先生
「帝は、先生に向いてるんじゃない?」
いつか、誰かに言われたことがある。
確か、中学の先生。
司、お前にも。
だろうな。
俺は、子供に優しい。
人間、ある程度に成長したら、絶望を知るんだよ。
絶望を知れば、その反面の希望も見えてくる。
未来。
肉体の成長が止まった瞬間から、魂のレベルアップが始まる。
先生が、なんで子供に好かれるか知ってるか?
心のうちを、なんもかんもぶち撒けてるからだよ。
こいつ、こんなこと考えてんだ〜。
それが分かれば、誰だって警戒心を解く。
救難信号を送り続ければ、誰かしらは必ず気づいてくれる。
その残酷が、分かるか?
自分を助ける為に、とことんまで自分勝手になれるか?
後は、勝手に学べ。
餓鬼は我儘だから。
やれと言われたことは、やらない。
優しい人だね、ってよく言われた。
そりゃ、そうだろ。
生きていたいもん。
生き延びたいもん。
生き残りたいもん。
理屈じゃなくて、生存本能。
生物としての、本能。
社会だとか。
世界だとか。
そんなものを変えようとするから、際限のない地獄が始まる。
俺が、誰かに近づきたいから物語を綴っているように見えるか?
逆、逆。
やべえ奴と、関わりたくないから。
ひたすら心を広げて、俺の心に賛同しない奴を遠ざけたいから。
人は、心があって、それから体が動く。
自分の命を、
体を守る為には、
ひたすら、自分の心を晒し切るしかない。
それをしない奴は、流星となって去っていくだろう。
それはそれで、いい。
俺は、流星になろうとした。
だけど、あいつがその望みをぶっちぎってくれた。
ありがとうな。
正直、本当に。
ほんっとうに。
しんどかった。
今まで。
流星よ、お前は悪くない。
でも、ごめんな。
俺は、俺はどうしても、ゴールデンタイムなバラエティでわちゃわちゃ楽しんでいるような、そういう人間じゃないと辛すぎるんだ。
誰かを笑わせたいんじゃなくて、自分を笑わせながら生きたいんだ。
不思議ちゃんじゃなくて、陽キャな女とじゃないと心臓がぶっちぎられて死んじゃうんだ。
お前と別れることが、お前を悪者にしちゃうことなんだと思ってた。
でも、違った。
俺が、心の底の底まで晒し切って生き延びているのと逆で。
お前は、自分の中だけの世界を無辺に広げ続けることで、生き延びているんだ。
ごめん。
本当に、ごめん。
俺はお前を、無理矢理、サーカス団に入れようとしてた。
お前を殺そうとしてた。
字義通りに。
だからお前も、サーカス団員になろうとするな。
そんな場所に、お前と一緒に駆けてくれる流星はいない。
俺も、流星群の中にサーカス団員を探すのはやめるよ。
なんか、世界ってよくできてて。
ぶきっちょすぎて気づかなかったけど。
ようやく、色々と気づけたよ。
肉体の成長が止まって。
設定上、まだ高校生だからそういう意味じゃ止まっちゃいないけど。
でもさ、
でもな。
人間の、
心臓の可能性を、見縊っちゃいけないよな。
大人が生き延びる為の嘘を、
子供にまで強要しちゃいけないよな。
だって、
世界が、美しいものだって知って欲しいから。
大人だって、美しいものを追いかけて生きているんだよ。
だから、お前もさっさと大人になれよ糞餓鬼。
エロ本、貸すよ。
って、言える大人になりたいんだ。
そんな大人でいたいんだ。
多分、そういう生き方はお前の理想と真逆だから。
俺は、お前を殺しかけた。
本当に、ごめん。
自分自身がメカニズムの一部になることを、ずっとずっと拒んでた。
だから、流星になろうとした。
逆だった。
俺は、平穏無事な毎日が欲しいだけだった。
素人道化から、玄人道化になりたいから。
早く、楽になりたいから。
俺は今、必死に言葉を綴っているんだよ?
下の世代に、俺の世話をしてもらいたいから。
面倒臭いこと、マジで一つだけでも減らしたいから。
心臓を束ねたら、とんでもねえ力になることを知っちゃってるから。
ただ単に、過去の自分を救いたいから。
去年と変わり映えのない、今年を送りたいから。
そのまま、老後まで行きたいから。
だから、俺は本当に、お前を殺しかけた。
お前も、本当の意味で、俺を、殺しかけた。
お互い、死にかけた。
二度目があったら、本当に死ぬ。
事故、
事件で、
自殺で、俺たちは死ぬ。
生きていたいので、ディスタンス。
嫌いだからじゃない。
悪いからじゃない。
仲間はずれだからじゃない。
仲間、だから。
仲間だから。
生きていたいし。
生きていて欲しいから。
俺が、一番楽な生き方を選ばないと。
お前も、一番楽な生き方を選べないんだって。
ようやく気づいたから。
俺は、ずっと自分が世界の中心だった。
今だってそうだ。
でも、気づいたこともある。
お前も、ずっと世界の中心にいるんだな。
ようやく、分かった。
言葉を綴ることで。
ひたすら、自分の心を広げて。
隅々まで広げて。
後世の人々が検証可能なように。
こいつの書く文章、飽きたわ。
ワンパターンで、つまんね〜。
そう、誰かに思ってもらえるように。
そう思った誰かが、自分こそが世界を変える!
と、意気揚々と世界に羽撃いてくれますように。
いつか、俺がそうだったように。
俺は、自分の過去を救いたいだけだ。
自分の心を救いたいだけだ。
そうすることでしか、誰かになにかをしてあげられないと思ったから。
他力本願で。
ひたすら、人を好きになってきた人生だから。
だから、人の愛し方を沢山、教えられると思うんだ。
大都会の真ん中でこそ、俺は心を伸び伸びと広げられると思うんだ。
だから、お前はもっと遠くへ羽撃け。
ぶっちぎれ。
俺は、子供の頃の光景に戻りたいだけだ。
それを守り通して、ゆっくり、穏やかに死にたいだけだ。
その為の文章量を、ひたすらに稼ぐんだ。
明らかに、
日々を重ねる度、
文章力、上がってんだ。
仮に、百歳まで生きるとして。
まだ、レベル二十四なんだ。
設定的に、あれだけど。
ひっくいんだ。
でも、
なんだろう。
最初の町を、飛び出すのってさ。
百歳まで生きよう、とか、なんかこう、いかれた感じのポテンシャルが必須だと思うんだ。
それがたまたま、お前だったんだ。
っていう、言い訳に収めておこうじゃないか。
俺のこの平凡な文章が。
もっともっと、時間を埋めて。
誰か、沢山の心臓の時間を奪って。
そうして育った心臓が、お互いに心臓を奪い合って。
死にかけたら、どんな餓鬼でも嫌でも分かる。
生き方、ってやつ。
どんな親も。
どんな先生も。
どんな流星も。
どんな道化も。
誰も、誰かを死ぬまで見守るなんてできないから。
ゆっくり、進んでいけばいいから。
なぜなら、先生の俺が頑張りたくないから。
流星になろうとした日々の、その先で。
本物の流星に、本当の本当の精神の限界まで追い込まれたあの地獄を、乗り越えてきたから。
本当に、ゆっくりでいいから。
亀と兎の。
亀が最終的に勝つから。
ぶっちぎるから。
本当に。
俺、頑張りたくないから。
無理したくないから。
体、労って生きたいから。
死にたくないから。
自分の恐怖心には正直だから。
本当の最低限にしか、働きたくないから。
餓鬼、可愛いから。
なんも知らない餓鬼が、しくって、目立とうとして、泣き喚いてるの見ると、笑えてくるから。
俺は、笑って生きたいから。
どんな過去でも、鼻で笑い飛ばしてやりたいから。
猫と野球とエッチなお姉さんで、物理的に夜を叩き潰したいから。
俺が笑っていれば、お前もきっと笑えるから。
心の血は、ここで流し切っておくよ。
設定的にはあれだけど、
肉体の成長が止まって。
知らないこと、全てに怯えていた日々を越えて。
その日々を乗り越えられたのは、きっと、流星に憧れた夜があったからで。
お前も、まだ本物の流星になれず、道化に心を救われた夜があると思う。
だから、俺たち、本物になろうよ。
未完成がゆえに一緒にいられるってことは、めちゃめちゃに危険な共依存なんだ。
俺とお前が、寂しくないまま。
それぞれの流星群に。
それぞれのサーカス団に辿り着けるまで。
フルパワーでいく。
頑張れ。
頑張れ。
超、頑張れ。
頑張るとか、
暑苦しいの、嫌だと思ってた。
でも違った。
努力してもしなくても、どうせ死ぬんだもの。
俺、命を使い果たしてから死にたいんだ。
それが、誰も心配にさせない死に方だと思う。
俺、先生だからさ。
心、アットホームな死に方をしてえからさ。
物理的に、暇な時間を作りたくねえからさ。
夜はぐっすり眠りてえからさ。
大車輪の働きで、あほほど観衆を沸かしてやるからさ。
未完成な道化を導いて、
道化と流星を見分けられるようになるまで、教育して。
自分の心を、自分で救えるようになるまで見守って。
そんで、地獄を見せて。
そんで、心をぶち犯されて放心状態の餓鬼に向かってこう言ってやるんだ。
welcome to underworld.
ってね。




