王の宣誓
めっちゃ高いビル。
屋上。
「っしゃー!帝キュン。初仕事、興奮するね」
「いや、別に」
「ちょーい!ちょちょい、ちょーい!」
「そのノリ、なんなんですか」
「で。私、心!」
「知ってます」
「この物語の裏番長にして、スーパーヒロイン」
「それは知らなかった」
「我ら、【文学的同素体】のお仕事は【救人】の撲滅!そして我らは〜?」
「【霊言師】」
「正解!頭が、いい!」
「どうも」
「んで、先輩からの手解き。エッチな意味じゃないよ?」
「はい」
「【禁断の書】を紐解き、【物語因子】を手に入れた帝キュンには、自分自身の【本懐】を手に入れるまではひとまず、私たち先輩の【本懐】を試させてあげるね〜」
「固有名詞、おおすぎ」
「それよりも、なによりも。帝キュン、なんかかっこよくなったね?」
「いや……。元からでしょ」
「ん〜、やっぱりまだまだ可愛いね。それは兎も角、私の【本懐】は【発信】、だよ。みんなの脳味噌に一斉に、素敵な電波を送信するんだ。びびびびび〜」
「確かに、電波ですね」
「で。伝える情報には、注意してね?人は、心で動いてるから。言葉や、絵や、音楽で人が変わらないなんて、大間違い。変わるし、変えられるよ。使いこなす実力さえあれば、ね」
「伝えるって、なにを伝えるんです」
「君が、みんなの心に伝えたいことをさ」
「はあ」
「確かに、誰にもなにも伝えなくても、日常は送れるよ?でも、それじゃあちょっとだけ、心が窮屈になっちゃうでしょ?」
「そう、ですかね」
「そうで〜す。はい。レッツラ、【発信】〜!!」
屋上。
なにやら、フェンスの向こうで女子高生が泣き喚いている。
「死んでやる!」
死にそうである。
「なんで……。なんで誰も、私を見てくれないんだよっ!!ふざけんなっ。落ちてやる……。ここから落ちて、死んでやる。本当に飛ぶからなっ」
「よっ。楽しそうじゃん」
「え……。誰?」
「帝」
「はあ」
「えっと、こういう場合って……。なんて言えばいいんだっけ。そうだ、あれだ!待て、早まるなっ」
「ええ……」
「気持ち、変わった?」
「ふざけてるの?」
「ん〜。お前にだけは言われたくないなあ」
それから、なんやかんや女子高生はフェンスを越えて戻ってきた。
「戻ってくんのかいっ」
「なんか、興醒めしちゃった」
「なに興醒めしてんだよ……。諦めんなよ、頑張って飛べよ」
「なんなの、あんた」
「帝だよ」
「だから、誰だよ……」
「ただのしがない、サーカス団員さ」
「サーカス?」
「そ。楽しいことがしたいだけ〜」
それから、帝は女子高生を抱き寄せて。
「死ぬくらいなら、俺の女になれよ」
「え……」
「なんで、死のうと思った?」
「なんだか、寂しくて」
「そっか……。もう、俺が独りにはしないからな」
「え」
それから、
左手でそっと、女子高生の口を塞いで。
右手に、取り出したゴ○ジェットを。
左の穴に、ぶち込んで。
しゅ〜。
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!?」
「害虫は、死のうね〜」
「んっ……」
「おう。びくびくして、気持ちよさそうじゃん。もう逝った?」
それから、動かなくなった女子高生の脇腹を蹴っ飛ばして。
「引き立て役、ご苦労」
心、特製の拡声器を構え。
「みなさん、お元気ですか〜!?」
妙なテンションで、帝は犯行声明をぶちあげた。
「次の、八月三十一日い。俺たち【文学的同素体】は、【救人】への総力戦を仕掛けまーす!多分、めっちゃ人は死ぬけど、すっきりするよ〜」
地上に、地獄を描こうよ。
心の地獄を殺す為に。
ん〜。
やっぱり俺って、
い、い、や、つ。
だあ〜!
「未来へ向かって……。飛べ!若者よっ」




