【】お に ぽ て【】
『警部、これといった理由はないですが、東名高速にゾンビの大群がっ』
「どけどけぇ〜い!!邪魔だぁ邪魔だぁ、轢いちまうぜェ〜?」
「轢いてんだよなぁ……」
『謎の暴徒たちも、滅流帝鬼救のあとを追跡しています!!』
「巫女様が詠唱を始めると、いつも決まって現れるんだよ……」
「荷台に、グレチャマを乗せといてよかった」
「SSRBは元帥の護衛で手一杯だからな」
「ロケットランチャー!?」
『着弾確認、暴徒の半数が吹き飛びましたっ』
「日本の交通が壊れる……!!」
「ルイ兄、こりゃどういう状況だ」
「メテオ……。これからお前の肉体に、一時的にだがもんざえもんを憑依させる」
「なんで?」
「厄介な奴が現れたんだよ……。このままじゃ、ギャングタウンに姫を運ぶことはできない」
「わん!!わんわん!!」
「ホソイヌ!?」
「おい……。まだ人類側の代表は着かないのか!?」
「座長たちが奮闘してはいるが、いつまで身体が持つか……」
「推しマークの腕章!?あれって……」
「東京、ナイロビ、ニューヨーク、ロンドン、キャンベラ、ブエノスアイレス……。各地の切り抜き師協会から派遣された、筆頭切り抜き師たちだ」
「おい……。俺、あの人の切り抜き観たことあるぞ」
「漫画のやつ、漫画のやつだっ」
「SSSから、実行委員長も来てるって本当ですか?」
「なんじゃそりゃ」
「委員長直属の実働部隊……。それが実行委員会。中でもトップを務める実行委員長は、必ずそれを実行する男として知られている」
「だから、なにを実行するんだよ」
「内容を決めるのは彼らではなく、委員長……。但し、委員長が決めた方針を実行するのは委員長ではなく、彼らなんだ」
「ややこしいなっ」
「ま……。元帥相手に下手な動きをしないよう、監視が目的だろうな」
「キセキ結びの効果範囲は、既に赫の世代の全てに行き渡っていると考えた方がいい」
「ステラ細胞の覚醒ほどではないが、日々、彼女たちの能力も成長していっているからね」
「ちなみに……。赫の世代が一人残らず出揃うまでは、次の世代のステラ細胞が目覚めることはないんだ」
「一人残らず、ですか」
「一人残らず、さ」
「ロボ子さんのPON係数が一定値を振り切った場合、全国の社畜が一斉に過労死を迎えることになる」
「ガチぃ!?」
「無茶だ……。労基の存在が大きくなればなる程、社畜の力もまた強くなっていくんだぞ……!!」
「ホメオスタシス……。恒常性だよね。人類という一つの有機生命体を、常に一定の状態に保とうとする力が働いているのさ」
「働いていると休みたくなり、休んでいると働きたくなる……」
「いいかい?仕事っていうのは、生存に必要な最低限のタスクのことを言うんだ。食べたり、寝たり、日々の家事だったり……」
「その範囲を逸脱した行為は全て、たとえなにをやっていたとしても、それは趣味だ」
「そして肝心なのは、どんな趣味も否定されるべきではないということ……!!」
「まさかっ」
「気づいたかい?哀しき獣、社畜たちが生まれてしまう心理的な背景に……」
『モッ ト 働 キ タイ』
「ホソイヌから、人が!?」
『ジャキィン!!』
「まあ……。小僧の肉体にしては、悪くないか」
「流石はもんざえもん、噂通りの反応速度だね」
「なんだあいつ……。なんで、もんざえもんと普通に渡り合ってんだ」
「おか斗……。人呼んで、誰も殺せない死刑囚」
「星街一族と並ぶ御三家の一つ、神岡一族が生んだ鬼畜イカレポンチ」
「SSRB、常闇ファミリー、桐生会……。殺して貰いたいからという理由で、彼に理不尽な襲撃を受けた連中は数知れないんだ」
「スゥ〜……」
「あれって、あくたんの!?」
「しかもあの構え……。天牙羊蹄拳だぞっ」
「なんか、練習したらできちゃってさ」
「メテオという少年は、天牙老師の得意技、水滸流星脚を無意識に体得していましたにぇ……。しかし、おか斗にはそれすらも無効」
「よお。面白そうなことやってんじゃねェか」
「黒上!?」
「異様な気配を感じてきてみれば……。そういうことか」
「ハトタウロスまでいるぞっ」
「餓鬼の身体っつーデバフがあるんだ、もんざえもん、こいつを使えよ」
「あれは、サイコアックス」
『更に、グレードアップしていますよ』
「ココロ……」
『刃の表面に塗装したコヨリニウムをみこだにぇーの排熱器官で高温に熱することで、傷口から相手の体細胞を連鎖的に爆裂させていくんですねぇ〜!!』
「古の人斬りが、最先端の科学兵器を持つのか……」
「そっちが武器を使うなら……。よっと」
「嘘だろ……。空間転移の黒魔術!?」
「あれを使える黒魔術師は、歴代でもシオンとシオッコだけだぞ……」
「独学です」
「しかも、あの鎌」
「間違いない……。不可逆的に命を刈り取るカリオペのメン限秘技、カリサイズだっ」
「カ、カリサイズ」
「なんか嫌だな……」
「これでその少年ごと斬れば、君の魂は二度と戻ってこれないらしいよ?」
「ならば、その鎌で己の首を刎ねればいいだろう……。くだらんことに俺を巻き込むな」
「酷いなぁ、もんざえもぉ〜ん……。僕は死にたいんじゃなくて、殺して欲しいだけなんだから」
「流石の僕も学習したよ。本気で殺そうとしないと、本気で殺して貰えないって」
「なあ……。もう、行こうぜ」
「イカれた奴らに構ってたら、時間がいくらあっても足りないんだよっ」
「待っていてくれ……。元帥!!」
「こちら、副菜のナイススティックでこざいます」