第二十五話「悪い男性と女性」
「グィーグィー」
小味の横にいた子ドラゴンは痛そうに鳴いた。
「小娘、その子ドラゴンはどうしたんだ?先程も怪我をしていたようだが?」
「それが急に脇道から出てきて保護してた時から怪我を」
小味は子ドラゴンの背中を撫でた。
「うーむ。これは偵察部隊を送るしかあるまい」
そう言うと黒いドラゴンはお腹の底から大きい声を出した。
「グォォォォ!」
その声は広い湖内の壁から壁へ響き渡った。
「キィーキィー!」
聞き覚えのある声が聞こえ小味は周囲を見渡す。
「キィーキィー」
それはまさしくピロであった。
ピロは中央の上空間から出てきて、黒いドラゴンの近くに降り立つ。
「あのドラゴンはピロちゃん」
「小娘、ピロを知っているのか?」
「私たちが困っているところを助けてくれたんです。でも、悪い女の人からこの地下に落とされてしまって、ピロちゃんとはそれきりで」
「なるほど、どうやら人間が関わってるかもしれないな。ピロよ、急いで頼むぞ」
ピロはその場から飛び立ち、小味たちの視界から消えた。
その頃、悪い男性たちはとある空間で作業をしていた。
時折、子ドラゴンたちの泣き叫ぶ声が聞こえる。
「へっへっへ、このおかげで俺たちはお金持ちだ。子ドラゴンたちに感謝しないとな」
男性は子ドラゴンを壁に押さえつけ何処にも逃げないように固定していた。
そして、固定した子ドラゴン達から少し離れ銃で狙いを定める。
「あの黒いドラゴンは忘れないように注射を打ってるらしいが、まさか俺たちがその後に記憶を消してるとは思えまい」
その後ピュンと銃から弾を発射させると先程固定した子ドラゴンたちのギリギリの真横に着弾した。
「クワークワー!」
「あんた、銃で精神的ショックで記憶を消してるみたいだけど、そればかりは無理があると思うよ」
少し離れたところで女性はそう言った。
「なあに、お前が追加で鱗を削ってるんだろ。そのおかげで俺は街の店主でがっぽがっぽ大儲けだ」
「いつまで続くかね、その威勢は」
「文句言ってないでどんどん作業を進める。下手したらお前だって容赦しないぞ」
「分かったよ」
会話が終わると男性は銃で女性はナイフで子ドラゴンを傷つけた。
気が付いた時にはピロは偵察を終えていた。
「キィーキィー」
バサバサと翼を羽ばたかせ、ピロは黒いドラゴンの横に着地しようとする。
「それでピロよ、悪い奴らはいたか?」
「キィーキィー!」
その声が聞き終えると、黒いドラゴンは怒りに満ちていった。
何とか女性も男性も登場させピロも登場させました。
あとは二十一話の最初のほうでゼロと会話したドラゴンのみですね
これからは黒いドラゴンの怒りがどうなるのか、頑張りどころです。
それでは。




