千夜一夜
たった一本の映画が、人生を定義づけることがある。
翼と羊は、
帝の【重税】により、【異世界夭逝】での登場順が遅くなる代わりに、
いくつかの【本懐】と、【火花】が付与されている。
まずは、【籠城】。
物質と、非物質の定義を逆転させる。
それから、【暗数調査】。
観測と、非観測の定義を逆転させる。
そして、【発信】と【受信】の組み合わせにより、
大衆の脳内を強制的に支配する【火花】、【一騎当千放送室】を、【霊言工房】に設営することができる。
「つまり、僕たちは帝の気まぐれにより、因果律の外側へ放り出されてしまった、って訳さ……」
翼が、なにやら意味深な風を装い、
「私たちは、【外部特派員】……。一番、かっこいいポジションじゃない?」
羊も、なにやら意味深な風を装う。
作業のおともは、ド○ターペッパー。
「君、よくそれ、飲めるな……。僕、苦手なんだけど」
「ええ!?そんな人類、おるう!?」
「やれやれ。僕はさながら、白い烏、だね」
「それで、帝が言ってた機密資料のことだけど」
「向こうの千年と、こっちの一年は同期している」
「【大災害の夜】は、必ず訪れる。逃れる術はない。ゆえに」
「お前たちは」
「どうする」
もう、大人たちが介入する余地はない。
ここにいる二人だけで、任務を果たすしかないのだ。
「あと五分で、十時だ」
「始まるんだね」
「とろこで君、その瞳と髪は……」
「ああ、ウィッグとカラコンだよ。三ヶ月くらい吉○家で働いたバイト代が、一瞬で、溶けた」
三年くらい、精神年齢が遅れている翼と羊。
そして、
世界を変える為の二時間が、
始まる。
【ロードしています……】
【暫く、お待ちください】
2021/08/31/22:00
【ロード完了】
【引き続き、冒険をお楽しみください】
その日、
県市立高等学校、二年、
A組、B組、C組、D組、そしてE組の、
総勢、七十二名の生徒、
全員が、
意識不明の状態で、発見される。




