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【】も と く ろ す ば い く【】

『記録』


『2024/06/07』


『ようやく、長い戦いが終わった……。我々は己の生命、権利を護る為に、一方的に武力を放棄することは許されない。MD運営からメンテナンスのお知らせがある時。それは、我々MDプレイヤーにとって暫しの休息が齎されることを意味する……』


『久々に吸った故郷の空気は新鮮で、懐かしさの中にも確かな変化が感じられた……。変わっていくもの。変わらないもの。ただ、戦いから解放された俺氏の肉体にはその全てが心地良く、果て無き砂漠を彷徨い歩く旅人の前に現れたオアシス。まさにその心持ちだった……』


『だが、その安息は長くは続かなかった。数時間後……。メンテナンス終了の時刻だ』


『俺氏はもう、引退したい……。かつての同僚も語っていた。運営は報酬という名の甘い果実を天からぶら下げ、俺氏たちはそれに群がる哀れな虫螻に過ぎないのだと……。確かに、ふとした瞬間、我々決闘者がそのような感覚に陥る時はある……』


『家族との時間……。穏やかな休息。栄華よりも大切なものがあるのではないか?』


『俺氏は故郷の知り合いを渡り歩いた。戦地にしか居場所がない俺氏を引き受けてくれる相手はいないだろうか……。それとも、このまま決闘者としての立場を維持した方が身の為なのだろうか』


『いや……。もう時間がない。俺氏は戦いの日々について考えるのをやめ、残り僅かな余暇を堪能すべきだと思った』


『友人たちは変わらず俺氏に接してくれた。ああ……。なんと心安らぐ時間だろうか。彼らは血で血を洗うMD環境など知らず、穏やかな生活を送って欲しい……。銃後の民の平穏。それが前線で戦う我々へのせめてもの慰めになるのだから』


『友人には子供ができたらしい』


『その少年は、嬉々とした表情でエルドリッチのデッキを握り……』


『ぼきゅもおじさんみたいな決闘者になる!!』


『そう笑っていた』


『俺氏は……。その時……』


『なんて言葉を返していいのか、なにも理解らなかった』


「」

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