マドロミ
「死んでしまうとは、情けない」
「誰!?」
気づくと、
帝は、【聖母の教会】にて、パンツ一丁で両手両足を鎖に繋がれていた。
ちなみに、黒のボクサー。
そして、目の前には、
アダマンタイト製の斧をぱしぱしする、あの人。
「毎度お馴染み泉の聖女、クレアさんですよ〜」
「あ!クレアさんだ!」
「帝さん、あなたは霈さんとの戦闘に敗れ、JK【渾】に心臓をぶち抜かれました」
「夢じゃなかった」
「そして、この【異世界夭逝】を護る為に、あなたに授けられた【火花】……。即ち、【調教完了不死鳥】による自動記録により、こうして一命を取り留めたのです」
「【調教完了不死鳥】……」
「帝さん。人生をクリアするコツは、こまめなセーブだと、私は、何回も教えたはずなんですが?」
「いや、その……。熱中すると、ついつい忘れちゃうじゃないですか」
「ちなみにこの斧には、全ての【火花】と【本懐】を木っ端微塵にする能力があります」
「作中最強になるの、やめて〜」
「しかし、あなたが【霊言師】として進化を遂げたということは、【運命の心臓】に辿り着き……。そして、永劫の輪廻からの脱出に成功した、ということなんでしょうね」
「永劫の輪廻」
「はい」
そう。
それが、
「それこそが、【童貞永劫回帰】」
「【童貞永劫回帰】……!?」
「【運命の心臓】と向き合う覚悟のない者に、永久の童貞を強制する永久機関です」
「初耳すぎた!!」
「【一回目の童貞】を捨てたところで、【二回目の童貞】が……。同じように、果てはなく、【n回目の童貞】が、【運命の心臓】に辿り着くまで、際限なく繰り返す。それが、【童貞永劫回帰】」
「はあ……」
「そして、【童貞永劫回帰】からの脱却を果たしたあなたには、勲章、【悠久の風穴】が贈与されたのです」
「いつの間に贈与されてたんですかっ」
「いいですか?【悠久の風穴】の勲章を冠する者にだけ許された、特殊技能。それは、【精神的処女膜】の解除」
「【精神的処女膜】……!?」
「触れる男、全てを破壊し、墓地に送ってしまう恐るべき障壁です。この障壁をぶち破るのは、【童貞永劫回帰】に囚われたままの哀れな仔羊たちには、あまりにも難しい」
「つまり、【悠久の風穴】である俺に、素晴らしきボランティア精神で、眠れるお姫様たちの【精神的処女膜】を、片っ端からぶち抜いてくれと」
「その通りです。この連載も、その機能の一つ。帝キュン、可哀想……。私がママになって、帝キュンを救ってあげなきゃ!!と、こういうことです。【精神的処女膜】を展開したままでは、【運命の心臓】に辿り着くことはできませんから」
「ところで、泉の聖女が教会にいていいんですか?それってもはや、泉の聖女じゃなくて、教会の聖女なのでは?ブランドイメージ、崩壊してるのでは?」
「え?」
「えっ」
「え?」
「あ……」
「なにか」
「いや、なんでもないです」
「それはそうと」
【セーブしますか?】
【は、はい】
2021/09/01/00:00
【セーブ完了】
「実は、この【聖母の教会】は、本筋の物語にも関係する、重要な拠点なのです」
「はえ〜」
「ですが、あなたはまだ現実世界でやるべきことがある。この【異世界夭逝】に回帰するのは、もう少し先のことです」
「しかし……。俺はどうやって、現実世界に戻れば。最悪、この恰好だと職質されます」
「その答えは、既にあなたの手にあるはずです」
「え」
そうか、
そうだな。
そうかも、知れない。
俺は、現実世界と【異世界夭逝】を、自由に行き来できる。
三度の、【失踪】。
その果てに辿り着いた、俺の【絶望】。
そして、その【火花】。
そう。
それが、
「それこそが、【微睡の覚醒】」




