【】ち ゃ っ ば【】
『つ……。月の七割が吹き飛びましたッ!!』
「三日月は王族の象徴……。素晴らしい趣向じゃなイカ」
「ところで、先日から私の召魔刀紫苑が見当たらないんだが」
「それなら、俺の懐で温めておいたぞ」
「黒江さん」
「なんで?」
「なんか、寿司臭いな……」
「シャチ族だから」
「体臭がお魚」
「哺乳類だけどな」
「なんやかんやで元帥、当分はエデンの星に帰れそうにないけど大丈夫なのか」
「全然いいよ?吾輩、地球観光したいと思ってたし」
「ノリ軽っ」
「観光気分……?」
「あれだな、老い先短いと逆にフッ軽になる現象だな」
「強力な黒魔術を使うには、この召魔刀紫苑と詠唱の呪文が欠かせない」
「船長も戦ってくれよ。TENGA五剣と魔眼を同時に所有してるのはあんただけなんだから」
「いや……。なんか、今回はなんか違うわ。俺の出番じゃない気がする」
「なんか違うってなに?」
「なんかこう、生理的な」
「マチンは、良くも悪くも四番DHだから……」
「やる時はやる男なんだが」
「メテオは三番遊撃手感ある」
「魔眼とは」
「現在確認されている魔眼の所持者は三人……。マチン船長の未来視の魔眼と、戌亥どこの過去視の魔眼」
「それから、星川の幻視の魔眼」
「天魔刀髑髏は、全盛期のもんざえもんが最も愛用した刀なんですけどね」
「後は頼んだぞ、アクターン……。俺の娘よ」
「天使族に親子とかいう概念はありませんが」
「娘よ」
「これ以上近づくと、本当に祓いますよ!?」
「これが、マチン船長のメン限秘技……」
「花譜のメン限秘技が誰からも観測されないものだとすれば、マチンは認知。誰からも親だと認知して貰えない」
「どういうこと……!?」
「悲し過ぎる」
「呪物だからな」
『ずにゅうううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
「なんだ?」
「あ……。カーミラです」
「カーミラ……!?」
「また、前線に出てきて欲しくない人が」
「ていうか、一瞬、時が止まったような……」
「あれって、アメリアの時を止める懐中時計だよな?」
「どうして、カーミラがそれを」
「要らないって言ってたから、貰った」
『ブンブン チャ』
「ドドンガ砲の二発目、くるぞ!!」
「心配要らねェぜ、ファミリー」
「こいつはドドンガ砲を通さないッ」
「マジで!?」
「マジだよ。ベリアルのTMTドームは、外側からの攻撃は全て無効化する。但し」
『ブン チャ』
「ドドンガ砲の構えを解いたぞ」
「内側に入られれば無力……。その弱点を理解しているのか?」
「まっずいッ」
『ドゴォッ!!(肉を殴る音)』
「間に合っ鷹嶺〜?」
「ルイ兄!!」
「獣王状態の獣人族が二人がかりで、一撃を防ぐのがやっとか……。長くは持たないぞ」
「分隊長っ」
「はっはァ!!助かったぜ、ファミリー」
「むぅ?向こうに、別部隊がいるぞ」
「いないいない」
「天才の本気、そろそろ魅せちゃおっかな〜」
「カーミラに、真紅の翼が……!?」
「真祖状態だ」
「いや、生き血にしては色が薄くないか?」
「違う……。あれは、アセロラジュースだ」
「カーミラの背中から、アセロラジュースが迸っているんだ!!」
「血とかそういう、グロいの無理なんで」
「戦えるのか……?」
『ブンブン チャ』
「ワンパンで沈めるのが、天才の流儀……」
「おるァ!!」
『ドッパァァァン!!(なにか物凄いBANオーラの塊が弾け飛ぶ音)』
「ド」
「ドドンガの右腕を吹き飛んだぞッ」
「いいや、あれは吹き飛んだというより」
「空間ごと、削り取ったのか……?」
「あれは、真祖である吸血鬼カーミラにのみ許された必殺技」
「その名も、赫スパチャ」
「攻撃した対象を、そのままBAN獄まで永久追放する」
「BAN獄まで……!?」
「強過ぎないか?」
「但し、使う度に貧血で倒れる」
「ばたんきゅ〜……」
「どけどけどけェ〜い!!担架で運んでくぜェ〜」
「千代男……」
「後は宜しくね〜」
「それでは、唱えようじゃなイカ……。切に響く、その言葉を」
「私のほうき……。退魔刀神楽には、天使族の恩寵を強化する効果があるらしい」
「まあ、こんなものがなくても、大天使の気高さは損なわれませんがね」
『ガシャァン!!』
「天使の足枷!?」
「ドドンガの動きが鈍ったぞ」
『ブン チャ』
「これで充分でしょう」
「五重の魔法陣……!?」
「みんな、ドドンガから離れろッ」
「讃えなさい、華やかな我がマナを」
「ブチギレ発狂パラダイス」
『ドウッッ!!(なにか物凄い量のBANオーラの塊が放出される音)』
「なんだッ」
「黒い炎!?」
「獄炎か……」
「あっちゅ!!あっちゅ!!」
「巫女様、もっと退がってっ」
『ブン……チャ……』
「弱ってるぞ」
「一時的ですよ」
「一気に畳み掛けろ!!」
「ぐらちゃんの槍……。タライデントがあれば、地球に取り憑いたぬんぬん本体にも届く筈だぞ」
「その前に、止めを刺せる段階まで弱らせないと」
「この好機を逃すなッ」
「場合によっては、いまここで……」
「待て」
「え?」
「ドドンガの様子が」
『ブン』
『チャ』
『ボゴゴォッ!!(物凄い勢いで細胞が隆起する音)』
「ドドンガの右腕が、再生した」