【】じ ゃー じ ゃーめん【】
『雪山(夜)』
「ポポを狩ってポポノタンを納品するだけの下位クエストなのに、ティガレックスなんて出るワケないだろ」
【だよな。いくらポポが食糧だとはいえ、ティガレックスが出るワケないよな】
「もし本当にいたら調査不足にも程があるだろ。ギルドの公式垢も炎上じゃ済まな……」
『がおー』
「おるやんけ!!」
【俺氏、こっちだ!!】
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はあ、はあ……」
「おるやんけ」
【いたな。ティガレックス】
「こちとら下位でマフモフ装備にアギトだぞ……。勝てる筈がない」
【序盤で絶対に勝てない強敵を登場させることで盛り上げる演出……。少年漫画でありがちなやつ】
「生徒たちだけでの合同演習とか、絶対に敵の軍団に襲われるしな……」
【師匠レベルの奴らが活躍する展開な】
「でも、ここに先輩ハンターなんていねぇよ。スキルで耐寒ついてるのに寒いし」
【まずいな……。走っている最中に、ホットドリンクを全部落としちまった】
「マジんこ!?」
【このままだと低体温症……。諸々で命に関わる】
「ク、クエストリタイアは」
【そんな便利なものはない。徒歩で下山だ】
「雪山ナメたらあかんて、俺氏はゆったんだょ……」
【仕方ない】
【俺氏、服を脱げ】
「え……?」
「ただでさえピンチなのに、なけなしの防寒具を捨ててどうする」
【こんなの着てたら、温め合えないだろ……?】
「ちょ、おま」
「ここはR15ですよ!?」
『ずにゅううううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
「え?」
「ここは、ベースキャンプだ」
「助かった……。時空が歪んでくれなかったら、そのまま凍死してたぞ」
【ちっ……】
「ずーはー?」
【ベースキャンプにモンスターは出現しない。お前、そう思ってるな?】
「そりゃそうだろ。ここが襲われたらハンターは死ぬ……」
【お前、無防備過ぎ】
【すぐ隣に、俺っつーモンスターがいるだろ……?】
「ずーはー!?」
『ずにゅううううううううううううううううううううん!!』
「うおっ」
「気づいたら、集会所まで戻されてた」
【ちっ……】
「つーか、ずーはー。お前さっきから様子が変だぞ」
「まさか……」
「クエストの最初に飲んでたアイテム、秘薬じゃなくて媚薬じゃねえか!!」
【一文字違い……。誤差の範囲だろ?】
「い、嫌だ!!俺氏の初めてが媚薬盛り盛りの淫獣に奪われるなんて」
【男はみんなモンスター……。サン=テグジュペリもそう言ってる】
「落ち着けずーはー、総受けとしての矜持を思い出すんだ」
「自分からは手を出さない……。それが俺氏たちのハンター生活だろ!?」
【……!!】
「その代わり、全ての誘いに乗る。相手がたとえババコンガであったとしてもな」
「誰がコンガじゃ!!」
「かなたそ」
【安心しろ。お前はラージャンだ】
「国が恋人ってタイプの男、ぶっちゃけどう思う?」
【いいんじゃねえの。国そのものに性的興奮を見出すタイプの奴な】
「国家にも、穴はあるんだよなあ……」
「また、性癖の話してる……」
【少年にとっては女プレイヤーを選ぶのはハードルが高いが、なんやかんやでエッッッな装備が見たくて手を出すことになるよな】
「そうそう。モンハンはコロコロとかでも扱われるタイトルでありながら、エッッッな女装備が沢山あるという絶妙なラインを伴った神ゲー」
「カメラアングルを調整して、エッッッな角度を探していたもんぜよ……」
「ハンター仕事しろ」
【装備を作るには狩らないといけないから、結局モンハン自体はすることになるんだよな】
「俺氏は中学時代、3Gを一人で全クエスト制覇する程やり込んでいてな……。放課後は攻略サイトと攻略本を開きながら、ノートにオリジナルの装備のレシピを書き出していた」
「ガチじゃん」
「高校になるとオンラインにハマり、夜な夜な4のエンドコンテンツであるギルドクエストを周回し、その場で集まった名前しか知らんハンターたちと濃密な時間を過ごしていた」
「高難易度のクエストなんだけど、周回してるうちに慣れてきてさ」
「二分半切りましたよ!!これめっちゃ調子いいっすね!!」
「みたいな会話が自然と飛び交うワケ。初対面の奴らなのに」
「いま思えば、あれが俺氏にとっての部活だったな……。目標に向かって計画を立てて打ち込み、コミュニケーションと連携の素晴らしさと達成感」
「そしてエッッッな女装備……」
【青春だな】
「はじめは兄河の2Gを貸して貰っていただけなのに、いつの間にか俺氏が集会所を制覇」
「ヘビィボウガンでミラボレアスを周回する程になっていた……」
【まさゆきの地図って、知ってゆ?】
「ドラクエ9な。すれちがい通信……。神機能だったよ」
「イオンモールとか行けばバチクソに地図貰えるからな。あれも小中の頃かな……。親の買い物に付き合いながらDSをパカパカしてたのがイイ思い出」
「駄目だよみんな!!思い出話に終始するとSAN値が削られ切って死んじゃうよっ」
【そうだな……。歳を取れば取る程、思い出話の尺が長くなる】
「ある意味、生きてきた奴の特権とも言えるが……。気をつけないと精神ごと持っていかれることもある危険な行為だ」
【でもなあ……。幼き頃にハマってた作品ってのは増えることがないから、それを共有できる仲間は大切にしたいよな】
「それはそう」
「そうやって、インターネッツ老人会は出来上がっていくんだね……」
「コナン作品だって例外ではないだろ」
【元太と光彦はデキてる】
「あとはやっぱアレだな……。エッッッなものを嗜む。過去に意識を持っていかれそうになったら、コレに限る」
【当時はできなかったことだからな】
「ってことで、行くか」
「駿河屋」
【光彦は総受け】
「ったく……。ほんと、しょうもない奴らだぜ」
「リアル(紙)のカードゲーマーに可愛い女なんて……。いるワケねぇだろ!!」