第二十話「竜校」
「ちょっ、ちょっ、きゃああああ」
「小味っ!」
カリマは自分より先に落下していく小味を掴んだ。
「大丈夫か?」
「う、うん。それよりここは一体」
「分からない。ただ下に落ちたのだから地下ってことには違いないな」
上に飛べばさっき落ちていった穴から地上へと戻れると思ったが左目がまだ痛むのでカリマは自分の体調を優先した。
「戻るには厳しそうだね。とりあえず先に進んでみようか」
小味はそういうと、目の前の道を歩いた。
とても薄暗く自分とカリマの足音しか聞こえない。
時折遠くて水が滴る音が聞こえるがあまり気にしないで歩く。
狭い道もあるがそれほど窮屈ではなくカリマのドラゴンの姿でも通れていた。
「出口があればいいんだけど」
「多分何とかなるだろ、時折懐かしい匂いもするし」
「懐かしい匂いってどんな匂い?」
「分からん、ただ、今の匂いとは別な感じだ」
「カリマちゃん分かりやすいように説明してよ」
「ごめん、でも、この先で合ってるみたいだ」
希望を抱いていいのだろうか。
期待してるカリマだが、横では小味は不安がっていた。
それからしばらく歩き、何やら奇妙な物を見つけた。
布らしい物が目の前にありのれんのようになっていた。
どこかの出口かと思い小味はのれんの隙間から手でめくった。
「綺麗」
のれんを手でめくるとそこには広い空間の中央に噴水があった。
「ここは何だ? 噴水しかないし」
カリマはキョロキョロと辺りを見渡す。
家やお店らしい物もなくさっきまで懐かしいと感じていた匂いも消えていた。
「用心するんだぞ、私たちを地下へ落としたあの仲間がいるかもしれないし」
「うん」
カリマと小味は気を付けながら前へ前へと歩き進める。
徐々に進んでいくと遠くで見えていた噴水の前に立ち止まった。
「ここは」
何か気づいたのかカリマは何かを思い出そうとしていた。
「どうしたの?カリマちゃん」
「いや、何か頭に引っかかるものが」
「大丈夫?まだ左目の怪我も治ってないしここで休んだほうが」
「平気だ、それよりまた懐かしい匂いがしてきたぞ」
カリマは辺りを見渡す。
すると、ピロよりもっと小さいドラゴンが歩いていた。
ドラゴンの子供だ。
「あれは」
「可愛いね。ねぇ、ここはどこなのか聞いてみようよ」
小味はそういうと子供のドラゴンに近づいた。
「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど」
「ぷあー」
「ここはどこなの?」
「ぷあーぷぷあー」
どうやら喋れないらしい。
どうしようか困っているとカリマは小味に言った。
「やめておけ。ここは竜校だ」
「竜校?」
「ドラゴンの子供たちを教育するところだ」
「なるほど、カリマちゃん今まで何で教えてくれなかったの?」
「今まで思い出せなかったんだ。なにせ地上にいるドラゴンは竜校を卒業する時に記憶を消されている」
「どうしてそんなことを」
「分からん。ただその答えを知る時が今きたようだ」
カリマと小味は子供のドラゴンと離れただひたすら歩いた。
この地下での拠点となる場所へ。
1話の頃はバリバリにネタや物語が浮かんだのに今ではあまり思いつかなくなりました。
それでも雰囲気だけは忘れてないのでこれだけでも良いほうなのかなと考えたり。
昔の頃に戻れるようにもっと頭を鍛えないとダメですね。
それでは。




