第二話「コンビ」
ドラゴンは小味を睨みつけている。
「ど、ドラゴン!?どうして」
目の前にいる人間を殺そうとドラゴンは大きく口を開いた。
「ちょっと待ったー」
驚いてドラゴンは炎を出そうとした口を閉じたが、小味に話しかけた。
「人間、どうして私を押さえる。お前は私に殺られる身なのだぞ」
「それは分かってる。ただあなたと旅をしたいと思って!!」
旅という言葉にドラゴンは更に驚いていた。
「旅、だと!?」
「そう」
「どうして私と旅を?普通は思いつかないぞ」
「確かに。でも私はあなたと旅をしたいと思った。それだけよ」
「うーむ」
ドラゴンは考えた。
「お前、私と旅をして何か得することはあるか?」
「え」
「街に行っても私がドラゴンだから人間たちは逃げるだけだぞ。それでもお前は旅をしたいというのか?」
「そ、それは」
小味は当たり前のことを言われ、納得していた。
だが、一歩も下がらない。
「私はあなたがいいドラゴンだって証明してみせる」
「どこがいいドラゴンなのだ?私はこの街を滅ぼそうとしていたのだぞ」
「じゃあ何で私をすぐに始末しなかったの?」
「それは」
ドラゴンは口ごもった。
「普通なら私の話を聞かずにすぐに始末するよね。だけどあなたは始末しなかった。それはあなたにいい心を持ってるということ」
「なっ、わ、私はドラゴンで」
「ドラゴンでもいいじゃん。私と一緒に旅をしよ?」
「うっ……どうなっても知らないぞ」
「よろしくね。私は上神小味。あなたは?」
「カリマだ」
「よろしく、カリマちゃん」
こうしてドラゴンであるカリマと小味の旅が始まった。