【】み ず ー な【】
『フィリピン付近を北上する、台風××号の影響で……』
「明日の運動会、大丈夫かな……」
【たそ……。心配ねぇよ】
「え?」
【その雨、全部飲み切ればいいんだろ?】
「ずーはー……。やっぱ、お前とは気が合っちまうみたいだな」
「風速いくら?」
【時速50kmだとよ】
「んー……。まあ、ちょっとぎりか。俺氏の肺活量でも、食い止めていられるのは半日が限度……」
【馬鹿か?二人いんだから、一日持つだろ】
「馬鹿はお前だろ……。だったら、俺にも雨、半分くれよ」
「お前ら……。馬鹿ばっかかよ」
「たそ、明日の弁当、賞味期限ぎりぎりの納豆ぶち込んどいてやるからな」
【お前の握力で、リレーのバトン、握り潰してこい】
「生憎、僕も肺活量には自信があってさ……。君たちの手を借りないでも、三日は留めておけるんじゃないかな?」
【ふん……。言ってろ、ばーろー】
「たそ……。お前、それらしい顔つきになってきたじゃねえか」
「お前らクズと一緒にされるのは、気に食わないけどね」
『三人はまだ知らなかった……。僅かこの三日後に、校長が教員へのセクハラで免職処分を食らうことを』
「この角度が、好きどすどす〜!!」
『冥界のイフリートにありがちなこと つよそう』
『私も吹き飛ばされました!!』
「こんなところに、砂丘なんてあったっけ?」
「知らねぇの?全日本砂場選手権。ここで優勝した園児が、次の大統領選を有利に運べるんだよ」
「おで、だいだらぼっち」
「おまえ、ぼっち」
「ぷぷぷ〜w」
『その言葉が、かなたその心に火をつけた』
『ビンビンルドルフ』
「お前の母ちゃん、誰……?」
「ショック療法で、無理矢理咲かせるしかないな……」
「どうしたんです?」
「アサガオの観察日記が終わらないんだよ」
「一日の間に、どうにかして咲いて、枯れるまでの過程を辿ってくれないと」
「あー……。夏休みの宿題か。それなら、いい方法があるよ」
「なんですっ、その方法って」
「ここに、エジプトへの偽造パスポートが二つある」
「覚悟できてんだろうな……?餓鬼ども」
『それが、世界を揺るがす歴史的大発見に繋がる旅だとは、まだ誰も知る由がなかった』
「なにィ!?ミイラが動いた!?」
「彼らにはまだ、生命が……」
「あり得ん、私も確かめに行くぞっ」
「……」
「これで、研究室は無人になった」
「年甲斐もなく興奮しちゃって……。研究者のサガですねぇ〜」
「これは返していただきますよ。実習中に持ってて没収された、時価総額五億円を超える妖怪メダル……!!」
『冥界の煉獄さんにありがちなこと 死んでる』