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罪と罰

 つかさ


 俺とお前は、共犯関係だった。


 亡霊のお前は、法律の埒外にいる人間なのだろうと。


 違った。


 そんなことは、ない。


 どんな、冷たい夜道だろうと。


 そこに、俺たち以外に俺たちを観測する者がいないとしても、


 法律は、ある。


 なかったことには、できない。


 人は、心があって、それから体が動く。


 絶対に、破ってはいけない心のルールが、ある。


 お前が、こっそり飲酒運転をしたことを自慢してきたら、


 俺には、それを通報する義務がある。


 お前が、毎晩、峠を攻めていることを自慢してきたら、


 俺の家族を、お前に近寄らせる訳にはいかなくなる。


 俺が法律に違反したら、


 お前にも通報する義務がある。


 権利じゃない。


 義務だ。


 俺たちは、共犯関係だった。


 俺は、ハンドルを握っていなかった。


 だが、

 

 目の前のお前を、自分の裁量で裁こうとした。


 義務を、果たせていなかった。


 お前は、生と、死の世界観で生きているな?


 俺は、違うんだ。


 罪と、罰の世界観で生きている。


 俺は、自分が法律に違反したことをしたら、すぐにでも自首をしたい。


 明文化されたルールで裁いてもらって、早く心を楽にしたい。


 誰かの、身勝手な裁量で裁かれたくないから。


 誰かを、身勝手な裁量で裁きたくないから。


 そう、伝えるべきだった。


 ごめん。


 まだ、言語化する能力が足りてなかった。


 その事実だけを、伝える。

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