【】ほ し い も【】
「干し芋が、欲しいんだもぉ〜ん!!」
『同刻 不知火建設会議室』
「こちらをご覧ください。あまみゃのパンツです」
「おおっ」
「本物なのか!?」
「今回は、このあまみゃのパンツを活用した、新商品のプレゼンを行っていきたいと思います」
「新商品だと?」
「ふぅむ……」
「まずは、こちらの映像をどうぞ」
「ハッピーターンの粉を、致死量ぎりぎりまで散布した実験室です」
「なんだとっ」
「そんな量の粉を、どこから!?」
「ここに、あまみゃのパンツを置くと……」
「特殊なカメラで撮影した画像をご覧ください」
「おお、空気中に漂うハッピーターンの粉が、みるみるうちに減少していくっ」
「あまみゃのパンツには、空気清浄器と同等の効能があるということか」
「左様でございます。しかも、無味無臭」
「無味無臭!?」
「仮にもパンツだぞ?無味無臭などということがあり得るのか……」
「味……?」
「比較として、こちら、私が着用したパンツを同じ条件の部屋に設置してみました」
「むしろ、漂う粉の量が増えているな」
「その日の前日は、焼き肉でしたので……」
「このように、あまみゃのパンツには革新的な仕組みが隠されていたのです」
「しかし……」
「はっきり言って、空気清浄器としても、衣類としても中途半端だ」
「あまみゃが穿いているという点で、量産しにくいのもネックだな」
「その点は、次のスライドへ」
「都内の高級住宅地で、およそ三千人へアンケートを実施しました」
「すると……。驚くべきことに、高コスト帯でもあまみゃのパンツを買ってみたい、購入を検討すると答えた割合が、九割を突破したのです」
「なんとっ」
「九割も!!」
「一部のご婦人に詳しくお話を伺ったところ……。是非、食後に主人と観賞したい、隣にはポインセチアがよく似合うと思う、といった好感触が返ってきました」
「ポインセチアか……」
「ポインセチアなら、まあ」
「更に!!」
『一同の視線が、会議室の入り口へと集中する』
「こちら、実物のあまみゃです」
「あまみゃだ!!」
「本物なのか!?」
「すげー、サインくださいっ」
「俺もっ」
「私もっ」
『それを見守る、グラサン姿の何者か』
「すいせいの奴……。成長したにぇ」
『監査に応じてくだた〜い』