【】あ げ ぱ ん【】
『王宮 拷問部屋』
「彼が、YAGOOのメン限秘技を奪ったという獣人族かい?ココJr.」
「ああ……。捕縛するのを手伝ってくれて助かったよ、悪おじ。そしてベリアル」
「はっはァ!!困った時はお互い様さ、ファミリー」
「むぅ?ここに、ジャンプパッドだッ」
「ないから」
「ナカタソ、この者は何者なのだ?」
「僕も詳しくは知らないよ、ンナータ……。ベリアルの方が知ってるだろう?」
「獣人族というくらいだから、悪おじの方が知っているだろう」
「特に、面識はないねぇ」
「ならば、これから吐かせるまでだ」
「ルーナイト」
「御意」
「待て待て待て待て!!御意らないでっ」
「地下でおっさんを襲ったのは悪かったよ……。でも、マジで記憶がないんだ。申し訳ないけど」
「Jr.に重傷を負わせているのにかい?」
「なんか、ドラゴン族の輩に絡まれたところまでは覚えてるんだけどさ」
「YAGOOが絡まれているところを、割って入っただけだが……」
「そもそも、なんで王宮にこんな物騒な場所があるんだよ」
「悪人たちを懲らしめる為だ」
「それは、もっと違う連中の仕事なのでは……?」
「ならば、ンナータの趣味だ」
「職権濫用だッ」
「王族にそういうの関係ないから……。王族だし」
「まあ、王族だしな」
「ともあれ、あの事務所はもんざえもんの復活には欠かせないもの。さっさとYAGOOにメン限秘技を返せ、ライオン族の兄ちゃん」
「ルルド♂だ……。自分の名前を忘れる程は、酔っちゃいねえよ」
「ルルド♂って、確か」
「レジスタンスの隠し球……。ていうか、この前ベリアルと話してたじゃないか」
「いいや、あの時いたのはルルド♀だ」
「ルルド♀……!?」
「色味が若干違うだけだから、見分けにくいんだよ」
「関東限定でゲットできるのがルルド♂で、関西限定がルルド♀」
「卵を産ませるには、わざわざ旅行しなきゃいけないのか……」
「それか、オンラインで通信交換だな」
「なんの話だこれ」
「僕も、どこかで見た覚えがあると思ったら、ルルド♀の方だったか」
「それはおかしい。ナカタソは関西じゃなく、さいたま出身の筈だぞ」
「天界だよ」
「じゃあ、関西の友達がいたんだろ」
「それはおかしい。ナカタソに友達はいない」
「天界にいた頃はいたよッ」
「追放されたけどな……。大天使に」
「スーパーズッ友条約が締結され、世の中はホロサマ一色だ」
「SSSとの決戦に備え、お前もレジスタンスに呼び出されたんじゃないのか?」
「あー……?知らねェよ、そんなとこは。そもそも、レジスタンスっつーのも勝手なレッテルだろうが」
「黒上の一味ではないのか?」
「黒上ね……。あいつは確かに、叛徒たちのリーダー」
「だが、本当に権威が倒れたら逆賊たちも息できない。皮肉なことにな」
「ふむ?」
「それは一体、どういうことだ」
「SSSとレジスタンス……。それそのものが、壮大な茶番だとでも言うのかい」
「なんだって……!?」
「互いに、小芝居を演じ合っていると」
「さあな。マジだと思えばマジだし、冗句だと思えば、冗句だ」
「オセロみたいなもんさ。土壇場で、白も黒も簡単にひっくり返る。それは、黒上が一番よく知ってんだろ」
「ベリアル……。第一次ホロサマは結局、どんな風に決着したんだい?」
「現実的な着地点は、引き分けってところだろうな。天使族は滅び、魔族は封印された」
「若干、魔族に分がある気もするが」
「まあ、そもそも圧倒的に魔族の数が多いんだから、結果的にトントンでは」
「その判断を下したのって」
「戌亥一族だ」
「御三家の一つ……。そして、互いに御三家である星街一族と神岡一族に、異例中の異例である縁談が持ち上がった」
「しかも、第二次ホロサマが現実味を帯びてきたこのタイミングで、だ」
「これらはすべて、偶然なのか……?」
「まどろっこしい」
「王族が生き残りさえすれば、なにも問題はないだろう」
「それは、そう」
「一理ある」
「一理あるのか……!?」
「まあ、王族だし」
「王族だからねぇ」
「だが、スーパーズッ友条約の内容を知っているだろう?」
「王族はあくまで権威の象徴であり、王宮の意思決定には関与しない……」
「そして、国家元首である虎畑ロペスは」
「日系名誉野兎だ」
「……」
「……」
「……」
「なになに。どうしたのさ、みんな」
「ナカタソ。ルルド♂は取り敢えず、お前が監視しといてくれ」
「なんで僕!?」
「キセキ結びだよ……。BANオーラを譲渡するメン限秘技」
「赫の世代に属する他の背信者が一人残らず息絶えるまで、タソが倒れることはない」
「いやそれ、僕がボコられる前提じゃん」
「ドドド因子に導かれた者たちは、いずれ殺し合う運命にある……」
「幸せ同調圧力による縛りからは、誰も逃れられない」
「揺り籠から墓場までのテンプレート……。それ即ち」
「ああ」
「それこそが、歴史は繰り返すゲーミング」
「第一次ホロサマにおいて、魔族と天使族が相打ちに終わったとするのならば、第二次ホロサマでは……」
「最悪の場合、全種族そのものが爆発する」