第三話「旅の途中」
「うわードラゴンだ。逃げろー」
小味とカリマが一緒に歩いてると見かける人達は逃げていく。
「やつぱり私と旅じゃ無理があるんじゃないか?」
「大丈夫だよ、ほら行くよ」
ただひたすら歩く。
「ねぇ、カリマちゃん」
「なんだ?」
「ドラゴンって飛べないの?」
小味は当たり前の質問をした。
飛んで空を行けば簡単と思ったのであろう。
「飛べるぞ。だが」
「だが、何?」
「飛ぶと厄介なのだ」
「厄介って?」
「私たちドラゴンは空を飛んで生活している。そこに私たちが飛んで旅をしていたらどうなると思う?」
「うーん、変に思われる?」
「人間嫌いのドラゴンが人間を乗せて空を飛んでたらおかしいだろ」
「確かに。ん?カリマちゃん人間嫌いなの?」
「大嫌いだ。特にあのドラゴンに対しての攻撃性と防御性、そして、悪知恵と言ったらムカついて滅ぼしたくなる」
「ふーん。ねぇ、私のことも嫌い?」
小味は綺麗な目で自分は害はないというオーラを送った。
「き、ま、まだ分からん。お前とは会ったばかりだからな」
「カリマちゃん」
「なんだ?」
「お前っていうの禁止。名前で呼んで」
人間に命令させられカリマはしぶしぶ言った。
「こ、小味」
「よろしい。それで思ったんだけど、私達どこへ向かってるんだっけ?」
「なっ、理解してて歩いてたんじゃないのか」
「分からないよ。だってこっちの世界に来たの昨日のことだし」
「お前…小味ってやつは。私がのこのこ付いてきたのが間違いだった」
「何か言った?」
「何でもない。まったく。次通りかかった人に聞けばいいだろ」
「でも、みんな逃げてくし」
やれやれとカリマは頭を左右に振る。
「私はここにいるから小味は先に一人で歩いて聞けばいいだろ。離れてれば一緒だって気付かれまい」
「なるほど。じゃあここで待っててね。この先にある街のこと聞いてくるから」
そう言って、小味は一人で先に歩いて行った。
カリマはこれから先のことを少し思いやられると感じていたのであった。