【】び っ ぐ ま【】
「貴女のそれ……。エチエチエチケット違反ですよねぇ!?」
「しゃぶしゃぶしたいなー」
「それなら、いい材料があるよ」
「んじゃかぱ〜ん!!」
『三のつく日は、丑の刻参り!!』
「えぇっと……。ぺこーら、エロ、っと」
『ふぁっ!!ふぁっ!!ふぁっ!!あんたのパソコンは、ウィルスに感染しちゃったぺこねぇ〜』
『どげんかせんとく〜ん!!』
『はぁ〜い』
「マリン船長を、教育番組に!?」
「シャケフライとアジフライ……。どっちがいい?」
「う〜ん……」
「どっちも喰えば、いいんだ余〜!!」
「「サユリとクミコが、入れ替わってるぅ〜!?」」
「お前をクレカを……。溝川に、どーん!!」
「僕さ……。薄々理解ってきたことがあるんだ」
「え?」
「天使……。ナカタソとしての記憶を取り戻しはしたんだけど、僕自身の性格、自我っていうのかな、それはこの肉体の持ち主、少女中田のものなような気がするんだ」
「それってつまり……。ナカタソが受肉したお陰でかなたんは死なずに済んだってだけで、表の人格は少女中田のままってこと!?」
「っていうか、かなたん?中田さん……?」
「呼び方は、そのままでいいから……。でも、僕がベリアルを被ってナカタソになった時さ、明らかにいつもの僕じゃなかっただろ?」
「うん……。いつもより、賢そうな感じだった」
「余計なお世話だよ……。だから、少女中田の自我はどこ行ったんだ案件は、それで解決したんだけど」
「一つ、思ったことがあるんだ」
「なにが?」
「僕の……。少女中田の親っていうか……。保護者?は、どういう気持ちで、この身体を贄として渡したのかって」
「かなたん……」
「ナカタソと一体化してるせいか、そこら辺の記憶が曖昧でさ。謎は一つ解けたのに、また新しい謎に出会っちゃった感じ」
「ま……。ぶっちゃけ、覚えてないんだから、そこまで感傷がある訳じゃないけど」
「そうね……。かなたんがいつも通りなら、それが一番いいわよ」
「妙な話しちゃったね……。これから、ちゃまのご家族と会うってのに」
「本気なの?赤井家復興の手助けをするって……」
「別に、ちゃまの為ってんじゃないさ。売られた喧嘩は、買う主義ってだけ」
「だったら、敵に塩を送っちゃ駄目じゃない」
「そしたら、ちゃまが困るだろ?赤井家の、とってもとっても大事なご子息様なんだからさ」
「……」
「どうした?」
「はあちゃま、やっぱり今日は……」
「君たちか?私たちの娘に会わせろというのは」
「誰?」
「お父様……。後ろにいるのが、お母様」
「へえ……。それじゃあ、もう一人の」
「貴女は……。またあの時の?もうやめて頂戴、うちの娘だなんて変なことを言い出すのはっ」
「え?」
「上の姉たちは既に嫁いで行ったが……。我が家の令嬢は、この赤井はあとただ一人だ。お前のような胡散臭い娘ではないっ」
「ちゃま、これって」
「行きましょう、かなたん」
「おい、説明しろってっ!!」
「哀れね……。平民風情が、貴族の娘に生まれたかったという妄執に、取り憑かれてしまっているんだわ」
「……ッ!!」
「これ以上留まるようなら、衛兵を呼ぶが?」
「なあ、ちゃま……」
「知らない……。顔を合わせるだけ、無駄だったわっ」
「私たちが、実の娘を間違える筈ないじゃないの……。さあ、中でお料理の続きをしましょう?」
「そうね、とんだ邪魔が入ったわ」
「そうか……。なんとなく、状況は察したよ」
「常日頃から、ちゃまはおかしいって思ってたけど、これなら話は別だ」
「かなたんっ」
「違うの、これはちゃまが招いた結果だから……」
「どうしてかな……。いまのちゃまを見てると、どうしても胸が疼くんだ」
「実の娘、ね」
「かなたん……!!」
「君たち、本当にどこかおかしいぞ……!!」
「おい、そこの偽はあちゃま」
「はあ?」
「僕はきっと、お前ら的に言えば貧民の生まれでね。覚えている限り、そりゃあもうボロボロの身なりだったよ」
「でもさ……。貴族だの、貧民だの、へい民……。間違えた、平民だの関係なく、ちゃまは僕に接してくれた」
「かなたん……」
「あれが、ちゃまの心の裏面だってんなら、これは自分で決着をつけなきゃいけないことだよ」
「うん……。理解ってる」
「でも同時に、僕の戦いでもあるんだ」
「贄がどうとか、親がどうとか……。そんな過去ばかり気になって仕方ないのは、僕も同じだからさ」
「一緒に……。前へ進もう、ちゃま」
「……」
「はあ……」
「まったく……。かなたんてば、ちゃまの力が貸して欲しいってんなら、最初からそう言いなさいよね?」
「ふん……。調子、戻ってきたじゃないか……!!」
「お前ら、聞け!!」
「これから僕たちは……。とても大きな敵に挑むことになるかも知れない」
「それでもここに、身分を越えた絆があったこと……。それは、誰にも否定できない事実なんだ」
「行こう、はあちゃま」
「ええ、かなたん」
「「ちゃまたんの冒険は、まだまだこれからだッ!!」」
「この連載、逆によくここまで続いたな……」