表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/1668

伏線回収拒否

 【戒めの里】の荒屋あばらやで、みかどつぐみは作戦会議を行なっていた。


 誰よりも強欲に、世界を不可解バッドエンドから救済する為の、


 【原稿添削オールデリート】。


いおりすばるみやびよろいあいだわだちつくだくりや調しらべたまきまんじやからさかききずなひだりちまたあずまふもとくぬぎ……。既にこの連載、【異世界夭逝】に登場し、現実世界の住人にも関わらず、非業の死が確定している奴らだ」


「え」


 鶫は、まん丸い瞳をぱちくりさせる。


「決まってるんですか」


「ていうか……。俺とお前も含め、【異世界夭逝】の登場人物は全員、老衰以外で死ぬって決まってんだよ」 


「そんな無茶なっ」


「だから、俺はその機密事項ネタバレには従わない。全員を【倫理委員会マザーファッカー】の一員して、【多次元移動教室バタフライエフェクト】で回収して回るんだ」


「でも、機密事項によると、この人たち、中学生とか社会人も交ざってますよ?ガタコーの二年生、七十二人がこの世界に転移してるんですよね?」


「全員が、同じ機会タイミングでガタコーに在籍していたとは限らない」


「と、というと」


「現在、過去、未来……。人生の、いずれかの機会にガタコーの二年クラスに籍を置いていた人間が、この【異世界夭逝】の物語ストーリーに巻き込まれてるんだよ」


 パワー系ヒロインの鶫は、当然、頭を抱える。


「どういうことですか……」


「たとえば、椚なんかは同級生の中学生を刺し殺し、【原稿添削】の機能によって存在ごと抹消された」


「は、はあ」


「だが、俺は【原稿添削】をクレアさんから継承した段階で、少し仕様を変えさせてもらった。要するに、この連載に登場した現実世界の人間、全員、無理矢理にでもガタコーの生徒にして、生き延びさせようって魂胆なんだよ」


「遠大な野望ですね」


「ワンチャン、七十二人じゃ済まないかもな」


 でも、それでいいんだ。


「人助けほど、脳汁が出る遊びはない」


 味の抜けたチューイングガムと呼ばれようと、どれだけネタが枯渇しようと、


 同業者をどれだけ、いじり倒そうと、


 それで飽きられようと、


 結婚もして、子供もできて、人生でできそうな楽しそうなこと、粗方、クリアしたとしても、


 この連載が続く限り、もしかしたら、


 未だに【異世界夭逝】を知らない誰かに、たまたまこの物語と言葉が届いて、


 そして、それが希望になって、生きる理由を創造するかも知れないのだ。


 そう考えたら、興奮するだろ?


「勃起してきたな……」


「え」


 緻密なプロットにも、綺麗な伏線回収にも、


 俺は興味がないんだ。


 現実を、変えたい。


「気に喰わねえもんは、気に喰わねえ」


 言葉より、拳で。


 団長だろうが、黒幕だろうが、道化だろうが、流星だろうが、


 もう、関係ねえ。


「俺たちは、【戯言師イノベーター】だ」


 清濁、全てを併せ呑んで、未来を切り拓く。


「帝さん」


「なんだ?」


「私たち、夫婦ですよね」


「お、おう。そうだょ」


「対等な関係ですよね」


「もちろん」


「【倫理委員会】の指導者リーダーは、私に任せてもらってもいいですか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ