伝います…!」
小味は消火活動してる住民に声をかけた。
「頼む、だが人間の力では鎮火までいきそうにない。どうにかならないものか」
「こういう時に氷か水が出せるドラゴンがいてくれたらいいんだけどな」
周囲の住民たちはそう会話していた。
カリマもそう思ったがそういうドラゴンは世の中探してもいないのだ。
ドラゴン全員炎を吐くのみ。
何とかして力になれないものかとカリマは黙って消火活動を見続けてると空から雪が降ってきた。
だが、今まで降ってる雪ではない。
消火活動を行ってる所だけ雪の量が多いのだ。
幸運の恵みだと思ってみんなは空を見上げた。
するとそこには白いドラゴンが上空でくるくると旋回しながら雪を降らしていたのだ。
「あれは」
「白ドラゴン様じゃ、なんと運の良い恵」
おばあさんも子供たちも村の住民は白いドラゴンを称えた。
「あのドラゴンはこんな力も持っていたんだな」
カリマは先程の白いドラゴンを思って見つめた。
「この雪の量だとあと数時間で火災も鎮火するだろう」
「良かったね、カリマちゃん」
「ああ、だが、この前のドラゴンたちが気になる。これから何事も起きなければいいが」
その頃、先程のドラゴン3頭は白いドラゴンもいなくなった山頂で電磁波と触れていた。
名前は長男リンド、次男グレ、三男ブルである。
長男であるリンドは電磁波が集まってる所にある物を見つけた。
それを少し離れていた所で見ていたグレとブルは心配そうに見つめる。
「リンド、いくら白いドラゴンが憎いからって巣を壊すのはいかんだろ」
「何を言ってる、お前たち忘れたのか。俺達3兄弟があの日受けた行いを」
次男であるグレと三男であるブルはあまり白いドラゴンに恨みを持っていなかった。
2頭だけ平和を望んでいるのだが、リンドだけ荒くれ者で、更に悪いことしか思いつかないよくないドラゴンであった。
3兄弟は昔、白いドラゴンにこう受けていた。
それは白いドラゴンの旦那もいた。
「ここは俺たちのナワバリだ、いくら白いドラゴン達が入ってきても容赦はしないぞ」
「先に謝り申す、私達は荒らすために来たのではない。君たち3兄弟の安全のことを考えて通してもらいたいだけなのだ」
白いドラゴンの旦那はしぶしぶと頭を下げていた。
「安全ってそんなにここは良くないのですか?」
三男であるブルは丁寧に聞いた。
リンドとグレと違ってブルはとても繊細で真面目なのだ。
「うむ、少し悪いエネルギーが満ちていてな、そこを除去しないと君たちの生命に関わることなんだ」
「それならリンドにぃ、通そうよ。いくらナワバリって言ったって悪い所では住めないだろ」
「お前はいつまで甘い考えを持っているのだ、そんな悪いエネルギーなんてあるはずないだろ」
「しかし」
「じゃあ白いドラゴンのあんたがここが悪い場所だと証明してみせろよ。どのように被害が出るのか見せてくれ」
「そんなこと言っちゃダメだよ、ドラゴン全員はみんな仲良くに…」
「ブル!!うるさい」
ブルの発言にリンドはイライラした。
「…分かった、私達が証拠を見せればいいのだな」
「ぉうよ」
そうリンドから返答をもらうと、白いドラゴンは真っすぐ歩き続けた。
「おい、どこに」
どこに行くんだと言おうとしたがその言葉を白いドラゴンは失わせた。
そう、少し歩いた先に立ち止まり白いドラゴンは自分の手で空間を切り開いた。
「…っく、ここは少々手強い」
白いドラゴンは手で空間を切り広げるととても辛そうな表情をしていた。
そして、その空間は白いドラゴンの手を傷つけていった。
空間を切り広げるうちに手の傷は大きく広がっていく。
「お前、何をしてるんだ」
「証拠を見せろと言ったであろう?そこはまだ安全だが、ここはもう悪い環境になっている。この空間はこうして切り広げれば傷つけていくと分かるが私のように力がないとみるみる蝕んでいき生命を奪われていくのだ」
「ねぇ、リンドにぃ分かっただろ?このドラゴンの言うことを聞こうよ」
「……っ、信じない」
「え」
「俺はそんなもの信じない」
そういうとリンドは白いドラゴンを放っておきブルとグレを連れその場を離れた。
残された白いドラゴンは手で空間を切り広げるのを止め安全な地帯へ少し移動し三兄弟たちの後ろ姿を見つめた。
「あのままではあの兄弟は倒れることになる」
白いドラゴンは呟くと三兄弟たちの姿が見えなくなるまで見つめていたのであった。
お久しぶりです。
三兄弟のお話を考えて書いてたのですが難しいですね。
あまり内容を難しくしていくと私のほうもこんがらがってしまうのでこのような形となりました。
ですが次話も少し三兄弟の過去の話となりそうです。
早くカリマと小味の話が書きたい!笑
それでは。




