【】ち ん す こ【】
『ギャングタウン 不夜城(外)』
「ってことで、ここにDXどうのつるぎを持ってきたぞ」
「黒上」
「メン限秘技常中を体得した人間にしか、これを引き抜くことはできない」
「チャマ……。お前のメン限秘技であるレッドハートは、発動中BANが徐々に増加していくっつー、最もシンプルな能力だ」
「逆に、常中を身につけさえすれば巨大な戦力になる。ある意味、hIPの最終兵器」
「俺が、最終兵器……」
「趣味で傭兵やってるだけのおっさんには、かっこよすぎる称号だな」
「まっちゃん」
「松本です」
「修行を、手伝ってくれるのか」
「僕は暑苦しいのは好きじゃないけど……。馬鹿と鋏は使いよう。チャマは虎の子って慣用句もあるくらいだし」
「初耳ですが」
「お前、なんだかんだ面倒見いいよな」
「なんで僕が、ガチムチなおっさんの面倒を見なきゃいけないんだよ」
「ともあれ、ここにはBANオーラ操作のスペシャリストが揃ってる。黒上もそうだが……。カーミラ」
「え?」
「BANオーラそのものを生み出した御方だろ、君は」
「それはそう」
「だけど、それを過信してはいけないよ……。松本君」
「サッカーを発明した人が、世界で一番ファンタジスタである保証はないんだから」
「こいつを当てするだけ時間の無駄だぞ、まっちゃん」
「少しは参考になることを言ってくれると思ったんだが、高望みだったか」
「まあまあ、そこまで言うなら御高説賜ろうじゃないか」
「そもそも、BANオーラとはなんのことかな?グレチャマ君」
「なんかこう、チャクラ的な」
「うん……。まあ、それで合ってる」
「合ってるんかいッ」
「オリジナリティの欠片もない」
「BANオーラとは即ち、そこはかとなくBANされそうな気配のこと」
「カーミラの零れ落ちそうなぺぇはまさしく、BAN要件に抵触するすれすれを行き来している」
「それ故に、BANパイアか」
「もう見慣れましたけどね」
「そう。基準ってのは曖昧でね……。BAN要件も常に変化し続けているのさ」
「全裸で暮らすのが当たり前な社会だったら、フルチンのおっさんも猥褻ではない」
「でも、BANオーラが行き過ぎると、×××のようにBANされちまうんだろ?」
「まあね。だけど、×××の場合はBANオーラの過多は関係ないよ」
「どういうことだ」
「そこは、俺から説明しよう」
「ムキロゼパイセンっ」
「フルチンのおっさん来ちゃ」
「チャマ。お前は、エチエチエチケットというものを知っているか」
「エチエチエチケット……!?」
「語呂が良いね」
「そうだな、例えば……。そこに全裸の人間がいたとしても、万人が万人、性的興奮を催すワケではないだろう?」
「た、確かに」
「フルチンのおっさんが言うと、説得力があるな」
「そこにエロスを見出すか否か……。この絶妙な距離感のことを、エチエチエチケットと呼ぶ」
「なるほど……?」
「セクシーな形をした大根に興奮する輩も、いないとは限りませんからね」
「だが、注意点がある」
「エチエチエチケット違反は、如何なる場合においてもBAN要件に該当するという点だ」
「それほどまでに、重大な違反行為ということか」
「ああ。×××がBAN獄へ連行されたのも、このエチエチエチケットに違反してしまったからなんだ」
「お、恐ろし過ぎる……」
「そんなんじゃ、メンバーのエロ同人を漁っているだけでも命懸けだぞッ」
「過度に心配する必要はない。男にはみな、前立腺センサーというものが備わっているからな」
「前立腺、センサー……!?」
「フルチンのおっさんが言うと、説得力があるな」
「なんでパイセンはBANされないんだよ」
「彫刻のような肉体美……。芸術はノーカンっていう雰囲気の、アレ」
「それで、前立腺センサーとは」
「どれだけ言葉で強がってみても、身体の反応には逆らえない……」
「裏を返せば、癖に刺さらないエロ同人で、エチエチエチケットの絶妙な間合いを満たすことは不可能なんだ」
「つまり……。本能の在り方に従っている限り、エチエチエチケット違反には当たらないということか」
「そういうことだ」
「チャマの奴、呑み込みが早いな」
「まあ、あの二人は師弟みたいなとこ、あるから」
「絵面に華がなさ過ぎるだろ」
「ところで、なんでこんな話してるんだっけ?」
「メン限秘技、常中……。その境地へ至る為には、各々の中に眠るエチチコンロに火をつける必要があるからだ」
「エチチコンロ……!?」
「もう、城の中に入ろうぜ」
「賛成〜」
「後は、ごゆっくり」
「エチチコンロを点火させるには、長くても短くても、硬くても柔らかくても、太くても細くても、早くても遅くてもいけない」
「好みは人それぞれ、ということか……」
「そうだ」
「そして、エチチコンロが着火した状態を、人々はこう表現する」
「心が燃えている……。とな」
「ム、ムキロゼ師匠っ」
「今夜はとことん付き合ってやる。お前のコンロに、火がつくまでな」
「立ち上がれチャマ……。心に炎を灯すんだ!!」
「うお……」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「「エチチコンロ、点火ッ!!」」
『エチチチチチチチチチチチチチッ』