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新シーズン

 つまりさ〜。


 親友。

  

 既に、お前がぬくもりと救いを求めていた世界に、俺は足を踏み入れちゃってる訳さ。


 既に、俺が死ぬほど憧れていた世界に、お前は足を踏み入れちゃってる訳さ。


 地獄の日々が始まってる訳さ。


 いずれ、俺を見て育った奴がお前に襲いかかるだろう。


 逆もまたしかり。


 やばすぎる。


 しんどすぎる。


 だったら、全てをぶっちぎるしかねえ。


 あの夜、なにもかもがぶっちぎれちゃったんだから。


 俺の脳は、


 心は、


 リミッターは。


 俺は、自殺できる奴にも心があることを知ったし。


 お前も、自分に匹敵しない雑魚にも心があることを知っただろ?


 しんどいんだけど。


 どこからネタ、拾ったらいい?


 熱すぎるんだけど。


 ネタ、あの【大災害の夜】の、その以前までに詰め込んだ、お前を知らなかった頃の綺麗な思い出を全部、ネタにするね。


 それで、世界をぶっちぎるね。


 で。


 風の街、サンドバンド。


 ここが、銃撃戦の舞台ステージ


風骸フーガって奴らがいるんでしょ?ゾンビみたいな」


 かがりはサバイバルナイフを器用に弄びながら、風の街を気怠げに練り歩く。


 練り練り歩く。


「元は人間らしい。まあ、全部ぶっ殺すけどな」


 みかど


 サンドバンドには、様々な動物を模したマシーンたちが歩き回っている。


 全て、風骸に侵された動物に殺されない為の措置である。


「あのさ……。ププヤ朝?だっけ。その人たちとのなんやかんやって、ない訳?なんやかんや」


 生真面目ななずなが生真面目に聞く。


「ない。つまらないことは、やりたくない」


「なんつー、我儘」


 我儘ついでに、補足しとくと。


 ここは、帝の心象風景の中だ。


 帝はここを、【煉獄ユートピア】と呼んでいる。


「風骸を全員、ぶち殺す」


「なんで」


「楽しいから」


「楽しいかな……」


 半信半疑の薺は兎も角、にしきは既に民家の中に入って物色を始めている。


「すげ〜!!なんか知らんけど、箪笥の中に銃弾を発見っ」


「どういう危機管理!?」


「委員長さ〜。こういうゲームやったことないの?ゾンビとかぶち殺しまくるやつ」


「そもそも、ぶち殺しまくるゲームをあまりやらないんだけど」


「流石、黒髪清楚な委員長。PTAからの信用も厚い」


 熱い信用の話は兎も角、みさおは金属バットを肩に構えながらトイレから出てきた。


「近接戦は、どう考えてもリスク高いよなあ……」


「ちなみに、銃とかなんやらを詳細に記述する為の知識とかないから、そこら辺は期待しないでくれ」


「誰に言い訳してるんだ、帝」


「取り敢えず、この民家を拠点にする」


 辺り一面に、めっちゃ廃墟。


 不気味な風が吹いている。


「これ、吸い込んじゃいけないんでしょ?」


 薺が清楚なハンカチで口元を覆う。


「いや、俺たちは初期設定で対風骸用のワクチンを二十七回も打ったことにしてあるから、助かる」


「打ちすぎじゃない!?」


「きたぞ」


 廃墟の陰から、不気味な影がわらわら。


 風骸に侵され、理性を消失したサンドバンドの皆々様である。


「よ〜し。殺すぞ〜」


 手始めに、帝は先頭一番の風骸の頭を撃ち抜く。


「あいつの名前は、たかしくんにしよう」


「今更、名付けても遅くねえか!?」


 喚きながら、錦もなんかこう、小型のマシンガンみたいなやつで風骸を殲滅する。


「たかし、クンニしよう……!?」


「お前、頭いかれてんのか?」


 操のいかれたリアクションだが、帝もそこそこいかれてるから、どすこいどすこいである。


「これさ……。終わりとか、あんの?なかったら流石に、きつすぎじゃない?」


 篝が、めちゃめちゃに風骸を切り刻みながら、愚痴る。


「ピークは、無限に続く」


「げ。マジい?」


 それから、めっちゃピークが続いて。


 第、二十七回目のピークが過ぎた。


「やりすぎ!!」


 小銃を投げ出しそうになる薺に、操がそっと語りかける。


「握力がなくなってきたかい?大丈夫、後ろから僕が支えていてあげるよ」


「触るな、嗅ぐな、近寄るな」


「なにそれ。清楚の三大原則?やめて、銃口をこちらに向けようとするのをやめてっ」


 携帯食料をもごもごとしながら、錦が横っ飛びで帝の横に位置取る。


「なあ、流石にきついってっ。充分な休養はゲームには必須だろ!?」


「食ってるだろ、飯」

 

「そうだけども!」


「ちなみに朗報だが、このゲームに終わりはない」


「は?」


「俺がゲームマスターの権限で、エンドレスモードに設定してあるからな」


 四人の表情が一気に青褪める。


「ち、ちなみにそれは、いかなる魂胆で?」


 震え声の錦を、帝は無視して続ける。


「この世界に……。【煉獄】に【救人キュート】はいない。俺は現実世界に戻り、【霊言師クラフター】として果たすべき使命がある」


「こ、固有名詞がっ」


「だが、ここは俺の大事な遊び場なんだ。そして、お前たちは仲間だ」


「おう」


「だから、頼みがある」


 帝たち、【霊言師】は【本懐スタイル】を使いこなす。


 それ以外に、強欲な帝は更なる力を求めた。


 際限のない遊び心を。


「お前たちには、この【煉獄】に散らばった【火花アンサー】を集めてもらいたい」


「な」


 なんだよそれ、という四人の表情もまた、当然である。


「俺たちが無邪気に投げかけた【絶望クエスチョン】……。その答えである【火花】を、俺の心象風景から拾い集めてきて欲しいんだ」


 曖昧な頼みであることは分かっている。


 だが、これは俺が【死の聖杯】に辿り着くまでに必要な過程だ。


「ま、なんかよく分かんねえけど。仲間、か……。いい響きじゃねえか。もちろん、協力するぜっ」


 照れ臭そうに鼻の下をこする錦に、一匹の風骸が襲いかかった。


「錦ー!!」


「衛生兵……。衛生兵はどこだっ」


「絆創膏ならあるけど」


「流石は委員長、女子力が高い」


 さあ、


 始めようか。


 虚構世界の、その先の、


 本当の戦いを。

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