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もょ

 宇宙の法則は大概の場合、理不尽である。


 人間は己の意志で物事をどうこうできると錯覚しがちだが、そんなことはない。望まずに生まれ、突発的に死んでいく。その感情も記憶も、全て脳内物質が見せるコスモの瞬きに過ぎないのだ。


 そんなことはさておき、つかさは勢いよくゲームマスターに掴みかかった。


 ゲームマスター、モョエモン。


「今すぐ俺たちもリーズブルに行かせろ!!」


「だから、それは無理だって。考えてごらんよ。100km先の地点を目指すなら、まずは1kmの地点に辿り着かなくちゃいけない。君が言ってるのは、なんの苦労もせず山頂の景色だけ見て帰りたい、みたいなことだよ?そこになんの価値が見出せるって……。痛い痛い痛い!!つねらないで、ゲームマスターをなんだと思ってるの!?」


 モョエモンは謂わば、引率の先生みたいなものである。司、みかどすずめをそれぞれのボスがあるエリアまで案内してくれる。


「そんなの関係ねえ。お前がゲームマスターってんなら、今すぐ俺たちを解放することだってできる筈だろ!?今すぐ俺たちを帰してくれ!!」


「だからさ……。それは無理なんだよ。君はルール違反のことを言ってるんだ。最初から言ってるだろ?ちゃんと、正規の手法でゲームをクリアすればみんな生き残れる。死んだ仲間も生き返る。平和に戻れる。だったら僕に八つ当たりしてないで、具体的な打開策を考えるべきだと思うけど」


 モョエモンの胸ぐら(?)を握り締める司の腕を、帝が窘める。謂わば主人公班とも言えるこの三人の中で、帝は比較的マトモな脳味噌をしていると言える。


「それくらいにしとけ……。まずはリーズブルってところに着くまではなんとも言えないだろ」


「でも……。本当に死んでたらどうすんだよ。ゆかりも、あかしも!!俺たちの仲間だろ!?」


「だから、実際に確かめるまでは分からないって……」


「どうせ同じだよ」


 のっぺりとしたトーンの、どこか呪詛めいた諦めの言葉が二人の気勢を削ぐ。


「もうこんなことになっちゃったら、どこで死んでもどうせ同じ。そのモョ……。なんとかが言ってることだって信用できない。どうせ同じ。ここで死んでも……。後で死んでも」


 始まりの草原を駆ける馬車の中で、雀は既に死んだような瞳をしていた。司と帝はもうなにも言えない。


「君たちさあ……。もっとこう、僕たちが世界を救うんだ!!とか、大冒険の始まりだ!!みたいな若者らしいテンションはない訳?僕としてもちょっと物足りないんだけど」


 モョエモンの減らず口が、馬車の駆る音に虚しくかき消されていく。


 地獄のような空気で旅は続く。

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