書籍化なんて、一切、目指しませ〜ん!
俺、知ってる。
お前、暇な時間、小説、読もうと思ってる。
しかも、無料で。
「おい!てめえ、どこ見て歩いてやがるんだっ」
汚い胴間声が響く。
さて、
今回、俺が試す【本懐】は〜?
そうです、【剛腕】です。
ビール売りの女性は、ぶち撒けられた中年男性の怒号で完全に萎縮してしまっている。
「おい姉ちゃん。ちゃんと、拭いてくれよ」
途端、中年男性の顔がいやらしく歪む。
びしょびしょに濡れた、股間部分。
ん〜。
うるせえな……。
バッターボックスに立ってるのは、俺だろうが。
おっさん、
お前が勃たせる場合じゃないんだよ。
投手が構える。
集中……。
集中しろ。
練習は裏切らない。
今シーズンは走り込みから、しっかりと目標を定めて肉体を鍛えてきた。
相手は、右の豪速球。
この【本懐】、【剛腕】は【殺意】を放つ強弱、方向を精密に制御するというものである。
ピッチャー、
「振りかぶって、投げました!」
そして、
俺も集中力の頂点をもって、振り抜く。
「あ……。すいません」
「謝ってないでよお、早く、拭いてくれよお」
「はい」
「ぱっ」
一塁側、フェンスを突き抜け、
強烈なファウルボールが、中年男性の頭蓋骨を吹き飛ばした。
ファウルボールには、充分ご注意ください。
よし!
「ほおおおおおおおおむらあああああああああああん!!」
実況も、獣のような雄叫びである。
それから帝は女性のもとに歩み寄り、
「あの……。あなたの、お名前は」
「名乗るほどの者じゃあ、ございやせん」
中年男性の脳漿と返り血の混ざったビールを、帝は一気に呑み干した。
ん〜。
一仕事の後は、やっぱこれだね!
それから、
俺は、群がるヒーロインタビューたちに向かって、満面の笑みで言い放った。
「明日も、勝ちま〜す!!」




