表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1285/1676

【】ど ら む し き せ ん た く き【】

「決勝」


「神碑vsエクゾディア」


「準々決勝ではスネークアイ型アンチホープを握っていたンドゥルッシホランテ選手ですが、優勝候補だったメイビースロットランド選手、四天海宝寺竜善選手を次々と撃破して決勝の舞台まで駆け上がってきたシンデレラガールだ。二人の想いを継いで闇晦ましビートを搭載した烙印エクゾディアを最後の戦いに選んだンドゥルッシホランテ選手ですが、エクゾディアを使うということは王朝の次期皇帝としての覚悟の表れだという説もあります」


「対するトラッシュ・バーミッション・ジャックエンド選手はSSS級犯罪者集団であるパラメギアの四人衆の一角を担う人物ですが、大会主催者の特別な意向によって大会へと参加。スラム街出身の彼にはレアカードハンターによって母親と弟を殺害された過去があり、腐った社会に制裁を下す為にパラメギアへと入団。中でもTOP4と呼ばれるパラメギアの四人衆たちはデュエルディスクの演算システムを脳内に直接移植しており、デュエル中に因果律を超越した権能を用いて対戦相手を圧倒することができます」


「ジャックエンド選手に付与された権能は、親殺しのディレンマ(パラドクス・トリリシリカルス)」


「その内容は簡潔で、神碑の効果によってデッキ諸共相手の記憶を除外状態へと抹消することができます。エクゾディアは全てが制限パーツ。神碑で1枚でも飛ばされると窮地に立たされる上、まだ若いンドゥルッシホランテ選手には輝かしい過去が満載されており、それらを削ることで精神的アドバンテージを得ようというのがジャックエンド選手の考えです」


「しかし、その戦法には裏目がありました。ンドゥルッシホランテ選手は迩迩々冽派の総本山であり四天海宝寺選手の生家でもある雲簒閣での準決勝にて、四天海宝寺選手から託されたディアン・ケトの啓示によって皇帝として完全に覚醒。歴代ファラオたちの記憶を全て観覧した彼女にとって、ジャックエンド選手の権能に削られる記憶など人類史におけるほんの一端に過ぎないのです」


「途端、決勝の舞台となるメウロスピテル火山が鳴動を始めました。自然の在り方に反するジャックエンド選手の権能に怒りを露わにし始めたのです。これには観客、取材クルー一同は避難を余儀なくされましたが、ンドゥルッシホランテ選手は毅然とした態度でその場に残ります。同級生のホン・シュアン選手(予選敗退)の証言によると、度重なる死線によって彼女には円熟さを兼ね備えた泰然自若なオーラが備わっており、安心して戦場に送り出すことができた……。とのことです」


「よって、これからは意識不明の重体でメウロスピテル火山から搬出されたジャックエンド選手の脳内に埋め込まれたデュエルディスクに記録された映像から、デュエルの光景らしき僅かな情報を書き記そうと思う……」


「と、筆を走らせた瞬間、筆者の脳内に不可解なヴィジョンと声が木霊する。ンドゥルッシホランテ選手はフラクタルの五芒星を宿したゼロタクティクス・チルドレンの末裔でもあり、歴代ファラオと神代漣子という稀代の奇術師たち双方の血を引く彼女は、パラメギアの権能をも凌ぐ超自然的なパワーを使役することができるのだろう」


「命の危険を感じ、これ以上の取材・執筆は断念せざるを得なくなった。古代エジプトにおけるデュエルとは文字通り神聖な儀式であり、興味本位で野次馬することは許されない。ジャックエンド選手の肉体に目立った外傷はなく、二週間後に意識が戻ったようだが、メウロスピテル火山での記憶は全く覚えていないということでした」


「ンドゥルッシホランテ選手は帰国後も普通の女子高生としての日々を送っています。これを機にジャックエンド選手はパラメギアの四人衆を脱退。メイビースロットランド選手が主催するデュエルの後遺症に悩む人々の寄り合いに加わり、更生の道を探っていくことになります」


「この数日間、夢見心地なような、生きた心地がしないような不思議な感覚で筆を執っていた。数々の超常現象を目撃したように思う」


「立ち返って、筆者は己の置かれた平和な日常に身震いする程の感謝を覚えた。愛犬と戯れ、ピーナッツバターを嘗める。オーディション番組はくだらないが、意味不明な脅威に晒されるよりは余程いい」


「選手たちは帰国した。それぞれの日々、それぞれの人生に幸多からんことを祈念し、この記事を閉じようと思う」


「fin.」


「(ここで流れ始めるクソ長いエンドロール)」


「」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ