【】ぴ っ つ ぁ【】
『ミオファの森』
「本当に、×××が現れたのか?ハト公」
「ああ……。マチンたちが戦闘を繰り広げた痕跡が、そこら中に残っているだろう」
「一体全体、何体いるんだよ、初見使徒ってのはよ。そのうち十三体超えるんじゃね?」
「それもまた、時空の歪み」
「正気かよ……」
「ミオしゃー」
「ミオしゃー」
「うわ、なんだこいつら」
「森のドルイドたちだ」
「なにしてんだ……?」
「小さな祠に向かって、礼拝をしているようだな」
「おいおい、嘘だろ」
「祀ってあるのあれ、ソーセージだよな?」
「私たちの認識が歪んでいなければ、ソーセージだな……」
「ミオしゃー」
「ミオしゃー」
「こいつらは、元からそういう趣味なのか?」
「いいや、ドルイドたちのこんな行動は初めて見た」
「これは恐らく……。教団の仕業だ」
「マジか」
「幹部に、藤井という男がいるだろう。彼のメン限秘技は、あらゆる対象に神格を付与する」
「神格だァ?」
「つまり、そこはかとなく崇拝したくなるということだ」
「てぇてぇ感覚、ってやつか……」
「で、あのソーセージにも神格が付与されていると」
「目的は不明だが、そういうことだろうな」
「ミオしゃー」
「ミオしゃー」
「しゃららら〜ん、しゃららら〜ん」
「ん……?」
「黒上、もんざえもん様の復活に必要なものは、全て取り返したのだろう?」
「らしいな。肝心なビーチクも、ういパパが制圧に成功した」
「YAGOO、無事だったのか」
「後は、空白のBL本を……」
『ご報告!!ご報告!!』
「うおッ!!なんだよ、急に出てくんなよ」
「ご報告烏か」
「なんのご報告だ……?」
『ホロアース内にて、BAN対象が発生した次第!!』
「なッ」
「なんだと」
『BAN執行は二十四時間後!!BAN執行は二十四時間後!!』
『バサバサバサバサァ……(ご報告烏が飛び立つ音)』
「これがガチなら、×××以来のBANだぞ」
「しかも、何故悪おじが」
「私にも、てんで見当がつかないねぇ……」
「悪おじ」
「どうしたお前、そんなにボロボロになって」
「つーか、BAN要件に該当したって、ナニやらかしたんだよ」
「それは、私たちから説明しましょう」
「あァ?」
「随分と、早い再登場だな……」
「実行委員長」
「そしてこちらが、凛さんです」
「宜しくどうぞ」
「五月蝿凛局長……。BANオーラ規制局のトップか」
「てめェらか?悪おじを罠にハメたのは」
「罠とは、人聞きの悪い……。それは誤解ですよ」
「我々BANオーラ規制局は、限りある地球資源であるBANオーラを後世に繋いでいくことが目的です」
「故に、赫の世代にとって共有財産であるBANオーラを矢鱈と浪費することは、許されざる行為」
「要するに、行き過ぎた配信を取り締まろうということです」
「なんだって?」
「配信基準監督官、ということか……」
「察しが良くて助かります」
「私としては、自制してる方なんだけどねぇ」
「悪おじより配信してる奴なんざザラにいるだろ。ココロはどうした、ココロは」
「AIなので、ギリセーフ」
「判定ガバガバで草」
「わざわざ悪おじを執行するのは、スケープゴートか……!!」
「こうした改革には、てぇてぇ犠牲が必要なものなんですよ」
「悪おじは、羊なんだけどねぇ」
「BAN獄への執行官……。ゲーム部には逆らわないことです」
「貴方たちまで纏めて、連行されてしまいますから」
「どうする、黒上」
「どうもこうもねェよ……。こいつらがBAN要件を勝手にイジってるなら、こいつらをボコして正せばいいだけだろ」
「やれやれ……。ここで、私たちと一戦を交えようと?」
「実行委員長」
「ええ。気づいていますよ、凛さん」
「空中に、巨大なBANオーラ……!?」
「ハト公!!」
「理解っている」
『ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!(なにか途轍もない塊が地上に落下する音)』
「凄まじい衝撃ッ」
「こ、これは」
『ウホ?(ああん?)』
『ウホ、ウホホウホ、ウホ(わざわざ呼ばれて来てみりゃ、レジスタンスとSSSのリーダーが仲良くお出迎えとは、どういう了見だ)』
「あの毛並みは」
「面倒臭ェのが、また一匹……」
「ジャストタイミングですよ、デローンさん」
『ウホホウ、ウホ……(獣人族を、傭兵みたいに使うんじゃねえよ……)』
「これは、まずい展開だねぇ」
「ゴリ公。レジスタンスを裏切るつもりか?」
『ウホ(黒上)』
『ウホホ、ウホ、ウホホウ(そもそも、こいつらとは長い付き合いでな。お前が手を出すなら、俺も黙っちゃいないってだけさ)』
「クソだりィな……。誰だよ、SSSだのレジスタンスだの言い出した奴は」
「お前だ、黒上」
「このままだと私は、×××の元に……」
「もちつけ、悪おじ」
「まだ、手はある」
「狐の掌印ッ」
『ウホ、ウホホウ(やはり、実力行使か)』
「いや、これは」
「キングワールド……。じゃない」
『ずにゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!(時空が歪む音)』
「なんだ……?」
『ウホ、ウホッホ(この、妙な感覚は)』
「凛さん、時刻を確認してください」
「時間の進みが、遅い」
「まさかっ」
「バカタレ時空」
「俺の領域で、一日を七十二時間に拡張した」
「つまり……」
「一日二十四時間配信しても、ギリセーフだ」