【】き し か ん の あ る さ む ね【】
「ダイダロスは自身以外を全破壊するのに対してネオダイダロスは自身以外を全て墓地送り。対象に取らない、墓地送り、なので対象耐性や破壊耐性をすり抜け、ネオダイダロスさんは(自分の手札ごと)お相手を全ハンデス……。唯一、突破口を見出すならここしかないと俺氏は考えた」
「これは、未だかつて誰も試みたことがない高度な術式である。類例の症例が少ないというのもあるが、ネオダイダロスは盤面リセットができるが条件が重く、レベル7でそこそこ出すのが大変なダイダロス、そしてなにかしらの手段でサーチする必要のある海(アトランティスなど)を盤面に揃えたとしても、肝心の盤面リセットが有効なようなお相手の制圧盤面にはまず間違いなく万能無効が立っており、ネオダイダロスでなくともモンスター効果に頼り切った後攻捲りは現実的でなく、その上でネオダイダロスのような浪漫砲を当てにするのは絵に描いた虎を捕まえるような話だからである」
「先攻制圧の権化たるアポロウーサ(0歳〜32歳)や(バロネスなどの)万能無効持ちが並んだ盤面を返すには、妨害の要となるモンスターを壊獣やラヴァゴ、金玉で処理したり、拮抗勝負や冥王結界波、禁じられた一滴などの後攻捲り用のパワカをぶん投げたり、シンプルにサンボルや羽根帚を連打したりして、どうにかこうにかこちらの初動を通すことになるんだが……。例えば拮抗などが通った時点で相手の盤面は半壊しているので、そのあと盤面リセット効果をぶち当てるメリットはほぼないんだよね。アーゼウスみたいに相手の展開途中に好きなタイミングでリセットできる効果なら兎も角」
「ネオを出すような盤面なら勝ち確の状態だし、それくらい形勢が偏ってないと到底召喚しているような余裕のあるカードではない。クソカードにマジレスすんなしwwwと思われるかも知れないが、それでも遊星は言っていた……。全てのカードには望まれて存在するだけの価値がある。だからこそネオダイダロスさんには一度つらい現実を受け止めて貰い、なけなしの存在価値を徹底的に全否定する工程を踏みます」
「ネオは場のダイダロスをリリースした場合のみ特殊召喚できる。飽くまでもダイダロスのリリースが条件であり、召喚権は使わないので欲しい時にネオをサーチして、偶然たまたまダイダロスと海が揃っている場面で活用するという運用方法……。要らない。圧倒的に要らない。攻撃力の上昇幅は僅か300、火力要員としてだけならダイダロスのみで充分だし、何故か自分の手札まで刈り取るから二の矢、三の矢が放てなくなってしまう」
「ダイダロスでいい……。ダイダロスなら特殊召喚に縛りがない為墓地からも蘇生しやすく、最近のカードなら盤面リセットのコストとして墓地へ行った海も回収し易いし、辛うじてかつてのストラクのエッセンスを抽出してデュエルしようとしても、ダイダロスをそこそこ活躍されられた時点で満足できてしまうのは目に見えている……。そんな身近に上位互換とでも呼べるようなカードがあれば、余計にネオダイダロスさんの立場は危うくなってしまうし、そもそもダイダロスだって現代なら、いや現代でなくとも見劣りしてしまう性能」
「ダイダロスとの単純な比較でネオダイダロスの価値を見出すのは不可能だ……。なにか一つ、なにかたった一つでも個性があれば成仏できそうな気がするんだが、盤面リセットという個性は前座である筈のダイダロスに全て奪われてしまっている。手札を投げ捨てなくて済む分、再三申し上げたようにダイダロスの方に軍配が上がる。今回はですね、身元引受人であるダイダロスさんから治療の継続を打診されたんですが、他でもないダイダロスさん、貴方自身が彼の存在意義を半分くらい否定なさっているのですね」
「このままネオダイダロスさんにつらい治療を続けさせるのか、介錯だと思ってダイダロス一族郎党みんな纏めて首を括るのか……。病床は逼迫しています。水界隈にも治療を待っている患者が山程おり、近年は普段は別の業態に従事しながらも、本当に人手が足りずクソカードが溢れ返ってしまった場合のみ執刀する臨時的な医学会メンバーも増えていると聞きます。かなりブラックジャック的なグレーな存在ではありますがね……」
「ご家族とよく話し合ってください。幸い、ネオダイダロスさんはまだ人語を解す段階にはあります。一度環境を経験してしまったクソカード、即ち凋落した元王族の方々は始末に負えません。既に実戦環境においてはお荷物でしかないというのに、かつての栄光に縋っては権威をひけらかし、庶民たちを見下し我々医学会の治療にも非協力的です。ネオダイダロスさんは一度も活躍した経験がございませんので、当方の治療プランに沿って入院生活を送って頂けると助かります」
「環境デッキに1枚だけクソカードをぶち込んでみたり、配信・動画映えの為に無理矢理クソカードたちを救済しようという野良医学会を名乗る連中が増えています。しかしながら、本人の望まない形で治療をされたクソカードたちは本来は陥らずに済むような予後不良に苦しみ、歪な形で環境と戦わされるような悲惨な目に遭っています」
「我々は決して、ネオダイダロスさんをクソカードではないとは思いません。貴方はれっきとした誇り高きクソカードです。フリーマッチでも、ソロモードでも構いません。たった一度だけ、ネオダイダロスさんが他のどのカードにも似ていない個性を発揮し、スタジアムを自分の足で一周する姿を拝めたのなら、ダイダロスさんをはじめ親戚一同、ご納得頂けるのではないでしょうか」
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