【】ば っ き ん が む き ゅ う で ん【】
「感謝」
「この出会いに」
「感謝」
「なんだ、お前は……」
「待て。男梅よ」
「こいつ、どこかで見覚えが」
「私は、ありがとウサギ」
「「……ッ!!」」
「道理で」
「合点がいったよ」
「幸福とは、感謝から生まれるのです」
「空に」
「海に」
「大地に」
「星に」
「そして、貴方へ」
「楽天カードマン!!」
「くっ」
「なんだ、このワニは。どこから湧いた」
「楽天カードの残高を増やしておかなければ、危なかった……」
「式神か?」
「ええ」
「よく、防ぎましたね」
「懐かしいわね。そのCM」
「電子さんっ」
「生きていたのか」
「なんとかね。ただ、もう戦えないわよ」
「何者なんだ、彼は」
「ありがとウサギ……」
「暫くぶりじゃない。ちょっと太った?」
「この再会に、感謝を」
「二人とも、聞いて」
「彼の式神はさっきのワニだけじゃない」
「こんにちワン、おはよウナギ、さよなライオン、ごめんなサイ……。サイズも属性も様々な動物を操ってこちらを削りにくる」
「なにより厄介なのは、その手数の多さ」
「私たちも、それなりに消耗してはいるが……」
「凌ぎ切るしかないだろう、男梅よ」
「みなさんは、感謝していますか?」
「蛇口を捻れば水が出て、ボタンを押せば電気が点く」
「噛み締めるお米の一粒一粒」
「我々が存在していること。有限な命の有難み」
「ありがとう」
「その短い言葉には、めくるめく森羅万象を言祝ぐ力がある」
「奴のBANオーラが、上昇していく……」
「ありがとウサギは特異体質でね。感謝を感じれば感じる程、能力が向上していくの」
「感謝とは喜びであり、喜びとは出会い」
「一人より、二人」
「二人より、三人」
「苦しみを分け合えば半減しますが、楽しさなら倍増しちゃうのです」
「嗚呼……。私は、この国の苦しみの只中で産み落とされました」
「しかし、私はこの世界を恨んでなどいません」
「憎んでなどいません」
「呪ったこともない」
「あるのはただ、感謝」
「感謝感謝感謝」
「感謝ですよ。この命へ」
「退がっていろ、電子さん!!」
「言われなくても、そのつもり」
「あの時代には、俺の広告も流せなかっただろうな……」
「彼は、殺した相手を式神として封じ込める」
「あれから干支が一巡する程の時が経った」
「ありがとウサギの戦闘力は、私たちの知るそれとは桁が違う」
「楽しい」
「仲間が」
「来るぞっ!!」
「ぽぽぽぽ〜ん!!」
『ずにゅううううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
「ヒャハッッッ」
「え……?」
「?」
「誰ですか、貴方は」
「フゥン……」
「フゥ」
「フゥ」
「……」
「……」
「ハァ?」
「私の式神が、一瞬で掻き消された」
「そして、胸の奥底から湧き出るこの衝動。久しくなかった魂の高鳴り」
「これは、恐怖ですか」
「なにが起こった」
「楽天カードマン」
「あれは、斬撃……。だよな?」
「あのウサギは、ありがとウサギが使役している式神ではないのか?」
「トトロとも対等以上に渡り合っていた」
「そう見えるけど、違うそうね」
「彼が、自分と同じモチーフの式神を生み出すとは思えない」
「埒外からの刺客……。だが、助かった。彼の介入がなければ、私たちは式神に喰らい尽くされていただろう」
「味方……。なんだよな」
「……」
「……」
「プル」
「「「「……ッ!?」」」」
「ウリィィィ!!」
「ぽぽぽぽ〜ん!!」
『ザゾメチョオォ!!(肉を刻む音)』
「式神をクッションにしていなければ、首を刎ねられていた……」
「やりますね、貴方」
「ハァ?」
「私はいま、極上の喜びを覚えています」
「万人の願いは幸福であることです。万人の願いである以上、我々は一人残らず、少しも余さず幸福でなければならない」
「毎分毎秒」
「二十四時間」
「三百六十五日」
「そして、万人の終点である死はハッピーエンドでなければならない」
「感謝ですよ、感謝」
「感謝がそれを可能にする。私の死も。貴方の死も」
「フゥン……」
「フゥ」
「フゥ」
「……」
「……」
「ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
「全ての生命に、感謝」
「全ての死に、感謝」
「強敵との出会いに……。感謝」
『ザシュッッッ(首を刎ねる音)』
「雪だるま作ろ〜」
「ドアを開けて〜」
「なんて……」
「無様な有様ね。アリエル」
「エルサっ」
「なんの用よ。嗤いに来たなら殺すわよ」
「その怪我で、よく去勢が吐けるわね……」
「氷、氷は任せろ」
「おいらが溶かしてやる」
『カルシファー……』
「ミクさんは休んでいてください」
『キッコロ君』
「貴女の水流を凍らせて、氷の礫を彼らに降らせましょう」
「面白い光景になるわ」
「共闘するっての?プリンセス同士が?」
「あり得ない……」
「浦安がスポンジ・ボブに占拠された」
「!?」
「理解ってるでしょ。本国と浦安は仲が悪い。勿論、上海ともね」
「はいはい……。めんどくせ」
『なにか来るよ、キッコロ君』
「スタジアム周辺の木々は、トトロとの戦闘で滅茶苦茶だ……」
「ただ、僕の生命エネルギーを流し込めば回復する」
『でも、そんなことをしたら』
「いいんです。これが、僕の役目だから」
「ごめん。お爺ちゃん」
「大阪万博は、生きて見られそうにないや……」
「大好きな祖父の元へ送ってあげるわ」
「アリエル」
「命令すんな」
『ずにゅうううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
「ここは公衆便所ですか?」
「ゲロ以下の臭いがします」
「!?」
「誰。この子」
「知らない。最近の子じゃない?」
『あの子は……』
「揃いも揃って、酷い面ですね」
「子宮からやり直したらどうですか?」
『チノちゃん……!?』
「気安く呼ばないでくださいよ。年増が感染る」