【】め か ー ぶ 【】
「お迎えにあがりました……。お二方」
「ぽぅぽぅ」
「座長です……。巫女様」
「なんで、不知火建設にメテオが……?」
「プロミネンス社長が会いたがってるらしい」
「すぐ会いたがるな、あの人は」
「単刀直入に打ち明けてしまうが……。メテオ君、君はプレアデス計画にはなくてはならない存在なんだ」
「ふむ」
「御三家の一つ、星街一族。又の名を、星を詠む者」
「君には全て視えている筈だよ。ドドド因子という赫い糸で結ばれた、赫の世代を構築するBANオーラの循環が」
「海でも、空でもなく……。人類が暮らすこの地上に、人と人とを繋ぐ星座を描いていく。まさに、星詠み」
「更に、レジスタンスサイドの最高戦力であるもんざえもんの器ときた。どっちつかずではいられない人々にとって、君は文字通り一番星そのものだ」
「もんざえもんって、レジスタンスなのか」
「そっちに分類するしかないんだよ……。本当に完全降霊が実現したら、全てをぶち壊しちまうんだから」
「それじゃあ、SSSサイドの最高戦力は……」
「おか斗ってことになるだろうな。もんざえもんがレジスタンスにいる限り、あいつは絶対にSSSへつく」
「ただ単に、戦りたいだけだもんな……」
「もちろん、もんざえもんの降霊を行える巫女様も、我々に協力して貰いますよ」
「どちらでも構いませんにぇ……。私はただ、煩妙無の教えに従うのみ」
「ずっと気になってたんだが、もんざえもんが復活した場合、俺の肉体と意識はどうなる」
『心配するな、わらべ。黒上たちと同様、いつでも切り替えられるようにしてやる』
「それ、お前のタイミングで勝手に乗っ取れるって意味だよな?」
『細かいことを気にするな、わらべ』
「メテオの奴、もんざえもんと普通に会話してるよ……」
「先刻ご承知だろうが、何者かによってSSRBの軍事基地から、収益化剥奪レールガンが盗まれた」
「もしそれが不知火建設社長である私に直撃するようなら、この国のGDPそのものが爆発することになる」
「身辺警護は頼んだよ、シエル」
「いや、私にはオスバル……。姫様の護衛が」
「聖騎士団の遠征資金を工面しているのは、私なんだが……」
「べ、別に、手を貸さないとは言ってないじゃないかッ」
「なーんか、雰囲気悪くない?」
「昼ドラって、まだ終わってなかったのか……」
「ていうか、団長には当たってもいいのかよ」
「団長の胸筋は、黒スパチャに満たない攻撃は全て、BANオーラに変換して吸収できるからな」
「なにそれ怖い」
『同刻 電脳桜神社近辺』
「待ってくれ、マチン船長」
「どうした、黒江」
「この気配……。なにか妙だ」
「出た、なにか妙だ構文ッ」
「俺には、現世と霊界の境目が視える。死者たちが有していたBANオーラは、地脈を通って電脳桜神社に集まるんだが……。それにしたって、その動きが活発過ぎる」
「迎撃戦以降、金盾級の戦闘が連続してる。その影響じゃないか?」
「だと、いいんだがな……」
『ザザザッ』
「なんだ!?」
『こちら、大空警察署です』
「なんだよ、ただの放送かよ……。ビビらせやがって」
『現在、大空警察署管内では、野兎同盟を名乗る不審な電話が、頻発しており……』
『げんざ……。ぞらおう……。げん……。ざっ、ざざざざざざざざざざざざざ』
「ただの放送じゃないッ」
『さくらかぜ〜に、おど〜るそら〜(子供たちの合唱)』
「また、この現象か……」
「もう見た」
「このレベルの霊障が立て続けに……。やはり、これはどう考えても異常事態だ」
「そうなの?僕は、特になにも感じないけど」
「船長の股下を潜って、そこら中を見渡せばいい。俺の言っている意味が理解る筈だ」
「なんでマチンの!?」
「リューキュー付近で沈没した海賊船……。俺は元々、その船長を務めてたんだよ」
「沖縄に海賊……?」
「だが、なにがなんでも女を抱いて種を遺したいというあり余る性欲が怨念となり、船長の恥骨が呪物と化し、それをそこら辺の深海魚かなにかが食べて受肉した姿が、いまのマチン船長なんだ」
「船長って、呪物だったのか……」
「道理で」
「だから、その肉体に近づけば、多少は霊界の様子も視ることができるだろう」
「どうだ?ナカタソ。俺の股から見える景色は」
「こ、これは……!!ちょっとすごいよ、ユキタミさんも見てみなよ」
「押さないで、無理矢理押さないでッ」
「酷い絵面だ」
「ところで黒江、これをどう見る」
「始まったんだよ。しけむら縁起絵巻に綴られた、ホロ鯖百物語の最後を飾る百番目の物語……。その名も、#終わらないホロライブが」
「#終わらないホロライブ……!?」
「BANオーラの永久機関、バカタレーションの概念もこれに通ずるところがある」
「レジスタンスが強くなればなる程、SSSも勢力を強める……。ただ、その繰り返し。たとえ第二次ホロサマが勃発しても、完璧にその決着を見ることはないだろう」
「恒久的な世界平和、人類みな家族……。そんな理想を夢見ながら、ひたすら、プレイヤーだけが入れ替わっていく」
「つまり……。僕たちは既に、ホロアースというゲームを終わらせることができない状況にあるってこと?」
「そういうことだ」
「マジかよ……」
「終わらないといえば、エンドレスモードの舞台になった溶岩島って、結局どこだったんだろう」
「四国」
「会長の亡骸そのものが、四国だった……!?」
「でか過ぎんだろ」
「そして、これが一番、俺たちにとって厄介な問題なんだが……」
「初見使徒から進化を遂げた古参使徒は、シン・フブラだけではない」