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【】ほい こ ーろ ー【】

「マヂ病み……。つらたみフォーエバー」


【和雁箕我深芳(1527〜1565)】


「どうしたのさ、二人とも」


「いつもはクソみたいな会話しかしてないのに」


「かなたそ。生まれも育ちもクソ陰キャなお前には理解らないと思うが、俺氏たち陽キャは寒さに弱い傾向にあるんだ」


「そうなの!?」


「そうそう。千空もそう言ってた」


【千空が言ってたなら、間違いねえな】


「とはいえ、十二月は年末進行でイベントも多いし俺氏の誕生日もあるしで、冬の中でも比較的陽キャが活動しやすい期間だろ?」


「いや、知らんが」


【陰キャにとって陰のオーラを吐き出す場所が必要なように、陽キャも陽キャ特有の陽キャノリを発揮できないと体調を崩しがちになる傾向があるんだよ】


「そうなんだ……」


「で、一年を通して陽キャが最も陽キャで在り続けるのが困難とされているのが、晩秋から初冬にかけたこの季節なんだ」


「ハロウィンとかあるじゃん。あれは陽キャの象徴だろ?」


【逆に考えるんだ。陽キャが無理して陽キャノリを演出しなくてはいけなくなっている時点で、その陽キャは相当に追い詰められていると】


「つまり、ハロウィンで渋谷に集まってウェーイ、みたいなノリを陽キャだと認識しているのは完全に対岸の火事であるお前みたいなクソ陰キャか、陽キャになりたい微陰キャ〜微陽キャくらいのキョロ充大学デビュー組くらいなんだよな」


【正真正銘の陽キャってのは意識せずとも陽の流れを作ってしまうから、わざわざ陽キャっぽいイベントに出向く必要がないからな】


「クソ陽キャは意図せずとも周囲を明るく照らし、活気づけてしまうが故に、時としてその陽キャの圧で微陰キャ〜微陽キャたちを傷つけてしまう」


【一方で、クソ陰キャはあまりにもクソ陰キャであるが故に、クソ陽キャが側に寄ってきてもその明るさに灼かれることはない】


「むしろ、有り余ったクソ陽キャの陽オーラを、己の陰オーラで塗り潰さんとばかりにな……」


【それはまるで、太陽の光すらも閉じ込めるブラックホール】


「宇宙にも、穴はあるんだよなあ」


「なんの話?」


「百合です」


【一月二月の一番寒い時期もまあ、きついと言えばきついんだが、そこさえ乗り切ってしまえば春だと思えば勢いでどうにかなりそうだろ?】


「春とは即ち、夏の前座。陽キャにとって最も陽キャオーラを発散できる季節が夏であることは言わずもがな」


【要するに、実質的に春も夏みたいなものってワケだ】


「一年の半分が夏に侵蝕されてる……」


「更に、冬が春の前座、つまり夏の前座の前座と考えれば、実質的に冬も夏みたいなものだと言えるだろう」


「言えるかなあ?」


【その理屈で行けば秋も夏の前座の前座の前座……。と考えることもできるが、如何せん夏の次が秋であるだけに、夏、終わった感を痛感せざるを得ないんだよな。秋は】


「そうそう。なまじっかまだ夏じゃね?みたいな気温の日が混ざってるだけに、余計に夏、終わった感を強要されるんだよな」


「以上のことから、陽キャにとって最も過ごしづらい季節は秋、であることが実証されました」


【一同、拍手を】


「この時期になるといつも不意の寒気によってお腹PP天使Pになって世界の全てを呪いたくなるので、一刻も早く夏の前座の前座の前座が終わることを願いました」


【その願いが、地球の地軸を揺るがす事態になるとも知らずにな】


「え?」


『ずにゅううううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』




























































































『やあ。僕はマックライオン』


「っぴ〜?」


「マックライオンさん」


「ほら、お前も挨拶するのだ」


「どこかで見た顔なんだけど、思い出せないなあ」


「どうして、画面の中から出てこないっぴ?」


「おい、失礼だぞ!!」


『無理もないさ。僕が活躍していたのは随分と前の話だからね』


「マックライオンさん……」


『今一度名乗ろうか。僕はマックライオン。かつて、ハローマックという企業で番犬を務めていたんだ』


「ライオンなのに?」


『まあ、それは言葉の綾というやつさ』


『ジャスコのおもちゃ売り場との競合に負けた僕は、肉体としての生命を喪ってしまった』


『いまはこうして、有志たちの記憶を元に人工人格を稼働させているに過ぎない』


「っぴ〜」


「マックライオンさん。ゴロリの件は」


『和田どんから聞いたよ』


『どうしようかなあ……。ピンさんとムックさんは、一向に現役を退く気配がないし』


『ずんだもん。妖精さん』


『愛知の森に向かって欲しい』


「まさか」


「?」


「でも、モリゾー氏は既に鬼籍に……」


『孫であるキッコロは、無事に免許を皆伝しているさ』


『髭爺や雲爺、上層部は電子さんの復帰も危ぶんでいた』


『その情勢下でのゴロリの一件だ……。当然、君たちにも監視がつくだろうね』


「きりたんぽのお姉さんたちはどうしたっぴ?」


「いいや……。きりたんをはじめゆかりさん、琴葉姉妹は既に僕を見限っているのだ」


「その為にお前の力に頼るのは、不服極まりないのだがな」


「っぴ〜」


「困った時はお互い様だっぴ!!」


「きっと、みんなもいつか誤解を解いてくれるっぴ」


「それは、どうかな……」


『兎も角、僕はここを離れられない』


『喪われた記憶を取り戻し……。救ってくれ、この国の未来を』

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