【】く れ せ りあ【】
「どうして、僕が劇場版に呼ばれないか知っているかい?」
「出来過ぎるからだよ」
『ジャキィィィンッ!!』
「秘密道具の相手は初めてかい?」
「名刀……。電光丸」
「出来杉の奴、本気だ」
「だけど」
「ふむふむ」
「そこら辺、足元が悪いから注意して欲しいだなも」
「……ッ!?」
「なにもなかった筈の地面に、巨大な穴が!?」
「落とし穴の種かっ」
「あのたぬきちとかいう狸親父……」
「アレも、かなりのやり手だね」
「理解るの?まるちゃん」
「あたしゃ、友蔵の付き添いで数々の修羅場を潜ってるからね」
「あの狸親父は、余裕をかましながら出来杉の動きを探ってる」
「タケコプター」
「知ってるよね?僕が滞空できること」
「落とし穴なんて、意味ないよ」
「家具を木の葉にして持ち歩くアイデア。あれは僕が考案したものだけど……」
「それを実用化させた人物と、四次元ポケットの開発者は同じなんだなも」
「え?」
「どういうことだってばよ」
「まさか」
「阿笠博士が……ッ!?」
「それ以上は、お口ミッフィーちゃんでお願いね?」
「キティちゃん」
「野比君には及ばないけど、ロングレンジの攻撃手段も必要だよね」
「空気砲」
「金のスコップ」
「弾いたッ!?」
「あいつ、金の道具シリーズも網羅しているのか?」
「たぬきち様は、あらゆる村と島の実権を裏から支配していると言われています……」
「電ボ」
「恐らく、手下に魚や虫を乱獲させ、金の道具シリーズを集めさせたのでしょう」
「金の斧」
「出た!!どう森で一番殺傷能力が高い道具!!」
「住人には効かないけどな」
「ひらりマント」
「通り抜けフープ」
『ずにゅうううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
「背後を取ったッ」
「意味ないだなも」
「落とし穴の種を空中でぶつけ合わせれば、虚空に存在しない筈の時空が生まれる」
「なるほどね」
「電光丸の斬撃は自動追尾……。それを難なくいなしているのは、たぬきち様が道具頼みの戦闘スタイルではないことを示唆しています」
「君、デデデ大王にいくら積んだんだい?」
「なんの話だなも?」
「プププランドでは、一昨年の大飢饉で大勢の死者が出ている」
「大王が打ち出した鎖国政策がその一因とする見方も多い……。このままでは、彼の支持率は右肩下がりだ」
「ビンドゥンドゥンは、阿片窟を利用した貿易で暴利を貪っている」
「このままUSJとオリエンタルランドが激突すれば、国内の混乱をついてビンドゥンドゥンは確実に動くよ」
「そうなれば、この国は終わりだ。それが理解らない君じゃあないだろう?」
「たぬきち君」
「オリエンタルランドの力の源」
「それはひとえに、王都に近いという地政学的要因に過ぎない」
「名前に、東京って付いてるもんなあ……」
「関東と関西」
「オリエンタルランドとUSJが東西の両雄として並び立つことで、はじめて権力のバランスが保たれているんだなも」
「そうだよ。僕たちが避けなくちゃいけないのは、オリエンタルランドとの全面戦争。それは双方にとって利が無い」
「外敵の侵略を受ける前に、内乱で自滅……。よくある話だなもねえ」
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「トトロに動きが」
「馬鹿な。ミクさんが戦ってる筈だろ?」
「いや……。それが」
「なにかよく理解らない闖入者が」
「チン入者?」
「なんだよ、ありゃあ」
「僕たち以上のフィジカルだね、兄さん……」
「フゥン……」
「フゥ」
『ヴ』
『ヴオオ』
『ヴ……?』
「ヒャハッッッ」
「!?」
「トトロの」
「手首が、落とされた」
『ヴッ』
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「フゥン……」
「まずいですよ、元太君」
「早く、灰原さんたちにも知らせないと」
「俺、馬鹿だからよく理解んねえけどよお」
「こいつら全員倒せば、ちったあ世の中もマシになるんじゃあねえか?」
「元太君ッ!?」
「おいおい、プー」
「こいつはなんの冗談だ?」
「俺たちは子供に夢を見せるのが仕事。そうだろう?」
「それなのに、こんなガキどもを処分しなきゃならねえとはな……」
「ハハッ⤴︎」
「どんなテロリストも殺人鬼も、昔は無垢な子供だったんだよ」
「夢の国へようこそ」