王の凱旋
「え!?」
帝は、気づいたら【霊言工房】に帰ってきていた。
そして、
隣には、DK【渾】……。
ではなく、【霊言師】であり、【文学的同素体】の先輩、
嵐。
「あの、霈先生は」
「締切が近いらしくて」
「あ、はい」
「それと……。そろそろ独自の種で独り立ちしないと、叱られそうな空気を察したらしい」
「誰が〜!?」
どこかの国の、大統領が言ってた。
「一つから盗めば盗作ですが、百から盗めば、名作です」
その通りだと思う。
そして、後輩たちにとっては……。
俺の、【霊言弟子】にとっては、
俺もまた、百のうちの一つ。
「帝も、薄々、気づいてるだろ?僕の【霊言弟子】が、君だったんだ。で、君はもう、立派な一人の【霊言師】だよ」
「あざす」
「だから、僕はもう、この【霊言工房】を旅立って、【戯言師】としての役目を果たそうと思う。やっぱり……。古い友人たちとも、また会いたいしね」
「古い」
「そう」
要するに、それは、
「親友だよ。鼠って奴なんだけど、まあ、名前なんてどうでもいいか。だから、君も【霊言弟子】を育て上げれば、君と結ばれた【勇者】、【最初の心臓】と……。司と、【平行線】のその先で、再会できると思うよ」
「いや、もう、昔の男の話はしないでください。完全に忘れたので」
「あ、そう……。そういう時期って、あるよね。僕にもあった」
これから、
この【霊言工房】の管理人は、帝が務めることになる。
「僕たち【霊言師】にとっては、【虚言師】が、【虚言輪廻】たちがどんな旅路を辿っているのか、知る由もない。でも、それでいいんだ。それぞれの道の、その先で……。【戯言師】に進化を遂げた僕たちには、いくらでも、語らい合う時間が用意されてるんだから」
「俺、任されたからには好き勝手やりますよ。いいんですね?」
「今更だろ……」
嵐は身支度を整え、【霊言工房】、その廃学校、廃教室を名残惜しそうに振り返る。
見上げれば、
そこはいつだって、満天の星空だ。
「心は、もう待ち合わせ場所に着いたかな」
「ぱいせん。なんかこう、ないんすか」
「抽象的が過ぎるぞ」
「【戯言師】になった奴らが……。こう呼ばれる、みたいな」
「ああ、それね。あるよ」
それは、【霊言師】によって組織される、【文学的同素体】、
そして、【虚言師】によって組織される、【虚言輪廻】と、同じような意味合い。
「案外、簡単な名称なんだけどさ」
嵐は、
星空の果てに、未来、過去、現在、
その全てを、視ている。
エスパータイプから進化を遂げた、ゴーストタイプと、
ノーマルタイプから進化を遂げた、格闘タイプ。
そいつらを、まとめて、
「僕たちは、【職人組合】」




