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お前が結婚するまで連載するからな

 ふもとは健康的な男子高校生である。


 異世界にも行かんし、カップ焼きそばが大好きだ。


「あー、だりい。宿題だりい」


 宿題とは元来だるいものであり、従って、だるくない宿題は宿題足りえない。


 暇な帰宅部だってのに、麓くんの愚痴は止まらない。


「帰りの駅……。もうちょいでパンツ見えそうだったな」


 不埒な妄想も止まらない。


 明日もまた学校だ。


 さほど好きでもないし、嫌いでもない。


 地獄みたいな事件も起きないし。


 健康な男子高校生にドラマティックを求められても困る。


 はあ。


 だりい。


 麓は日課の如く、素人童貞が集まる小説投稿サイトへのアクセスを試みる。


 だがしかし、たまにそこには玄人童貞が混ざっていることもある。


 ご注意を。


「お!新着あるじゃ〜ん」


 麓は、芽が出そうで出ない、出なさそうだけど出そうな作家をブクマして回るのが生涯で最大級の娯楽である。


「この作家、センスあんだよなあ。今度の連載は続くといいけど」


 三度の失踪。


 やらかしおにぎり。


 それでも、暇な麓の慰めを書くくらいのことはできる。


「昔はもっと尖っててさ……。てか、こいつをそんな昔から知ってる奴って俺だけじゃね?知らんけど」


 古参アピ当確ににやにやしながら、麓は新着エピソードをドバドバと消費していく。


「やっぱさあ……。書籍化とか、アニメ化する前から応援したい欲ってのがあるんだよなあ。唾、つけときたいじゃん」


「それな」


 え?

 

 麓が振り向くと、コックローチが一匹。


 え?


「誰……。母さん?」


 母さんの声じゃない。


 もっとのぶとい、ごりごりにおっさんボイスだった。


 まさか……。


「お前、なのか」


 ゴキブリと見詰め合う、数秒間。


 こいつが喋るなんて、ありえない。


(せやな)


 え?  


 脳内に直接?


 緊迫した沈黙が流れる。


 でも……。


 まあ、いっか。


 Gが喋り出したところで、急に世界が終わる訳でもない。


 麓はベッドに足を投げ出し、読書の続きへと没頭する。


 親の同意なしに異世界に行ける時代って、本当ですか!?


 そんなお前も、見守られてるぞ。


 黒光りする、増殖する奴らに。

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