【】た こ ー す【】
「デャマレ勧告だと!?」
「エデン側の使節団が判断すれば、その場で宇宙艦隊との戦闘に発展する可能性もありますよっ」
「まずいな……。予期せず発生したぺこらタワーの崩落、あれが、来星中の元帥を狙った暗殺行為と見做されてもおかしくはない」
「暗殺って規模じゃなくね……?」
「そらトレインはどうなってる」
「駄目です……。分隊長とユキタミさんが対応していますが、犯人と見られる人物から妨害を受けています」
「そもそも、CIJとはなんなんだ?」
「あらゆるインターネッツ利用者の端末に、強制的に旨そうな飯の画像を表示させる、非人道的な飯テロ兵器……。それが、CIJ」
「犯人は、ギャングタウンで飯テロリズムを起こそうとしているのか……!?」
「現在のギャングタウンは、カーミラによって常夜状態が続いています……。そんな状態でCIJが炸裂すれば、被害者の数は計り知れませんッ」
「くそっ……。一体、どうすれば」
「落ち着いて、Aくん」
「ロボ男さんッ」
「そもそも、そらトレインを暴走させているのは、ろぼさーの大群なんですよね……?どうにかならないんですか」
「うん、アレは無理。僕はホロアース内の基幹プログラムを担っていてさ……。PON係数って知ってるでしょ?」
「ゲーム内に、一定の確率でバグが発生するように設計されてるのさ。完璧な状態から、ちょっとだけ欠けていることで、大きなイレギュラーを未然に防いでいる」
「そらトレインの暴走ですよ!?かなり大きな出来事だと思いますが……」
「召喚獣の出現……。あれは、AZに施された自動アップデート機能が独り歩きしたものだね」
「海にはリヴァイアサン、空にはバハムート……」
「仙台にはゴブリン、名古屋にはダークエルフ、広島にはオーク、福岡にはサキュバス……。それぞれの都市には、モブモンスターの大群が蔓延っている」
「サキュバスだって!?」
「そこだけ反応すんな」
「魔界学校ってどこにあるんだ?」
「神戸」
「じゃあ、天界学園は……。さいたまか」
「ちなみに、命の泉と呼ばれる場所は……。琵琶湖だよ」
「琵琶湖の水は、聖水だった……!?」
「召喚獣は元々、ホロアースにおける常設のメインボスたちだから、こちらから戦闘を挑まない限り襲ってはこないよ」
「まあ……。万が一を想定して、各種交通機関は運航を自粛してるみたいだけど」
「地下帝国を通るそらトレインなら、比較的安全……。だった筈なのに、この事態ですもんね」
「イフリートと思われていた存在も結局、ドーラさんがメン限秘技を解放した姿だった」
「時間を遡行する軍とは一体、何者なんでしょう」
「彼らもまた、レジスタンスに対するSSSのように、予定調和から外れた異分子を排除しようとする存在……。人体における、免疫機能みたいなものさ」
「Aくん。電車で隣に座った人が、その日たまたま誕生日だった可能性って、どれくらいだと思う?」
「え……。かなり、低いですよね」
「じゃあ、例えばそこが五万人も集まったドーム会場だとして、そこに誕生日の人が含まれている可能性は?」
「低くない……」
「そう。物事が発生する確率っていうのは、最初から全て決まっている。だけど、同じ場所、同じ時間、同じ機会に大勢の人間が集まった場合は、その限りじゃない」
「毎日が誰かの誕生日だし、これを理由にこじつけて、毎日お祝いのパーティーを開けるってワケさ」
「思考回路がパリピ過ぎる」
「そういう、確率の変動……。乱数の発生に一定以上のイレギュラーが起こった場合に、時間を遡行する軍は現れる」
「確変絶対許さないマンということですか?」
「歴史的な転換点っていうのも、細々とした個々人の意思じゃ絶対に訪れない。みんなが、同じ目的で、一斉に役割を果たした場合にしか、革命は成し得ないんだ」
「風真隊は、そんな頭のおカタい連中を押し留め、大和魂を未来へ繋ごうとするジャパニーズサムライたちの護衛を担ってきた」
「聖騎士団が王族なら、風真隊が守護するのは御三家さ。星街一族、神岡一族……。それから、戌亥一族」
「はあ」
「僕がこうして訳知り顔でくっちゃべってるのは、決して、前線に出て戦うのが面倒臭いからとかじゃない」
「語るに落ちましたね……」
「それじゃあ、カーミラは」
「真祖、カーミラ……。彼女が率いる、元ネタの元ネタ連合軍」
「現代に繁栄した自分たちのコピー品……。紛い者たちを懲らしめて、本家の力を示そうって魂胆だね」
「なんとも、まあ、心が狭い……」
「想像以上に厄介だよ……。ときの教授がホロアースを設計し、AZがメン限秘技を編み出し、巫女様と元帥がBANオーラの総量をコントロールしているとすれば……」
「真祖カーミラは、BANオーラそのものを生み出した張本人なんだから」