【】ち ょこ り えーる【】
「今日は、俺氏の誕生日LIVEに集まってくれてありがとーッ!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!(鬨の声)』
「俺氏がデビューしてから、本当に多くのことがありました」
「プロデューサーは児ポ、マネージャーは大麻で逮捕、事務所には火炎瓶が投げ込まれ、はじめは四人いた同期メンバーも、一人が大物芸能人Xとの不倫疑惑、一人が酔った勢いで後輩数人を半殺しにし、一人が反政府組織にヘッドハンティング、一人がスピリチュアルに目覚め全宇宙を統べる神的なアレになる為に脱退、ストーカー同士がバッティングしたと見られる殺傷事件も数件あり、俺氏宛てに届いた殺害予告を合算するとFGOの文字数を超えるそうです」
「しかし」
「俺氏は、アイドルとして一番大切なことを忘れていません」
「俺氏は……。童貞です!!」
『やれー!!(野次)』
『殺せー!!(同上)』
「決して、YAGOOのケツは舐めていないとここに誓います」
「でも、どうせヤリチンなんでしょう?」
「アイドルとかやってる時点で、学生時代からモテまくりの勝ち組じゃんね……」
「俺たちとは違う世界の人間だよ。帰ろーぜ」
「待ちなさい」
「この会場には、観客が一定数を下回ると爆発する爆弾が仕掛けられています」
「……ッ!?」
「我々がアイドルを観測する時、我々もまた、アイドルなのです」
「そう」
「たとえ俺氏が童貞を失ったとしても、俺氏が童貞たちの憧れである限り」
「俺氏は永遠に、童貞なのだ……」
「よく言った!!」
「それでこそ俺たちの俺氏だ!!」
『やんややんや やんややんや』
「静粛に」
「俺氏には、一家言アリ〼」
「それは、清楚と無垢は別物ということです」
「ッ!?」
「駄目だよ俺氏、それ以上は」
【死ぬ気か】
「お前らは、退がっててくれ」
「俺氏……」
【信じて待てよ。かなたそ】
【俺たちが築いてきた絆は、金剛石よりも固い】
【そうだろ?】
「いや……。別に」
「無垢とは、まだ性的な知識に乏しい状態を指す言葉なのです」
「穢れを知らない……。本当にまだ、肉体が第二次性徴を迎えるかどうかとか、なんかそこら辺の時期までしか通じない概念です」
「だが、清楚は違う」
「清楚とは、数多ある性癖の中の一つに過ぎません。性癖である限り、清楚な女でなければ勃たない男が一定数存在することの証左です」
「つまり、清楚は飽くまで属性の一つであって、清楚=NOTスケベではないということ?(二重否定)」
「理解ってるじゃないか」
「これは、界隈で限りなく清楚寄りに位置する俺氏が声を上げなければいけないことだと思いました……」
「そうなのか?」
【俺氏は清楚……。これは大辞林にも載ってる】
「広辞苑には?」
【広辞苑には載ってない】
「俺氏は、年明けに渡米して武者修行を積みたいと思います」
「帰ってくるのは、早くとも四半世紀後になるでしょう」
『えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?』
「おちんついてください」
「俺氏は、アメリカの拠点から引き続き活動を行います。時差はあるけど……。アーカイブもあるし、寂しくないでしょ?」
「それでは聴いてください。これが、日本にいる間に発表する最後のオリ曲になります」
「合法!!ショタ神☆オラトリオ」
「好きになあーって……」
「今年も、もう終わりだね」
【早えなあ】
「観たかよ、SPY×FAMILYの映画。最終的にアーニャが爆発して終わるらしいぜ」
【マジかよ。すげえネタバレ喰らったわ】
「ねえ……。ずーはー、かなたそ」
【あん?】
「なにさ」
「こうして歩いてると、俺氏たち……」
「なんて、なんでもない」
【なんだよ】
「変な奴。元からだけど」
「な、なんでもないってッ」
「それより、今日は……」
『ずにゅうううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
『ラキッ』
「あ。ラッキーだ」
「可愛い〜」
【経験値じゃん。狩ろうぜ】
「ッッッ!?」
「このラッキー、どこかおかしい……」
「え?」
『ラキッ?』
【見た感じ、どこにでもいるラッキーだが……】
【色違い、ってワケでもないだろ】
「そ、そうだよな」
「俺氏の、勘違いだといいけど……」
「そんなに心配ならゲットしとけば?ハイパーボールでいけるよ、多分」
【えー、狩らないのかよ】
『ラキッ』
「あ、ああ」
「本当に、今年はあっという間だったな……」