【】べ りーべりー すとろべ りー【】
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「押されている……。これだけの人数で戦っているのに」
『ぴかぴ』
『ぴか、ぴいかあ!!』
「そうだね。兎に角、電子さんが超電磁砲を放つ為の隙をなにがなんでも生み出すんだ」
「考えてみれば簡単な話だよ……」
「ジブリが、そう易々と陥落する筈がない」
「それはそう」
「にしても、この感じ」
「なにか妙だぜ」
「マリオさん」
「僕と兄さんの残機は、既に50を下回ってる……」
「あの土地神は、闇雲に吠えているんじゃあないよ」
「?」
「出来杉」
「うん」
「彼の咆哮には、指向性があるね」
「接近してくる危険度の高い相手から、順番に音の塊をぶつけているんだ」
「そ、そうか」
「だから、ブラザーズが二人がかりでも突破できないのか」
「っぴ〜?」
「ならば」
「こちらも、もう一枚のカードを切るまでなのだ」
『ずにゅううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
『みなさん、はじめまして』
『初音ミク、です』
「初音ミクだ!!本物だ!!」
「しかも、雪祭り衣装……」
「勝てる……。勝てるぞッ!?」
『ずんだもん。東北のみんなは元気?』
「ミクさん……」
「その話題は、僕に振らないで欲しいのだ」
「考えたね」
「音楽を極めし者とは即ち、空気の振動を極めし者」
「彼が咆哮という形でこちらを追い詰めるなら、それを超える音の束で反撃すればいい」
「その段において、ミク君以上の適材はいないよ」
『私に任せて』
「ミクさんっ」
『ヴ……?』
『ヴ、ヴオオ』
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「トトロのヘイトがミクさんに移った」
「彼女を、他でもない最大の脅威と見做したんだね」
「くっ」
「キッコロさん」
「トトロを足止めしておくのも、もう限界だ……。マックライオンの二の舞になる前に、ミクさんに任せて撤退するんだ」
「す、すごい」
「ミクさんの歌唱が、本当にトトロの咆哮を打ち消してる……」
「っぴ〜」
「あれが、僕らの始祖」
「初音ミク。その人なのだ」
「……。すあん」
「え?」
「は」
「はむたろすあん……」
「こ、こうし君!?」
「何故……。まさか、トトロとの戦闘に巻き込まれたのだ?」
「は、はむたろすあん……」
「暗くて、なにも見えないんです……。それに、とても寒い」
「僕は、これからどうなってしまうのでしょう」
「はむたろすああん……」
「こうし君」
「もう、目が……」
「手を、握っていてください」
「はむたろすあん」
「残念だけど、僕ははむたろさんじゃ……」
「……」
「へけっ☆」
「……ッ!!」
「どうしたのだ?こうし君。転んじゃったのだ?」
「は、はは」
「はむたろすあああん」
「はむたろさんの手、あったかいですあ……」
「怖がらなくていいのだ、こうし君」
「向こうで、きっとみんな待っているのだ」
「リボンちゃん、タイショー君、なんか、こう……。沢山のフレンズが、こうし君を待っているのだ」
「は、はむたろさんは?」
「はむたろさんは、来てくれないのですか」
「僕は、まだ逝けないのだ」
「だから、先に行って待っていて欲しいのだ」
「この結末を……。見届けて欲しいのだ」
「わかりました」
「はむたろすあああああん……」
「……」
「……」
「妖精」
「っぴ〜?」
「この戦い」
「勝つぞ」
「っぴ〜」
「言われなくても、そのつもりだっぴ〜!!」
「まずいね」
「出来杉」
「ここに来て、僕らに回復系のメン限秘技の使い手がいないことが痛手になってきた」
「それがあれば、こうし君もこんな目には……」
「いや、焦らないで」
「こうし君は昏睡状態だ。まだなんとか息はある」
「……ッ!!」
「出来杉様」
「電ボ君」
「百里基地に到着予定だった米軍の輸送機が、突如として消息を絶ち……」
「そこに乗っていた、デーモンコア様も同様の顛末を辿っています」
「なっ」
「デーモンコア君!?」
「何故、そんな忌み物を日本へ……」
「ムーミン谷を忘れたのかい!?」
「みんな、落ち着いて。まずはこうし君の命を繋ぎ止めることが先決だよ」
「でも、どうやって」
「こちらには、最上の名医がいる」
「ま、まさか」
「それって」
「人呼んで、歩く万能薬」
「おい、お前」
「そんな二つ名で呼んで……」
「褒められたって、別に嬉しくねーぞ、このやろー!!」
「いやはや、お待たせしてしまって申し訳ない」
「大王様」
「ふん」
「儂をそんな仰々しい肩書きで呼ぶでないぞい」
「たぬきち商会の元締め……。たぬきちよ」
「いやー、僕もやることが多くてさ。初めは商売人だったのに、いつの間にか市政の中核を担うようになっちゃった」
「実店舗は子分たちに任せてあるけど……。金の亡者だなんだの言われて、こっちはいい迷惑だなも」
「御託はいい」
「ここにいるプププランドの住人、纏めていくらだ?」
「ふむ」
「僕の商品になる以上、顧客からケチをつけられるような住人は要らないだなもね」
「うーん……。ほうほう、なるほど」
「僕も、ベルのなる木をみすみす見逃すほど目が濁ってはいないだなも」
「次期大王選。僕が取り計らえばいいだなもね?」
「話が早くて助かるぞい」
「大王は市民あってのもの。市民は大王あってのもの」
「プププランドの土地と命は、全て儂の所有物ぞい」
「信用していいんだな?」
「狸」
「勿論だなも」
「大王様が僕の味方である限りは……。僕も大王様の味方であると、約束するだなも」