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こいつあひでえ

あいだあ!!オニオンリングだけってお前、こりゃどういう了見だお前。俺はオニポテを頼んだはずだぞ間あ」


「いやいや、よろいさん、俺のポテトLとミックスすればオニポテですって」


 あがた市警の間と鎧は迷コンビである。昼食は近くのハンバーガー屋がフェイバリットだ。


「馬っ鹿お前……。オニポテはオニオンリングとポテトがセットで出てきてこそのオニポテなんだよ。この二つを一緒に楽しんでもらおうという店員さんや商品開発部の思惑と真心を真っ直ぐに受け取ってこその」


「今日、聞き込みするんすよね?ガタコーの生徒たちに」


 県市立高等学校、通称ガタコー。


「そうだ。まあぶっちゃけ、放課後にやることもなく駅前をぶらついてるヤンキーどもに当たるだけだけどな」


 実際、鎧の思惑通り判で押したゴロツキたちが転がっていた。


「あん?ポリ公がなんのようだよ」


 高音チビロン毛のまんじがガンを飛ばす。


「そうだぞてめえら、マジ、卍の兄貴困らすとこうだかんな。マジ、こうだかんだ。マジ怖えかんな」


 後ろの方で、低音デカ坊主のやからが援護射撃を飛ばす。


「はいはい、君たち。取り敢えずその未成年喫煙は見逃してやるからちょっとお話を伺おうか」


 当然、間にそんなつもりはないが、アイスブレイキングに小粋なジョークは必要不可欠である。強面おっさんの鎧がいきなり出てくるよりもマイルドでいい感じ。


「この辺りで、人を殺しそうな奴はいるか?」


 夕方といえど、まだまだ陽は明るい。


 鎧の発した不穏な文明を理解するまでには時間がかかる。


「知らねえ。俺たち、流石にそこまでのことはやんないもん」


 さも誇らしげに卍は顎を突き出し、満足げな輩は何度も肯定の頷きを繰り返す。


「なに。なんかの事件?」


 卍の切り返しには、刑事二人ともが顔を見合わせるが、こいつに高度な駆け引きとかできそうもねえしなあ……。ただの高坊だし。


 ってな雰囲気で、マジ卍ブラザーズへの用は済んだ。


 当然、ガタコーの教師陣にその非行はチクられた。


「てめえら、やり方が卑怯だぞっ」


「卍の兄貴、ここは抑えてっ」


 署に戻り、結局、収穫という収穫がないまま気怠い時間が流れる。


 先月、くつわ市内で怪死事件が発生した。


 鎧と間も応援として駆り出され、ワイドショーでもそれなりのニュースバリューで報じられた、そんな出来事。


「人間業じゃない……」


 よもやそんな言葉を現場で使うことになるとは、間も思わなかっただろう。


 賃貸マンションの一室、首と手首と足首と、首という首が逆方向に捻じ曲がった遺体を目の当たりにした衝撃は、流石のベテラン鎧のの裏にも強いこびりついたままだ。


「ま、刑事やってりゃこれくらいのことは一度や二度、な」


 その言葉が少しだけ強がりを含んでいることを、そこそこな付き合いの間はもう察し始めていた。

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