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【】し ゃ く な げ【】

「激戦が続いていますが、これは書かねばなるまいという名勝負があったのでピックアップ」


「ホープvsスネークアイ。ホープを操るのは溶接業を営みながら古代神官の扱っていた宝具たちを奉る人間国宝並みの技能と権限を有するホプキンス・シャーロット・メイビースロットランド選手。休日は大学時代の仲間と集まり、宇宙の広がりとデスク・トップ・ミュージック(DTM)の文化的多様性について議論しながらデッキの調整を続けてきたようです」


「対するスネークアイを駆るのは、イシュトゥントゥ王朝の次期皇帝でありシャーマッハラーラ語の第一人者でもあるセクメトン・ンドゥルッシホランテ選手。人間年齢に換算すると現役の女子高生であるらしく、休日はクラスの友達と遊びに出かけたりと年相応の可愛らしさを見せてくれる決闘者です」


「ホープは手始めに闇晦ましの城を展開して防御を固める陣形。これは北アメリカにおける地区予選の一部でよく見られた戦法ですね。スネークアイの永続魔法化は蛇に睨まれて石化する的なアレをモチーフにしていると思われますが、そもそも岩石である岩石の巨兵には効果が通じません。スネークアイ対策は万全という感じですが、ここはすかさずポプルス、エクセル、オーク、ワイトバーチを素材にして墓地からアンチホープが降臨。ATK5000というのは現環境のフィニッシャーとしてはトップクラスだと言われています」


「アンチホープの登場によって世界は絶望に覆われ、将来を悲観した投資家たちが持ち株を放り投げたことによって世界市場の株価は乱高下。このデュエルの結末に経済界が注目するという異様な雰囲気を呈してきました。しかし、ここでホープが動きます。フィールドに並んだ2体の翻弄するエルフの剣士でオーバーレイ、希望皇ホープの爆誕です。翻弄するエルフの剣士は戦闘破壊されにくいのでX召喚に繋げるには最適なモンスター。ホープが齎す未来を掴み取ろうとする希望の波動がアンチホープの絶望とぶつかり合い、物理的な衝撃波となって横にいた闇晦ましの城に襲い掛かります」


「ここで信じがたいことが起きました。その衝撃波によって闇晦ましの城を覆う浮遊リングが破壊され始めたのです」


「まさかの事態に実況解説席も混乱。スネークアイを使うンドゥルッシホランテ選手は混乱のあまりデュエルディスクの電源を落とし、これによってアンチホープたちは支配下を逃れていよいよ収拾がつかなくなってきました。補足ですが、闇晦ましの城の落下はルールの一部として処理されるのでシルウィアでも無効化できません。カオス・シールドのフィールド・パワーソースによって観客たちは会場から退避することができず、このまま蛇眼神殿に闇晦ましの城が落下すればその場にいる全員が破壊されて人類の敗北が決定してしまいます」


「絶体絶命の大ピンチ。ですが、ホープを使うメイビースロットランド選手は冷静でした。彼はボーイスカウトの時代に鉢合わせした某国のテロリスト集団を徒手空拳で鎮めた過去があります。まずは手札にある死者蘇生をプレイ。衝撃波を浴びて木っ端微塵に砕け散っていた岩石の巨兵を蘇生し、それを足場として落下してくる闇晦ましの城に自ら突撃しようという魂胆です」


「これには対戦相手である筈のンドゥルッシホランテ選手も声をあげて制止します。しかし、メイビースロットランド選手には勝算がありました。彼は右腕の腕時計を眺める……」


「そう。時間という限界があったのさ」


「当然ながら、ある程度ちゃんとした場でのデュエルでは制限時間があります。メイビースロットランド選手は大立ち回りを演じることで観衆たちの視線を惹き、自らがタイムアウトによって敗北するまでの時間を稼いでいたのです」


「ゲームシステムによって、デュエルが終了した為に2体のホープと闇晦ましの城は消滅しました。会場の付近には事態を聞きつけた特殊部隊やマスメディア、選手や観客たちの家族などが詰めかけており、カオス・シールドから解放された人々は生きていることの奇跡を噛み締めながら互いにひしと抱き合います」


「茫然自失とするンドゥルッシホランテ選手。そこに握手を求めたのはメイビースロットランド選手でした。自分に準決勝へ進む資格はない……。そう言って落ち込むンドゥルッシホランテ選手でしたが、勝者とは敗者の想いを継いで強くなるもの。イシュトゥントゥ王朝の次期皇帝として、人間としての強さを得る為にもこれはとてもいい機会だったのかも知れませんね」


???「ふん……。メイビースロットランド。あの溶接工には予想以上の働きをして貰ったよ」


???「でも大丈夫なの?騒ぎが大きくなれば連中も私たちの存在を嗅ぎつけるかも」


???「問題ない……。神の啓示に従って対処するまでだ」


???「キヒヒッ……。面白くなってきたぜェ!!」


「」

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