【】そ れ は そ れ こ れ は こ れ【】
『やあ。俺氏さん』
「ネオダイダロス君だね?」
『そうだよ』
「犯人と思しき人物から接触がありました。交渉に入ります」
「新商品のリリースが近づいているんだ。早急にシステムを復旧させてくれッ」
「落ち着いてください……。無闇に彼を刺激するのは得策ではありません」
『俺氏さん、そこに誰かいるの?』
「うん。公式のみなさんがいる」
『すぐに部屋から追い出して。無線なんかでも連絡は駄目だよ』
「なッ……。ここは総司令室だぞ、そんなことできる筈が」
「犯人から要求がありました。ここはできる限り呑んでください」
「し、しかし」
「室長」
「ふぅん……」
「クソカード専門のネゴシエーターか。貴様のプロファイリングは多少信頼してやってもよさそうだ」
「ありがとうございます。では」
「日付が変わるまであと3時間弱。それまでに交渉が纏まらなかった場合、この総司令室ごと爆破させて貰うぞ」
「それで構いません。兎に角、彼は俺氏を名指しで指名している。一対一の直接対決に持ち込まないと満⭐︎足してくれそうにない」
「居場所の逆探知できました。推定される座標はマリアナ海溝最奥、声紋を分析した結果推定年齢は2500万〜3000万歳前後だと思われます」
「本当に海竜神だという噂は確かみたいだね」
『そうだよ。まさか、俺氏さんまで僕を疑ってたの?』
「マスターデュエルのデッキ自動生成機能がジャックされてるんだ、これは君の仕業なのかな?」
『そうだよ』
「なんで、こんなことをしようと思ったのかな」
『俺氏さんなら、理解ってくれるでしょう?』
「……」
『僕は哀しかったよ俺氏さん……。なんであの時、僕をデッキから抜いてしまったの?』
『本当の意味でカードが死ぬ時……。それは誰にも使われなくなった時なんだ』
『貴方は罪を犯してしまった。殺人、殺カード、あるいはそれの未遂だね』
『これはそんな俺氏さんへの罰だよ。納得して貰えたかな?』
「さあ、それはどうかな」
「君にどんな崇高な理念があっても、こんなことを仕出かしている以上君は薄汚れた犯罪者だ。そんな奴の気持ちなんて理解りたくもないね」
『……』
「俺氏たちは平和と治安を護る正義。それに喧嘩を売ったことを後悔させてあげるよ」
『俺氏さん……。つまらない大人になってしまったんだね』
『ツー、ツー(電話の切れる音)』
「お、おい、犯人を挑発してどうするつもりだッ」
「いたんですか……。彼は部屋から出て行けという要望でしたが」
「通話中は退室している。それで問題ないだろう」
「しかし、皮肉なものですね……。デッキの自動生成機能、これは本来であればクソカードたちにも福音となるべき存在なのに」
「どんなクソカードでも、それだけぶち込んで残りのカードを埋めてやればそれなりの体裁は整う。ネオダイダロスでも試しました。ゴリゴリの現代海メタビに2枚の粗大ゴミを捻じ込んだだけのレシピが表示されました」
「通常ダイダロスって割と採用する選択肢もあるんですよ……。それだけじゃない、おじさんが歓喜するようなクラシック臭漂う型ならむしろ海デッキの花形としてネオダイダロスは採用される傾向にある」
「楽しい、強い、勝てる。この三本柱のバランスが成り立っていないとデッキとしては完成していないと思います。勿論、どんな対面での使用を想定しているかで構築の強度は様々ですが、乗り手とよく相談すればネオダイダロスさんも絶対に採用があり得ない札ではない、浪漫を味わえるエンジョイ枠として却って重宝される未来だってある」
「ネオダイダロス……。俺氏が少しでもガチを志向すれば抜けていくクソカードだ」
「海メタビを組むか……。いやでも、あの構築には浪漫がないというか、そもそもメタビは使いたくない」
「ふわんも組んだはいいけどデイリー消化できないから埃被ってるな……。気になるテーマは無数にあるけどな〜、気づいた頃には夢中になっているくらいの魅力がないとな〜、不完全燃焼に終わってしまう」
「暫くまた擦れるネタとしてはネオダイダロス単品だけだとパンチが弱いしなあ……。ベアルクティくらい構築の幅が広くて尚且つ新しくてそれでいてあまり強くない絶妙な温度感が欲しいんだよな」
「炎星、ワルキューレ、クリストロン、ゴヨウ、フレムベル、ペンギン、アクアアクトレス、魔人、ダイナレスラー、オーパーツ、森羅、レプティレス、紋章獣、サイガール、レイテンシ、おとぼけオポッサム、格闘ねずみチュー助、犬タウルス、幻影のゴラ亀、不死武士、ブライニグル、BF漆黒のエルフェン、スプリットDローズ、ミスケープバーバ、光子竜の聖騎士、ザトリッピングマーキュリー、幻奏の音姫ローリイットフランソワ、超装甲兵器ロボブラックアイアンG、ナイルの恵み、同姓同名同盟条約、水陸両用バグロス、破滅の魔王ガーランドルフ、リトマスの死の剣士、覇鍵甲虫マスターキービートル」
「岩石の精霊は岩石族じゃなくて魔法使い族だし……」
「これで一体どうやって戦えばいいんだ!!」
「」